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町の闇

疑問だらけだったがとりあえずこの世界を校長の言う通り"異世界"と呼ぶことにした。

空だけを見ると元の世界とはなんら変わってはいないように見えた。

だが目の前の町を見ると元の世界とは全く違うと分かる。

町は壁に囲まれていた。

予測だが町全体を上から見ると丸くなっているんだと思う。

とりあえず町に入ることにした。

町の入り口を(くぐ)ると見知らぬおじさんに

"ルマの町"へようこそ!と言われた。

どうやらこの町は"ルマ"という町らしい。

さらにこの町には見たことのない景色が広がっていた。

右には家と飲食店が立ち並び、左には色んな営業を営んでいる人たちが屋台を構えていた。

さらに中央であろう場所には大きな噴水があり、さらにその奥には豪邸があった。

「……まじか」

そのままポカーンと口をあけながら歩き回っていると、ある女性がこっちに向かって走ってきた。

女性はこの距離でもわかるほど可愛らしい容姿をしており長く美しい黒髪だ。

年齢は俺よりは年上だと思う。

息を切らしながら俺の目の前で止まるとあの……と話しかけてきた。

「……この町の人じゃありませんよね?」

……ナンパか?という淡い期待を込め

ああと返答した。

「あ、あの!助けてください……お願いします……」

今にも泣きそうな声だった。

どうしたんだと聞くと女性は少し呼吸をして落ち着いてから呟いた。

「……わたしの家で話だけでも聞いてくれませんか……?」

俺は速攻首を二回縦にふった。

……下心とかはないからな?

「ほ、ほんとですか!?ありがとうございます‼

あ、わたしの名前"クシナ"って言います。クシナって呼んでください!」

「俺の名前は"天晴 (かなめ)"呼び方は何でもいいから」

するとクシナは聞き慣れない名前ですねと言ったあとそれでは要さんってよびますねと言った。

……大事なことなのでもう一度言わせて?

下心とかないよ?いや本当に。……。


家につくとクシナの母親らしき人が出迎えてくれた。

「あら?彼氏さん……?」

するとクシナが違う!と言いながら顔を真っ赤にした。

「クシナったらそんなに顔を赤くしなくても冗談に決まっているじゃない。でもそれにして男前ねぇ」

今度は俺の顔が真っ赤になった。

確かに俺は容姿に自信はあるが変態なせいか女の人に今まで一度も容姿をほめられたことがなかった。

「もう!お母さんってば!いいからはやくむこうにいってよ!」

クシナの母親は、はいはいと言いながら奥の部屋に戻っていった。

クシナがこっちです!と言うのでクシナについていくと二階に連れていかれた。

部屋のドアをみるとクシナと書かれている貼り紙があった。

「はいってください……」

そう言いながらクシナはちょっと恥ずかしそうにドアをあけた。

入るととてもいい香りが漂ってきた。

クシナはベッドに座り自分の横をトントンとたたきどうぞこちらへと手招きをした。

俺はクシナの横に座ると心臓が爆発しそうになるくらい鼓動がはやくなった。

え?なにこの展開……と心の中で思っているとクシナが少し暗い声で話始めた。

「あ、あの実はこの町……グルーヴ一家というこの町で一番力を持った人達によって支配されてるんです……」

「えっ?」

この町に入ったときそんな雰囲気は全く感じれなかったためか耳を疑った。

「町の雰囲気はそんな風には見えなかったけどな

……」

「はい……。グルーヴ一家から支配されてることを他の町の人たちにばれたらグルーヴ一家から罰があるのです。それも町の人全員に……」

「でも、それじゃなんで俺なんかに話したんだ?」

「そ、それは……近いうちグルーヴ一家が他の町の人をこの町にいれないようにしようとしているからです……もしそうなったらもう……だから最後の訪問者となるかもしれない要さんに頼んだのです……」

そう言うとクシナは泣き崩れてしまった。

「お母さんは……わたしをこんな町で女手一つで育ててくれました。……お母さんが辛そうな時わたしは何もできませんでした。こんな町住みたくありません……!お母さんと……お母さんとしあわせに暮らしたいんです……だから、だからお願いです!わたしに力をかし……」

俺はクシナの口を手でふさいだ。

「……それ以上言わなくていい。クシナ……一緒にこの町を変えよう」

……俺らしくない台詞だったかもしれない。

でもそう言わずにはいられなかった。

「あ、ありがとうございます……本当に……本当に……」

そう言いながらクシナは笑顔を見せた。






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