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大魔道のススメ  作者: カズー
序章
2/20

~起~ episode1

 彼はまだ日が登っていない時間に起きた。

 そこから洗顔をして眠気を覚まし、トーストを焼く。

 テレビをつけてニュースを見る。トーストが焼き終わると、バターを塗ってその場で食べる。

 コップに牛乳を注いで飲み干すと、寝癖を直すためシャワー室へと向かった。

 濡れた髪をタオルで拭き、洗面所でドライヤーで乾かす。乾かした後、入念に歯を磨き、目やにを取った。

 時計を確認する。まだ5時を過ぎたばかりだ。

 彼はクローゼットを開き、一番端に寄せておいた戦闘用の服に着替えた。彼のこだわりは、利き腕の左腕の方は袖無しのタンクトップにし、右腕には全体を覆う手甲を嵌め、それを隠す長めのマントを着るという格好だ。

 最後に背筋の少し下あたりに剣を提げ、着替えが完了した。

「うし、後は昼飯だな」

 間違いなく一日中戦うであろうことを想定した彼は、手早くにぎりめしを作った。それをラップで包み、ポーチに入れた。

「完璧」

 すると、携帯電話が鳴る。

「はい、もしもし」

「おお、準備は出来たかね?」

「軍隊長。今ちょうど出来ました」

「今そちらへ向かっている。戦車でそっちに向かうわけにも行かないので、一旦街のはずれまで出てきてもらってもいいかな?」

「わかりました」

 彼は電話を着ると、ベッドに乱雑に投げ捨てた。

 それからテレビを消して、電灯も消す。玄関へ向かい、靴に履き替えた。


 街に人の姿はまだ見えない。この街の住民は、今日、戦争が起こるため俺が出ていくのを知らないのだ。

「うし、気合入れて行くか」

 子どもたちや、キョーコを守るためだ。


 ✱✱✱


「おお、来てくれたか」

 俺は、街のすぐ近くにある山のふもとまで来た。そこには、何十もの戦車と、軍隊長が居た。

「こんなに戦車があるなら、俺はいらないんじゃねぇすか?」

「いやいや。君一人でこの何十もの戦車の何十倍もの戦力となる」

「それは流石に言い過ぎですよ」

 彼は苦笑いしながら言う。しかし、軍隊長は笑わなかった。なぜなら、それが紛れもない事実だからだ。

「とにかくよく来てくれた。相手がここまで攻めてくるのはあと数時間後。その間、心の準備をしておいてくれ」

 俺は近くの大きな岩にもたれかかるように座った。

 剣を鞘から離し、横に置く。あぐらをかき、腕を組んで静かに目を瞑った。

 久しぶりの戦争の前に、俺は高鳴る胸の鼓動を確かに感じていた。

(ダメだ。これじゃあまた元に・・戻ってしまう)


 数時間後、軍隊長率いる兵士たちが俺の元へやってきた。

「さぁ、そろそろ時間だ。戦車へと向かおう」

 軍隊長は俺に手を差し伸べた。俺はその手を受け取り、軍隊長の引っ張る力で一気に起き上がった。

 もう後戻りはできない。すべては街のみんなを守るためだ。



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