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異世界でカボチャプリン  作者: マーブル
迷宮を掌握する勇者狩り少女は巨人を操る土木作業魔術師兼魔道具製作者兼鍛冶師でガラス職人かつ道具屋従業員で、その正体は変な名前の、見かけより体重の重いドワーフである
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※弟子の決意


 朝から工房に籠もり、『計算機』の端末を六台作り上げるとお昼になった。計算機の端末は数字と一部の文字だけしか表示しないようになっているけれど、基本的には『通信端末』と同じ表示機構を拡張(八列にしただけ)したものだ。六台のうち、三台はトーマス商店専用機で、特定の数字を予め入力できるようにしておいた。お釣り計算に関してはぶっちゃけ暗算の方が速いならそうしてもらえばいいし。レジスターの機能があるわけじゃないから、この計算結果はあくまで参考値、ってことにしてもらおう。集計機能はつけておいたので、正確に商品販売数を入力しておけば、概算ながら数量は把握できるだろう。


「そう、お昼が出来たからいらっしゃい」

『作業中・危険・入室禁止』の札を扉に掛けておいたので、アーサお婆ちゃんの声は扉の外から聞こえて来た。

「あ、はーい、いきます」

 と、反応したところで『通信端末』に短文が送られてきた。トーマスからだった。『明日辺りに収容所の駐屯所の建物が施工可能になるから、朝から行ってくれ』とのこと。

「まだやらせる気か……」

 苦笑しながら上のリビングに向かう。


 短文の内容からは切迫感が見えない。これは幸せなことなんだろうな。なんか、この半年は、くるぞ、くるぞ、とプレッシャーを掛けられて、駆け足で戦争準備をさせられている気がする。

 何だかんだともう冬から春になろうとしているし、採取は……移植しすぎでしばらくいいか……。ああ、採取というか野山を駆け巡りたい……。


「そう、今日はパスタにしてみたわ」

「さすがはアーサ婆ちゃんさ……今回はアタシも手伝ったさ」

 カレンが誇らしげに胸を張る。カレン、シェミーも馴染みすぎ。そういえば、その後のダグラス家やら手下の残党やらはどうなったんだろうか。特に何も言われていないから進展もないのかもしれないけど。


「そうね。コショウをこんなに使えるなんて……贅沢だわ」

「そうさそうさ!」

 黒コショウとチーズのパスタ。オリーブオイルじゃなくて亜麻油だったりするけど、ちゃんとニンニクも使っている。チーズに関しては当たり前だけどナチュラルチーズしかない。チェダーチーズっぽい。トータルとして見て、カチョ・エ・ペペと言い切ってもいいと思う。

 この国、というか島しか知らないけれど、ちゃんとブルーチーズもあるし、いわゆるウォッシュタイプの(超臭い)チーズも市場で見たことはある。アーサ宅ではチェダーっぽいのが多いけど、たまにブルーチーズも見る。白カビのチーズ(カマンベールとかブリ)みたいなのは逆に珍しいかもしれない。

 あー、でもなー、私はお酒が飲めない体質なんだよなー。ブルーチーズにはワインだよなぁ……。ニャックとかはどうでもいいから、ワイン一杯くらいは飲める体質になりたい……。

「そう? (から)かったかしら?」

「嬢ちゃん、なに泣いてるのさ?」

「ううっ、お酒が飲める身体になりたい……」

「そうね、酔わないエール、っていうのなら聞いた事があるわ?」

「えっ!?」

 ノンアルコールビール? そんなものがこの世界にあるんですか……?

「ああ、ガディフの『シャンティ』ね。聞いた事があるさ」

 ガディフはノックス領地の西、ウェルズ王国の首都だ。ノックス領地の首都(と言っていいか)ブリストとガディフはかなり近い位置にある。友好国、というか実質グリテン王国の属国のようなもの。


「へぇ~」

「酔わないワインっていうのもあるみたいだけどさ」

「あるんですか! そんなものが!」

「あるさ。でも、美味しくないのさ……」

 カレンが口を尖らせた。

「そうね、それならブドウ果汁そのものを飲めばいいじゃない?」

「ううっ……」

 アルコールの香気があってこそのチーズだと思うんだけど、それで我慢するしかないのかなぁ……。ブドウジュースそのものはポートマットの市場に売ってるし、そこそこニーズもあるんだけど、元の世界では割とアルコールを飲んでいたのか、ブドウジュースをワインの代用とすることに抵抗があるのだ。

 それでもっぱら食事の時には単なる水か、柑橘類をいれた水を愛飲しているのだけど。この辺りにも何か工夫が必要な時期かもしれない。


「美味しかったです」

 お昼ご飯は軽く、がアーサ宅のルール(?)だ。

「そう。この後はどうするの?」

「ちょっと仕上げたいものが幾つかありますので、また工房に戻ります」

「盾! も……忘れないでほしいさ……」

 あー、そうだった。

「わわすれててまませんよよ」

 噛んだ。カレンの姉御が冷たい目で見ているのを華麗にスルーして、工房へ戻る。


 まずはミスリルの短剣を仕上げてしまおう。

 頭の中で決めていたデザインで、ガード部分をレリーフにして彫っていく。彫刻刀を使う方が線がピシッとするのでメインに使いながら、『研磨』も併用する。二匹の蛇が絡みつくガード。ソードブレーカーとして使えなくはないけど、装飾彫りをしている分脆いのでアテにしないでくれ、と説明書きを加えておく。柄の部分は蛇の皮を巻き付けて『結合』。柄の部分の蛇皮が、まるで脱皮してガード部分で威嚇しているような、妙にリアルな造形だ。


「我ながらかっちょいい……」

 こりゃあれだね、波打つ刃の短剣(クリス)にすればよかったね。残念だけどダガーなんだよね。この短剣の名称は『ミスリル蛇の短剣』にしておいた。MSDっていう略称は私のダガーと同じだね!

 刀身への魔法付与は耐衝撃のみ。基本的にこの短剣は『光刃』か『闇刃』で強化して使うのが本筋だから。耐魔法を付与すると魔法を弾いてしまって、簡易エンチャントの効率を下げてしまう。

 鞘に関しては木の皮を刀身に巻いて『結合』と『硬化』。さらに蛇皮を巻いて『結合』して『硬化』。耐魔法も鞘に付与。

「よし、完成、と」


 もう一つの依頼品に移ろう。

 杖の方も半分出来上がってるようなもの。水の上級単体魔法を刻んだ板を貼って内部構造は完成。

「おお……」

 鈍く光るミスリル銀製の杖。これも格好いいなぁ……。

 でも、エイダのリクエストでもあるし、木の皮を巻いてしまう。残念だけど、魔法陣部分の保護には必須なのじゃ……。木の皮は巻いた後、『結合』して、さらに彫ったり瘤をつけたりして、一本の木から切り取った枝のように模して加工する。こんな真っ直ぐな枝はないけどね。『硬化』で固めて、杖の下の方に目立たない様に、耐衝撃の魔法を付与。

 杖の上の方には、これもリクエストがあった紋様。家紋かな、これ。も『転写』で彫り込む。


 最後に、先日のガラス加工の副産物、色つき石英の塊の中から、アクアブルーの物を選んで、指先に魔力を細く集めて削っていく。彫刻というよりはリューターで加工している感じ。デザインそのものは注文時に決定していたので作業は早く終わるだろう。手を重ねて祈っている水姫。実はこのポーズは元の世界の人ならお祈りのポーズに見えるのだけど、この世界の人にとっては、合掌がそれに相当するので、宗教的な意味は全然ない。

 だけど、水姫が合掌しているのは、私自身の美的センスが許さなかったのだ。もっと和風(元の世界基準)の水姫造形であれば合掌にしたと思うけど。

「よし」

 研磨を重ねて鏡面加工。さらに耐衝撃、耐魔法、耐水、耐火、いつぞやの瓦に施したセットをさらに縮小して水姫を強化。

 完成した水姫と杖を『結合』して完成。


「一応試運転しておこうかな……」

 換気口から漏れる光を見ると、夕方になろうとしていた。今から外に行くのは面倒だ。ああ、典型的な引きこもりに……。となればアーサ宅の魔導灯の方をやるか。


「明るいウチにやっちゃおう」

 急いで銀箔を作り、手持ちのガラス、最後の六枚を取り出す。ガラスは手作りなもので微妙にサイズが違う。外周を直線に成形して、『灯り』ではなく『光球』の魔法陣を刻み、銀箔を貼る。六枚の幅広ガラスと、一枚の1/3カットガラスにコーティングが完了、魔力供給部を組み上げて魔核をセット。


挿絵(By みてみん)


 部屋用の魔導灯はヒモと板バネで物理的に魔法陣と魔力供給部の接触をさせたり繋いだりする。この辺りは、元の世界の室内灯みたい。手元スイッチが実現できないのが残念だけど、ミスリル線以外で低コストな『魔力通』(電通の魔力版の言葉だ)が実現できるなら、いずれはそうしたいところ。今のところ、ミスリル線で手元スイッチを作ったとしても、ミスリル線から漏れる魔力が勿体ない。ラバーロッドでの魔力シールドも完璧ではないし、いずれ開発されるだろう素材待ち、というところ。


「お、嬢ちゃんやってるね。手伝うさ」

 リビングで脚立に乗って作業をしている私を見つけて、カレンが手伝ってくれる。こういうときには背の高い人は便利だなぁ。

 本来、天井の板と照明具を繋ぐならネジだとかが必要なんだろうけど、そういう細かい基礎工業品が未発達なので、何も考えずに『結合』してしまう。

 改装とか取り壊しとかをする時には困るかもしれないけど、この世界の家屋は妙に長持ちするから、下手をすると私より長生きだし、照明具を取り外す機会なんか永遠に来ない、と割りきって天井板に貼り付けてしまう。

「おー、明るいー」

 あんまり明るいのも困りものなので、今回の室内灯シリーズは少し輝度を落としてある。とは言っても特別なことをしている訳じゃなくて、魔力供給部から魔法陣に送る魔力を弱めにしてあるだけ。切り替えるには魔法陣にちょい、と書き足す形で刻みを入れるしかないんだけど、一連の魔導灯は全て縮小した魔法陣でもある(元の『光球』の魔法陣は直径三十センチくらいだ)。顕微鏡レベルとは言わないけど、最低でも拡大鏡を使わないと書き足しは難しいだろう。


 外が夕闇に包まれる前に、魔導灯の取り付け作業が終わった。リビング、台所、アーサお婆ちゃんの部屋、私とドロシーの部屋、護衛二人の部屋、客間。地下室には1/3魔導灯を設置した。


「そう! これが! 明るいわね!」

 おー、アーサお婆ちゃんが喜んでる。いいねいいね。明るい部屋だと作業能率が上がるとか聞いたけど本当なんだろうか。そう言われてみれば、コンビニなんて煌々と店内を照らしてたしなぁ。コンビニ、かぁ……。元の世界を象徴するキーワードだと思うのだけど、今の世界に生きている分にはあんまり羨望とか渇望とか感じないんだよね。明らかに現在の方が不自由だし、色々未発達なのに。ああ、でも、ネット関係だけは渇望に近いものがあるかもしれない。他人と意思を交わそうとする道具は、今の世界でも有効なツールだろうし、あったらいいかも。

『通信機』や『計算機』はもしかしたら、その第一歩かもしれない。何で私が作るハメになっているのかはわからないけど。ノイマンさんはこの世界にはいないんだろうか。


「ふわ~。明るくなったわねぇ……」

「明るいです」

「眩しいです」

 ドロシーがレックスとサリーを連れて帰宅すると、まずは魔導灯が眩しい、という話になった。


「魔力で光ってるってことはさ、結局、魔物の魂みたいな物が光らせてるってことよね?」

「詩的なことを言うなぁ……」

 ちょっと感心してドロシーを見つめると、ふふん、と鼻を鳴らす。

「この町の夜も、この部屋も、魔物が照らしている……」

 サリーはモゴモゴ、と言ってから、プッと一人笑いをした。きっとゴブリン辺りが提灯でも持って踊っている姿でも想像したのだろう。

「うん、でも、実際にこの部屋を照らしている魔力を充填したのは私だよ? この魔核を産み出したのは魔物で間違いないけど」

 だから、私が光って踊ってる想像が正しいんだよ、サリー。

「そうね、本当に不思議なことだわ」

 夕食のスープをリビングに持ってきたアーサお婆ちゃんが話に参加する。夕食の準備をしながら、皆の会話は続く。根源的な話題は、知識欲を刺激するものらしい。


「何でも偉い魔術師が言うには――――」

 そこにカレンとシェミーが加わり、冒険者の間で信じられている、魔核形成の諸説についての話が始まった。


 それによると、血液に含まれていた魔力が、生命活動を止めて行き場を失い、血液ポンプたる心臓の近くに集まってしまうのだ、というのが、一般の冒険者の間で一番説得力をもって信じられている説なのだという。

「他にもあってさ」

 そもそも魔力は血液とは違う巡りをしていて、生命活動が終わると、『魔力的な心臓』に集まって、そこに溜まり、一定の魔力を得たために物質化したものだ、という説もあるのだという。

「魔力的な心臓、っていうのは当たり前だけど見たことのある人はいないし、存在を証明できた人もいないんだわ」

 面白い説だと思った。

「確かに、魔核を採った後の死骸には、ほとんど魔力が含まれませんし、あり得る話かもしれませんね」

 目には見えないけれど体内に存在する魔力器官があるのかもしれない。もしかしたら、今の私なら魔力感知でジッと見ていればわかるかも。

「まあ、あれよ、魔物とはいえ、死ぬところをジッと観察するのも悪趣味ってことさ」

 ハハハ、とカレンが笑って、それもそうだなぁ、と悪趣味を反省する。


 夕食後は、ここのところのパターンなら地下工房に集まって雑談になるのだけど、レックスとサリーまで入れると呼吸が怪しいレベルになってしまうので、自然とリビングでの雑談になった。ずっと雑談していたような気もするんだけど、女性比率が多いとこうなっちゃうんだよ、レックスくん。


 レックスはあまり自己主張しないけれど、空気を読んで場を調整する感覚には優れているようだ。典型的なナンバー2とか3、元の世界で言えばゴール前のアシスト能力に長けたミッドフィールダー(MF)みたいな。翼くんじゃなくて岬くんだな! 十六頭身を思い出して一人笑い。


「なによ、何かおかしかった?」

 ドロシーが私の短い笑いに気付いて文句を言ってくる。

「ううん、なんでもない。サリーはそろそろ、物を何か入れてみようか」

「あ、はい」

 ドロシーが『道具箱』を覚えてしばらく経ったので、そろそろ解禁。ちゃんと『待て』をしてくれていたサリーは、処世術も中々のものだ。

「入りました」

 サリーは手元の花瓶を、自分の形成していた『殻』に入れて、それを体内に引き込んだ。『鑑定』で見ると、ちゃんと『道具箱』がついていた。


「おめでとう、覚えたね」

「はい、ありがとうございます」

 全員から拍手されて、照れるサリー。割と一歩引いた位置から、俯瞰するように皆に接しているサリーだけど、年齢相応の表情を見せることもある。レックスとサリーは同い年だけど、数ヶ月だけレックスがお兄ちゃんなんだと。ここのところ、ふっくらしてきたレックスの方が身体も大きいので、普通にレックスの方がお兄ちゃんにみえる。逆に年齢からするとサリーは小柄ではあるものの、精神年齢的にはずっと上にみえる。


「はい、レックスはそのまま『殻』を維持してね」

「はいー」

「そうね、私の方はどうかしら」

 アーサお婆ちゃんは、目の前で成功例を見せられて焦ったのか、『殻』が乱れている。

「慌てなくて大丈夫ですよ」

 私がニッコリ笑うと、また『殻』は安定した形を保つようになった。心と魔力は連動している、というのが強ち間違っていないのではないかと思う瞬間ね。


「いつも思うけど、嬢ちゃんは教えるのが上手いわ」

「アタシも同感さ。サリーなんて、鍛えたらエイダ(ババァ)並になるんじゃ?」

「ああ、やっぱり? 私もそうじゃないかって思ってたのよね」

 意外にも、ドロシーはサリーの魔術師の才能に気付いていたみたいだ。ちなみに、サリー本人には、鍛えれば高位魔術師になる資質がある、というのは話してある。

「あの……はい」

 隠していたわけではない……けれど、ドロシー本人から指摘されて、サリーはちょっと焦った風に俯いた。


「ふうん、サリーはどうしたいの? 魔法の才を伸ばしたいならトーマスさんと相談するわよ?」

 ちょっと待て、トーマスと相談した後に魔法を伸ばすのは私にお鉢が回ってくるだろうが! サリー育成をするのは吝かじゃない。でも、私の承諾も得てからにしてよね!


「え……その……」

 サリーは目を泳がせて、ドロシーや私に視点を合わせては逸らすことを繰り返す。トーマス商店に雇われて間もないというのに、魔法を学ぶために時間を取られてはトーマスや、孤児院に申し訳ない、という気持ちがあるのだろう。サリーの葛藤が理解できた。


「そうね、魔法を学ぶっていうけれど、()にはどんな方法があるの? 学校とかがあるのかしら?」

 アーサお婆ちゃんが、空気に耐えられなくなったのか、疑問を口にした。

「アンタが教える以上のことを教えられる人間がいるとも思えないのよね」

「確かに。そうだわ」

 シェミーが同意する。


「まぁ……実践はともかく、理論は無理ですよ? 概論しかわかりませんし」

「あの……私、姉さんたちと……皆さんと一緒にいたいです。でも、魔法も覚えたいです」

 サリーが、意を決したかのように、そう言った。

 ドロシーがニヤリと笑った。

「なら、アンタが教えるしかないわね。午後や夕方なら時間取れるし、いいわよね?」

 くっ、勝手に決めて……。

「トーマスさんから許可は貰ってよね。それと、毎日は無理だよ?」

「それでも構いません」


 トーマス商店の従業員の立場と、魔法の習得を両立できる話だとはいえ、サリー本人はもちろん、周囲の負担も大きいものになりそうだ。それでもやる、とサリーの目が言っていた。

「うん、私はいいよ。エミーにも一言言っておいた方がいいかもしれないけど……」

 ジェラシービームを、妹のようなサリーに浴びせるだろうことは想像に難くない。そのビームにサリーが耐えられるかどうか……。


「それじゃ、明日にでも私からトーマスさんに言うわ。どうせ、今後のトーマス商店の発展を考えたら、従業員は増員せざるを得ないんだし、特殊な能力の持ち主が増えた方が面白いじゃない?」

 そんな理由付けをしてトーマスを説得するわけね。トーマスなら二つ返事で了承すると思うけど。


「トーマスさんに拒否されたとしても、私が説得するし。やろっか」

「はい! あの! よろしくお願いします!」

 サリーに深くお辞儀されて、ドギマギしてしまう。

 何だかわからないけど、流れで弟子が増えてしまった。そんな夜が更けていく。



―――んっ、この場合、カブはレックスが相当するのかな? カブは弟扱いだったっけ。





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