計画実行(1)
夜になっても要さんは帰ってはきませんでした。
お母さんは計画を練った日から計画の実行日まで、友達の家にお世話になるわねと言っていたので家にはわたし一人です。
お母さんは家から出るとき、わたしに、しっかりと愛を深めときなさいと言って家をでました。
……わたしが要くんと付き合ってるのはうそなんですけどね……お母さんに申し訳ない気持ちでいっぱいです。
わたしは一人で町のみなさんに明日のお昼頃、計画を実行しましょうと伝えました
それが終わり家に帰ったのですが、要さんはいませんでした。
……わたしは一人で明日に備え眠りにつきました。
……朝になると、要さんが持ってきたよくわからない機械のアラームにおこされました。
以前、要さんは、この機械はスマートフォンっていうんだと説明してくれ、色んな機能の使い方まで教えてくれました。
アラームを消すと突然、機械の画面にえっちなお姉さんが出てきました。わたしはすぐその機械の電源を切り、ベッドに置きました。
……要さんの好きなタイプの女性なんでしょうか?
そしてベッドから出て部屋を確認しましたが、そこに要さんの姿はありませんでした。
要さんは……要さんはどこへ行ったのでしょうか。
お昼になるとわたしの家に町のおじいさんがやってきました。
「クシナちゃん!あとはクシナちゃんと要くんだけじゃぞ!もうみんな集まっとるぞ!」
「……要さんはいません」
「な、なぜじゃ?この計画はクシナちゃんと要くんが考えた計画じゃないのかい?
なら、要くんも参加すべきじゃあないのかい?
なのに何故いないんじゃ?まさか……逃げ」
「要さんはそんなことするような人じゃありません!」
思わず声をあげてしまいました。
「だ、だがクシナちゃんそれじゃあなんで……」
そこまで言うとおじいさんは口を閉じました。
きっとわたしが涙を流していることに気が付いたんだと思います。
「ま、まあこの計画は町中のみんなでやる計画じゃ、要くん一人欠けても大丈夫じゃよ!」
そう言うと、おじいさんはわたしの手をつかみ町の中央の広場まで引っ張ってくれました。
広場につくと本当に町の人"全員"が集まっていました。
「クシナちゃん!この時をまっていたぜ!さあ一緒にグルーヴ一家をたおそう!」
「そうだそうだ!、こんなに人がいるんだグルーヴ一家なんか余裕さ!」
町のみなさんの心が一つになっていました。
「みんなクシナちゃんを待っていたのよ?さぁ指揮をとってちょうだい」
「……はい!」
わたしは何かが込み上げてくるのを感じました。でも今はまだ早いと思いグッとこらえみなさんに語りかけました。
「わたしは小さい頃、このルマの町が大好きでした……ですが、今は好きになれません、むしろ嫌いです……なぜならこの町は今グルーヴ一家に支配されているからです!
わたしは、小さい頃からお母さんに女手一つで育ててもらいました、なのでこの町でお母さんと幸せに暮らしたいです!なのでどうか……どうか一緒にグルーヴ一家をたおしましょう!」
言い終わりと同時に、町のみなさんの声があがりました。
「よっしゃー!やったるぞ!」
「まかせろクシナちゃん!俺がたおしてやる!」
「がんばるわよー!」
そんな、みなさんの頼もしい声を聞いてわたしはまた、何か込み上げてくるものをグッとこらえました。
そしてこの町一番の豪邸の方へ体を向け全身の力をふりしぼって叫びました。
「グルーヴ一家!でてきてくださぁぁぁい!」
町がシーンとなり、その数秒後、豪邸の玄関が開
きました。
するとそこからグルーヴ一家の、三兄弟の内の二人がでてきました。
もう後には退けません。
わたしは覚悟をきめました。