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一日に三回も告白された嘘みたいな俺の話、聞く?  作者: 陽花紫


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1/4

告白を受ける

 大学の、少し長い昼休み。

 いつものように購買で買った弁当を抱えて歩いていたユウキは、親友であるケイタに突然呼び止められてしまう。

「なあ、話があるんだけど」

 いつもは笑っている目が、今日はやけに真っ直ぐであるかのように感じられた。

「ん、どした?」

「ここじゃなんだだから、ちょっと……」


 ベンチまで歩いて並んで座ると、ケイタは深く息を吸う。

「ユウキのこと、ずっと好きだったんだ。俺と、付き合ってほしい」

 その声は、わずかに震えていた。

 冗談ではないとすぐにわかるほどに、その顔は真剣そのものでもあったのだ。

 空腹されも忘れてしまうほどの衝撃と、心臓を直接握られたような感覚。


 それが、今日最初の告白であった。


 返事を求めるような視線に、ユウキは何も言えなかった。

 たまたま通りかかった教授に呼び出される形で、話はそこで途切れてしまったのだ。


 ケイタは大学の入学式の時に、席が隣同士で意気投合した仲でもあった。

 偶然にも同じ専攻で、常に隣にいた存在でもあったのだ。

 その容姿はユウキと同じく目立った特徴はないものの、それでも似た者同士としてつるんでいた。

 どのようなことでも気楽に話せて、休日もよく一緒に食事や買い物に出かけていた。


 しかしそのような想いは、これまでに一度だって感じたことがなかったのであった。


「ケイタ……、まじかよ……」


 思考が追いつかないまま、ユウキはバイト先である居酒屋へと向かっていた。


 夕方になり、店長と交代で厨房にいる時に、先輩であるシュンが突然言った。


「ユウキ、今いいか?」

「はい。なんですか?」

「少し、聞いてほしいことがあるんだ」


 シュンは頼れる兄貴分のような存在があり、体格もユウキより大きかった。

 誰にでも優しく、いつでも余裕があったのだ。

 しかしそのシュンが、珍しく言葉を探すように口を開いていた。


「俺、お前のことが好きなんだ。ずっと。……男でも、お前ならいい」


 持っていた伝票を落としそうになるほど、ユウキは息を呑んでいた。


 それが、二度目の告白であった。


 返事を聞かれる前に、急な注文が入りその会話は途切れてしまう。

 ユウキはそのまま、時間いっぱいまで働いた。



 そして帰り道。

 自転車を押して歩いていると、近所の曲がり角でサトシと出会った。


「サトシ!久しぶりだな」

「ユウキ、バイト帰りか?」

「そんなとこ。お前も?」

「いや、俺はちょっとコンビニに……。でも、忘れ物したから戻るとこ」


 そうサトシはユウキと同じ方を向き、並んで歩く。

 二人は家が隣同士で、幼馴染でもあったのだ。


 あと少しというところで、突然サトシは立ち止まる。

「ユウキ、ちょっといいか?」 

「うん?」


 サトシは高身長で、誰の目にも格好良く映る完璧な男でもあった。

 しかし昔から不器用で、気持ちを素直に言葉にすることが苦手でもあった。

 ユウキは静かに、その言葉を待つ。昔から、そうしていたように。


「ずっと、言えなかった。……お前のことが、好きだ。小学校の時からずっとだ」


 今日、三人目の告白であった。


 現実味がなく、まるで冗談のように思えてしまう。


「……えっ俺、今日死ぬの?何かのフラグ?」

 冗談であるかのような声が、勝手に漏れてしまっていた。

 しかし、サトシは笑わなかった。

「死なすかよ。俺は、本気で言ってるんだ」


 その目を見た時、ユウキはようやく理解した。

 誰も、冗談などで言っているのではないと。


「返事は、いつでもいい。……それじゃ、おやすみ」

 そうサトシは、颯爽と駆け出してしまう。

 ユウキは呆然と、立ち尽くすことしかできないでいた。


***


 その夜、ユウキは自室のベッドに沈み込む。


「俺、誰を選べばいいんだ?いや、そもそも……誰も選ばないほうがいいのか?」


 天井を見つめながら、三人との未来を想像してしまう。


 もし、ケイタを選んだら。

 もし、シュンを選んだら。

 もし、サトシを選んだら。


 どのような未来が待ち受けているのかと。


「あー、だめだ。ねむい……」


 ほどよい疲労と毛布のあたたかさによって、ユウキの思考はゆっくりと溶けていくのであった。


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