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論争2

「ラノベを読む人はファンタジーを求めてる?」

優香はふっと一息。馬鹿馬鹿しいとばかりにラノベを長机に置いた。

「ファンタジーにも格というものがあるわ。あんた、もちろん『指輪物語』は知っているわよね?」

指輪物語。太朗は真っ先にシンデレラの顔が浮かんだ。

「読んだことはあると思います」

「ダウト。読んだことある人なら一秒で喰いつくところよ。まあ無理もないか。古い作品だし。じゃあロードオブザリングは?」

「あっ、それなら映画見たことあります! 面白いですよね」

その瞬間太朗は口に手をあてた。そうか、指輪物語って。

「気づいたようね。元々ファンタジーって分野は指輪物語が生んだのよ」

知らなかった。

「ハリーポッターもファンタジーね。あれくらい世界観が確立されていないとファンタジーと言えないの。おわかり?」

「でも先生、確かにその二作品には負けますけど、粒が小さくたってファンタジーであるには変わりないでしょう」

「はい出た。まだわからないの? ファンタジーってのは世界観が確立されていて、それだけで勝負できる作品のことを言うのよ」

優香は腰に手をあて、仁王立ちのポーズを取った。

「昨今のラノベを見てみなさい。どの作品も女キャラばっかりポンポン登場させやがって、誰がヒロインなのかわかったもんじゃないわ。これってどういうことかわかるかしら?」

「……世界観が完全に確立されていなかったから苦し紛れに登場させたってことですか?」

「そう。指輪物語もハリーポッターもそんなに女キャラいたかしら? 萌え豚に媚びを売るようなことしたかしら?」

そう言われると黙ってしまう。太朗はハーマイオニーが好きでたまらないのだ。特に初期の。だから途中で謎の女キャラが出た時はいたく腹がたったものだった。

「結局ね、ラノベ作家なんて中途半端な妄想をそのまま文字に起こして、あっという間にネタ切れになるから女キャラを登場させて作品を持たせているだけなの。その点純文学作家はファンタジーの傑作を知っているからファンタジーの難しさを知っている。実力も高いから手堅くまとめて大崩れせずに書き上げているわ。もちろん萌えキャラなんか出さずにね」

なんだなんだ。

「実力って……ラノベ作家は実力が無いみたいな言い方じゃないですか!」

「当たり前よ。どっかの大学の文学部のほうがしっかりした作品書けるわよ」

「そんなこと無いです! じゃあこのるかわって作家の作品見てくださいよ!」

太朗は中を広げた。優香は顎に手をあて、しばし凝視した。


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