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22. 波紋

 一日の始まりが雨だろうと城内の動きは変わらない。国王と宰相そして四家の貴族達はいつもの通りに会議に参加していた。相変わらず国王を抜きにして進む話にルトナーはうんざりしていたが、もちろんそんな心中を表には一切出さずに無関心を装って定位置にただ座っていた。

貴族たちの茶番も落ち着きを見せた頃、


「そういえば陛下、国王認定を決められたそうですね」


おもむろにストラス=ゼストがルトナーに話しかける。一見しただけでは何時もどおりの表情だが声色が硬い。その理由が分かっているルトナーは内心苦笑いをするが、ストラス本人は上手く隠せているつもりだろうから、特に指摘はしないでおく。相手の心の内が理解出来ている方がやりやすい。


「ああ。今、宮廷絵師にカタログ用の絵を描かせているところだ」


ルトナーは当然のように答える。年に一度国が発行する国王認定種のカタログは交易に使ったり、国民が見たりと、この国でのベストセラーだったりする。


「選ばれたことは大変喜ばしいことだとは思いますが、あの花では少々地味ではないかと」


明らかに嘲笑を含んだ声だ。話を振った時の硬い表情よりも隠す気がない嘲りに、流石のルトナーもムッとする。


「それは花に対する文句と受け取って問題ないか?」


珍しく怒りを表に出して答える。ルトナーは、本来なら一笑に付して適当に合わせながら説得するべきだと解っていても止まらなかった。言葉を尽くしたところで目の前の彼は理解をしないだろう。

普段の様子からは考えられないルトナーの怒りを露わにした様子にストラスは飲まれそうになったが、国王とはいえ自分の半分の年齢の人間に畏怖を感じたなどと認めることは、ストラス自身のプライドが許さない。そしてそのプライドを守るために、相手よりも尊大な態度を示すということで一瞬前に自分が感じた畏怖を覆い隠そうとした。


「そういう意味ではございません。あくまでも、私の主観による感想でございます。即位後、一番初めに認定を出す花はフランツェンで貴族の者の花という慣例を破ってまで選んだ花があれでは陛下の権威にさわるのではないかと心配をしているのでございます。

 どうでしょう陛下?ここは今一度慣例に合う人物から花を選んでは?今なら事務手続きのミスということにでもして置けば間に合うでしょう。なんでしたら、私が良い花を見つけてきます。」


ストラスは自分の発言に満足そうに頷くとゆっくりと足を組み直す。明らかに出過ぎた発言と不敬な態度に他の貴族達はハラハラしながら遠巻きに見つめるだけだ。宰相のローンだけはストラスをこれ以上の暴言を止めようと椅子から立ち上がろうとした。ルトナーはそれを、片手を上げることだけで止めるとゆっくりと自分が立ち上がった。ストラスの態度が虚勢だと見抜いてはいたが、ここまで花と自分を悪し様に言われて黙って居てやる謂れはない。


「君の主観は聞いていない。僕の権威に不安があるのなら、いつでも辞めるといい。一介の貴族に戻れば僕の権威のことなど心配する必要は無くなるだろうし、君はもう一生分の利益を得ているだろう」


大声を上げている訳でもないのに周囲に絶対的な存在感を感じさせるルトナーに部屋の空気は凍りつき、誰も微動だに出来なかった。


「仰っている意味が良く解りませんが」


震える声でそれだけを言うストラスにルトナーは冷ややかな視線を送る。


いったんここで切ります。ノートに続きは書いてあるので次の更新は早いといいな(希望)

文化祭月間のためどうなるかわからないです。

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