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ep.6 『落とし物と、電動アシスト自転車』


 こんなことがありました。

 

 とある家電量販店へ行った帰りのこと。


 家電量販店から外に出ようとする私。自動ドアが開開き、一歩外に出たタイミングで、ベビーカーをおすママさんが私の前を通り過ぎた。


 ママさんは、ドアの前に立つ私から見て右側に向かって行った。


 私も右に向かおうとしていたが、何気なく左側をみると、道端に何か落ちているのが見えた。色は白っぽい。何かがくしゃっと。

 

 布? タオルみたいなものか? ベビーちゃんのかな?



「あっ! ベビーカーのママさんが、なんか落としとる!」って思って、私は落とし物を拾い上げた。



 それは白いカーディガンのような衣類だった。



「大変だ! ママさん気づいとらん!」


 そう思って『正義の味方』の私は、ベビーカーをおすママさんの背中に、「落としてませんか!」と格好良く声をかけようとした。




 その時だった……




「ごめ〜ん! それ私の〜!」


 左方向から物凄い勢いで電動アシスト自転車を漕いで、おば…… 年配の女性が走って来る!


 電動アシスト自転車の女性は、私をひき殺さんばかりの勢いで接近して止まった。


 私は引きつった顔で「あ、そうでしたか…… あっちの(かた)のかと思ってしまって…… よかったです」ちょっと驚いたが、白いカーディガンを手渡した。


「ごめんごめん。ありがとうね〜」おばち…… 女性はお礼を言って、なぜか私の肩を叩いた。

──痛い…… なんで?


 そして再び、電動アシスト自転車のポテンシャルを、見せつけるような物凄い勢いで走り去って行った。



 ベビーカーを押すママさんの背中は、もう遠くの方にあった。あのママさんとベビーちゃんは、家電量販店の入り口付近で起こった事の顛末を知ることはないだろう。


 

 もしも…… 私が落とし物を持って右側に走って行ってたら、おばちゃ…… 年配の女性から、

「待て〜! どろぼうー」

「誰か〜! 捕まえてー」ってなってただろうか? 

「やだ〜! 助けてー」って。


 まさか…… 私の肩を叩いたのは「犯罪者にならんでよかったな」「私だったからよかったものの」というと意味で…… だから、まあまあ強めにバシッと?


 まあ。結果オーライだ。落とし物が無事に、持ち主の手に渡ってよかった。私も『泥棒』ではなく『正義の味方』で終われた。結果良いことをしたことに、かわりはないのだ。




──うん。なんか、いい一日だったな。




 清々しい気持ちで、電動アシスト自転車で爆走する後ろ姿を見る。そして、ヒリヒリ痛む肩をさすりながら、心の中で叫んだ……




「また、落とすよ! おばちゃん!!」




 おしまい 原口 モ でした。



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