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第五話 星空

――ドンドン!ドン!


正気だろうか。


月さえ沈みかけた真夜中だというのに、

数人の男達―20代後半くらいだろうか―が

とある建物を足蹴りし、赤色の缶スプレーで壁に


「汚い血のクソ野朗」

「死ね 緒神の崇拝者め!」


等と汚い言葉を使ったといたずら書きしている。


そう。ここは神と刹の住む施設。

当然施設の中にいる少年達は目を覚ます。

一番に反応したのは、他でもない神と刹の二人だが――。


「・・・・ごめん、皆」

神が布団から起き上がり、申し訳なさそうに言う。刹も

「公害もいいとこだ」

とうっとうしそうに言い体に掛かった布団を払いのけた。



「――お前らが悪いんじゃねぇだろ?」

「そーそー。馬鹿は下で騒いでるあの変人だよ」

二人に優しくそう言ったのは、

もう住み始めて2年になる施設、「光の宿」の

親友達。澤田さわだ 佳澄かすみ

亜原あはら 聖弥せいやだ。

神は二人に笑顔で答えると、刹とともに

古びた施設内の階段を降りて、施設の管理人である

篠村しのむら いずみの寝室へ出た。


「――おめーらだけで大丈夫かぁ?

 クレイジーなオッサン相手に。おにーさんは不安だぜ」

眠たそうに部屋の電気を着けて言う、無精髭を

生やしたこの男こそ、あの銀髪の男に今までで

ただ一人誘惑されない施設長だ。


もちろん泉もその騒音で目を覚ましており、すでに起床後の

一服としてライターでタバコに火を着けていた。


「っせぇよ、年増のクソオヤジは黙ってな」


火が灯らないために、何回もライターを着け直す

『クソオヤジ』に刹が言う。


「泉さん、すみません。起こしちゃって

 あと、それは・・・刹なりの愛情表現?なんで・・・」


「何で疑問系だ?神よぉ?」

泉はすでに寝癖がついた神の頭をくしゃくしゃと

かきまわすように撫でた。


「あ、あはは・・・まぁ、あの人達に関しては

 刹が強いから、問題ないです」

そういって親指でくいっと刹を指差すと、

刹はほくそえみながら玄関へ向かった。


「じゃ、始末してくる・・・行くぞ神」

やっと靴紐を結び終えた刹は、床のタイルを

靴のつま先でコンコン、と何回か蹴り、ドアを開けた。

「――気ぃつけろや、息子ー・・」

泉の手の中のライターに、やっと火が灯った。



「おい、何してんだよ」


3人の男達を前に刹と神が立ちはだかる。


「・・・・・?誰だオメー」


男は、自分に声を掛けたのが誰か確かめるため

二人に近づき、目を凝らした。

ちょうど満月の逆光で見えにくくなっていたようだ。

「・・・・!!?おが・・・」

「それ」を理解した男は凝らして細くなった瞳を

全開にし、すぐさま顔を逃がした。

だがそれと同時に男はポケットから小さな刃物を

取り出して、刹と神に向けた。


「お、お前ら・・・心臓ブッ刺すぞ!!」


だが、一瞬の隙だった。


「公害なんだよ」

刹が言ったとたん。男の目の前、いや鼻先に、

硬く握られた刹の拳があった。それを理解するのに、

男には数秒の時間が要ったらしい。


その後男は崩れるようにして膝を折り、

地面に膝を着いた。


「家でおとなしく寝てろ」

刹が吐き捨てるように言うと、

男達はくしゃくしゃに顔を歪めて逃げていった。


「・・・見なよ、刹。すごい星きれー」

神が今あったことを特に気にもせず、空を指差した。


「・・・・あぁー・・・少なくとも

 さっきの奴らよか純粋だろーな」


「ぷっ・・・・面白いこと言うね。刹」


「・・・・あー。そうか?」


二人はそのまましばらく、

美しい星の輝く夜空を仰いでいた。





早く緒神の謎明かせや
って感じですが。
まだまだかも。

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