論争9
「あんたは音楽って聴くかしら?」
優香の問いに太朗は戸惑った。正直に話せば……いわゆるアニソンだ。
「ミスチルとか聞きます」
「へえ、意外と普通ね。じゃあもうアルバムとかも持ってるわよね?」
ヤバい。ミスチルなんて知らないぞ。
「ま、まあタイトルは忘れましたけど」
「じゃあ例えばミスチルが新曲を出したとするじゃない。そしたらあんたはお店でミスチルのコーナーに向かうわよね」
「ええ」
「つまり、ミスチルというアーティスト目当て。仮にミスチルが『哲学』みたいなタイトルで曲を出したとしても買うでしょ?」
「おお、なるほど。つまり作者で選んでいるということですか!」
「はあ〜そのくらい普通なのに。作者によっては官能、ミステリー、刑事物みたいに特定の分野で活躍する人もいるわ」
「僕は作品ごとにしか見てませんでした。もしくは声優とか……」
声優。おっと口が滑った。
「商法で言えばブランド生産力といった感じかしら。作者にブランドが存在するから、一定の読者がついてくる。ラノベに比べてずっと商業的に優れてると思うけど」
優香は誇らしげだ。
「ラノベだってそういうのありますよ! 例えば……」
「無いわよ。なぜならラノベ作家はレベルが低い」
「ちょっと言わせてください!」
またこの問題に戻ってきた。ラノベ作家だって、レベルは高いはず。
「うん、じゃあ次は新人賞について触れてみましょうか」
「新人賞?」
太朗は首を傾げた。




