018:鬼と化すは切り札
「……」
ガレージに籠る事――1時間ほど。
坂崎さんから連絡が入り、俺の番がそろそろ来ると教えてくれた。
俺はそのメッセージに返信し閉じてから、小さく息を吐く。
そうして、ゆっくりと視線を上げて――生まれ変わったエースを見つめた。
カラーリングを変更し、俺が受け継いだ学ランのような赤黒い塗装を施し。
各部の装甲に黒いラインが引かれていた。
見かけはかなり変化し、それはまるで昔話に出るような――“鬼”に見えた。
全体的に装甲を増設し。
全長は変わらずともマッシブなフォルムになっていた。
腕回りは太く肩の方も盛り上がっているほどに厚みがある。
特殊なスプリングを内部に仕込みパンチの威力を底上げするらしい。
足回りもごつく、その部分にも特殊なスプリングを仕込ませていて。
蹴りの威力を上げたり、より大きく跳躍したりできるようにしたらしい。
また、腕と足の隠された関節部は球体状になっており。
これにより、より人間らしい滑らかな動きを可能としているとシュウは言っていた。
胴体部は胸部装甲が厚みがあり、ウェストの部分は引き締まっていた。
関節部などを保護する為に、スカートのようになった装甲を増設し。
弱点となりえる部分は徹底的に隠されていた。
洗練されたバランスがある。
肩部と腰部に武装をマウントさせる為のアームは取り外し。
その位置にスラスターをつけた事によって機動力を確保した。
背中につけられたメインが一つ。
大きな箱のようになったそれの先端にノズルがあるが。
あのスラスターの中身は簡易的なプロペラントタンクになっている。
またリミッター解除時には両横の装甲を展開し、隠された二つのスラスターが現れて更なる加速を生み出す。
その分、エネルギーの消費量はとんでもなく、体への負荷もデカいようだ。
後は腰のサブスラスターが二つ。それと、各部に埋め込むように補助的な噴射口を取り付けていた。
頭部はバイカーの被るメットのようであり、先端が鋭利に尖っていた。
両耳のアンテナは健在であり、真ん中の単眼センサーも保護バイザーの下にある。
かなりカスタムが施されているが、エースの名残はちゃんとあった。
それと、格闘特化にする事によって重点的な改造が施された拳は闇のように黒かった。
シュウが説明するのを聞いていたが。
あの拳は特殊なもので、その形状を見ればその異様さは嫌でも分かる。
拳を握った形状であれば、それは螺旋を描くような――ドリルになっている。
『拳を固めて攻撃モーションに入れば、拳が高速で回転するからな!』
ドリルの形状と高速回転によって。
打撃自体の貫通力を高めている。
その上、特殊な材質とコーティングによって耐熱と耐腐食が強化されているらしい。
並みの熱や溶解液では欠片も損傷はない、か……すげぇな。
おまけに、こいつにはまだ秘密があるらしい。
それについてはまだ解放はされていない。
理由は単純であり、それを試せるだけの技量も経験も今の俺には足りていないからだ。
分不相応の力は己を殺す、ってか……ま、そりゃそうだ。
今はこれで十分。
これだけあれば――戦いになる。
頑丈さは向上し、機動力も底上げされた。
問題があるとすれば、全力での戦闘を行えば長くは保たない事だ。
短期決戦型であり、その課題の克服は今後のシュウの働きに掛かっているがな。
俺は両手を広げて――頬を叩く。
「いてぇ!」
爆発のような音が響いた。
全力で叩いた事によって頬はパンパンに腫れていた。
が、俺は笑みを浮かべる……気合が入ったぜ!
これで準備は整った。
後は持てる全てを使って――ぶつかるだけだ!!
「……かまいして来い!」
「あぁ、やってやるよ!」
振り返れば、シュウがにっと笑い親指を立てる。
俺は笑みを浮かべて親指を立てた。
俺は指を動かし、ガレージから出る。
体が光になって――――ステージ脇に出ていた。
「あ! ジン選手いました! はい、はい……分かりました! ジン選手! ステージに上がってもらえますか!? 相手選手が既に来られていますので!」
「分かりました!」
俺はスタッフの言葉に頷き小走りで近づく。
そうして、彼が背中を叩いたのを確認し、俺は階段を駆け上がっていく。
「「――!!」」
「……うし」
マスクはつけている。
気合も十分だ。
観客たちも盛り上がっていて……いるな。
全身黒尽くめの小柄なフルフェイス。
年齢不詳で性別も不明。
全てが謎に包まれたメット野郎で……でも、関係ねぇさ。
相手がどんな奴だろうとも、俺は全力で戦う。
それがメカ・バトであり、それが戦いだからだ。
司会者が何かを言おうとした。
が、俺はそれを無視してメットの前に立つ。
奴はジッと俺を見ていて、俺は静かに手を差し出す。
「……?」
「全力でやろうぜ」
俺はにしりと笑う。
すると、メット野郎は首を傾げていた。
が、暫くすれば意図を察して人差し指だけを俺の手に添えてくれた……掌全てとはいかねぇか。
――それでも、いいさ!
俺は指を軽く握る。
そうして、目的を達した俺は手を離して自らの立ち位置に戻る。
すると、黙って見ていた司会者はハッとして慌てて俺たちに準備はいいかと確認してくる。
「あぁ何時でもいいぜ!」
「……」
互いに指をIECEに添える。
それを見た司会者は頷き――号令を掛けた。
俺は叫び。
相手もぼそりと言ったのが微かに聞こえて――――…………
…………――――目を開ける。
周りを見れば、新しいステージで……“森林地帯”か。
獣の鳴き声が聞こえている。
ざわざわと風に揺られて機体よりも遥かに大きい木が揺れていた。
地面は少しぬかるんでおり、場所によって違うのだろう。
障害物となるのは無数に生えた木々。
それと大きな岩や廃棄された人工物たち。
船のようなものの外装であったり、雑草が生い茂る半壊したレインなど。
「……アイツは……見えねぇな」
周りには奴らしき機影は見えない。
レーダーにも無反応であり、恐らくはお互いに少し距離を置いた場所に飛ばされたのか。
となると最初に敵を発見した方が有利であり……スピード勝負ってとこか。
俺はそう当たりをつける。
そうして、拳と掌を打ち付けた。
「おもしれぇ……上等だ!」
カウントダウンが始まる。
俺は闘志を高めながら、姿勢を低くする。
メインとサブのスラスターを温めていきながら、俺は眼前の木々の隙間を見つめる。
アイツが何処に飛ばされたか。
それは残念ながら皆目見当もつかない。
アイツならもしかしたら俺がいる位置も分かるのかもしれないが。
それならそれで深く考える事無く、俺はこのステージを駆け抜ける方が良い。
駆け引きは重要だが――男なら勝負を懸けてこそだッ!
正面だ。
正面を突っ切りながら、奴を探す。
隠れてこそこそするのは性に合わない。
だからこそで――カウントがゼロになる。
「――行くぞッ!!」
俺は叫ぶ。
そうして、スラスターを噴かせて――景色が一気に流れた。
「うあぁ!?」
眼前に大木が映る。
俺は動揺しながらも反射的に半身の噴射口からエネルギーを噴射した。
位置を変えてスラスターを噴かせてギリギリで避ける。
そのまま少し速度を落としながら進み――通信が強制的に繋がされた。
《馬鹿野郎ッ!! 何考えてんだッ!! もうちょっとで事故ってたぞッ!?》
「わ、わりぃ!! 遂、何時もの感覚で」
《遂じゃねぇ!! いいか!? こいつは今までのエースでもなければさっき乗ってたやつとも違う。俺が全力でカスタムしたんだ!! 瞬間加速だけなら、どんなモデルよりも優れてるって俺は自信を持ってんだからな!!》
「わ、分かった!! 分かったから……それで、調整は出来るのか?」
俺はシュウを落ち着かせながら質問する。
すると、視界の端にパラメーターのようなものが表示された。
《……今やってるよ。以前のお前と少しデータが違うみてぇでな……その情報を更新しながら、今のお前に機体を最適化しねぇといけねぇ……どうだ? 少し違和感があるんじゃねぇか?》
「……ある。微妙な感じだけど、手足の動きが遅れていてスラスターの調整なんかも少し、な」
《正直でよろしい。んじゃ、そのまま飛行しながら慣らして――はぁ!?》
シュウが声を荒げる。
その理由は俺にも分かっていた――レーダーに反応だ。
此方に向かって高速で接近している。
隠れる気も無く、堂々とエネルギーを使っていた。
相手にも俺の位置がバレているようであり……やるしかねぇ!
「シュウ!! 頼むぞ!!」
《おぅ!! テメェも死ぬんじゃねぇぞ!!》
互いに鼓舞し通信を切る。
そのまま、俺は機体を停止し地面に着地する。
土のぬかるみはそのままに。
周りには木々が生えていて、地面を見れば野生の動物もいる。
背中の方からは水の流れる音がする。
空は葉っぱで埋め尽くされていて、僅かな光で周りがほのかに照らされていた。
センサーは自動で周りの明度を調整する。
レーダーは敵を捉えていて――“消えた”。
「……!」
完全にレーダーから消えた敵。
俺は足を肩幅に開いて、拳を固める。
風が吹き、木々が大きくざわつき始める。
緊張が走り、たらりと汗が流れて――背筋がぞくりとした。
背後を振り返る。
その瞬間視界の端で小さな輝きを見て――甲高い音が鳴り響く。
《……》
「……会いたかったぜ」
背後からの殺気。
しかし、実際には真横に敵がいた。
奴は刃を下から上げて、俺はそれを手の甲で受け止めた。
ギャリギャリと火花を散らせていて、俺はそんな奴の顔面に拳を叩き込み――消えた。
「――残像!」
スカーレットの時に見た蜃気楼のようなもの。
俺が勝手に残像だと認識したそれ。
瞬間、背後から敵の気配を感じて前に飛ぶ。
風を切り裂く音が響く。
噴射口からの噴射で姿勢を変えて背後を向く。
すると、姿勢を低くくした状態でフルフェイスの機体が迫ってきていた。
俺は拳を構えて――応戦する。
敵が凄まじい速度で刃を振るう。
まるで人間そのものの滑らかな動き。
が、明らかに人間を超えた速度で刃を振るっていた。
対する俺もその刃を拳で弾いていく。
見えていない。
全てが見えている筈がない――が、分かる。
何千何万と戦って死んだ。
だからこそ、殺気も敵の攻撃の軌道も――体が分かっていた。
本能。心が導く答え。
それに合わせるように肉体が動き――エースが応えてくれる。
目の前で花火のように激しい火花が散る。
が、攻撃を喰らう事無く全ての攻撃を――奴の体が揺れる。
「……!」
攻撃の軌道を予測し拳で弾く――が、僅かに腕の装甲を削られた。
通った。攻撃を受けた。
何故、どうして――“違和”だ。
調整がまだ済んでいない。
だからこそ、確かに感じる小さな綻び。
それによって、相手の攻撃を完全に受け流せない。
そう感じた。だからこそ――“横に飛ぶ”。
《……?》
敵の刃は空を切る。
奴は機体の首を傾げながら、離れて行く俺を見つめていた。
攻撃を受け続ける訳には行かない。
あのままやっていれば、相手の攻撃を受ける事になる。
調整が終わるまでの時間稼ぎを――違う。
時間を稼ぐ、逃げ続ける、相手から敵から――背を向けて?
「――ちげぇだろ、ボケが」
俺は低い声で吐き捨てるように呟く。
そうして、地面へと一気に接近し足で地面を滑るように機体を停止させる。
敵を前にして背を向けるのは男じゃない。
ヒーローであるのなら、どんな状況であっても逃げる事はしない。
もしも、その背中に守るべき人間がいれば尚の事……いるじゃねぇか。
俺は一人で戦っている訳じゃない。
天龍寺高校メカ・バト部の部員として戦っている。
俺を信じて送り出してくれたゴリ先輩。
俺の事を仲間として認めてくれた服部先輩。
優しく接してくれたおにぎり先輩。
友達として。そして、高め合う仲間として一緒にいる桜間。
それと、そんな俺たちをサポートしてくれる坂崎さん……いるじゃねぇか!
仲間が、友達が――“戦友”がッ!!
レーダーが再び敵の接近を知らせる。
俺は敵が向かってくる方向を向き、足を広げて両手も広げた。
「さぁ――かかってこいやァ!!!」
歯をむき出しにして笑う。
戦意は十分、相手にとって不足無し。
例え今の俺の状態が完全なものでなくとも――これが今の俺の全力だッ!!!
敵がレーダーから消える。
そうして、ワイヤーの射出される音が響き――泥を巻き上げながら足を回す。
その場で回転しながら、俺は腕を振るう。
すると、無数の残像が周りに見えていた。
俺はそれを見る事無く――拳を動かした。
「……ぐぅぅ!!」
無数の感触。
拳以外に触れた斬撃が装甲に傷を作り出す。
風の刃であり、腕の傷の痛みからその中に金属粒子が混じっていると気づく。
苦悶の表情を浮かべながらも耐える。
――が、風だからこそ綿のように軽い。
その中に確かな重みがあった。
俺はそれを看破し、足を振り――蹴りつけた。
《……!》
「そこだァァァ!!!!」
確かな手応え影のシルエットのようなものがハッキリと見えた。
十字のセンサーの光を点滅させる敵で。
奴は片手を上げながら何とかガードをしていた。
が、俺は叫びながら足に力を入れて――振り抜く。
出力の上がった蹴りだ。
奴の軽い機体は後方へと飛ばされて行く。
そのまま大木にぶちあたる――その前に、奴は機体を捻り足をつく。
「――な!?」
《……》
奴はそのまま両足で大木を蹴り。
そのまま双剣の切っ先を前に構えてを機体を回転させる。
俺は反射的に右足で踏み込み、拳を握りしめて――放った。
正拳突きであり、拳を固めた事でそれが高速で回転する。
奴の回転する双剣が拳に当たり――奴が機体の足を開いた。
瞬間、奴の機体は拳の回転に合わせるように動き。
そのまま足先に触れた地面を蹴りつけた。
いや、蹴りつけたというよりは足裏のスラスターが噴いた。
そうして、奴はドリルから武器を弾き、俺の頭上を回転しながら舞う。
俺はスローに感じる中で、そんな奴の動きを見て――前方に倒れる。
拳を放った状態だ。
後ろに飛ぶ事は不可能だった。
拳を突き出したインパクトは完全に受け流されて。
俺は一瞬の判断で機体を前に倒す。
背後で静かな殺気を感じながら、倒れていき――上半身だけを回転させる。
瞬間、上からブーストをした状態で双剣を振り下ろす奴の姿がハッキリと見えた。
俺はそれを見ながら両肘を――地面に打ち付ける。
爆発音が響いた。
泥が大きく跳ねて機体が僅かに沈む。
が、それにより脚部が僅かに浮き――足を馬のように蹴り上げた。
《――!》
「どうだァ!!」
奇想天外、奇天烈以外の何物でもない。
上半身は反対を向き、残った足をぬかるみから出して馬のように蹴り上げた。
奴にとっては想定外だったのだろう。
こんな奇妙な戦い方をするのは俺ぐらいか――けど、それでいい!!
奴は僅かに動揺しながらも、剣の刃で蹴りを受け流す。
そうして、そのまま機体を回転させてワイヤーを放ち――俺も飛ぶ。
《……!》
「勘が当たったぜぇぇ!!」
ほぼ勘だった。
こっちに行くだろうと予想した。
それが当たった事で、奴は距離を離せなかった。
咄嗟に攻撃しようとしてきた奴の攻撃を下半身を回転させた蹴りで牽制する。
奴は後方へと機体を飛ばす。
俺は機体を奴の方へと向き直し、そのままブーストによって接近する。
「度胸だァァァ!!!」
奴が双剣を構える。
俺はそんな奴に対して馬鹿正直な拳の一撃を放った。
奴は流れるような動きで、俺の拳を――受け流せない。
《……!》
奴がハッとしたような息遣いが聞こえた。
気づいたようだが、遅い。
拳に纏わりつかせた粘性のある泥。
態と振り払わずにつかせた事によって。
回転するそれに気づく事無く、奴はまたしても拳に刃を這わせた。
その結果、泥の僅かな引っ付きによって力の加減を見誤った。
奴の剣から嫌な音が鳴る。
削り取る音であり――奴がもう片方の剣で拳をかちあげた。
「おぉ!?」
俺の機体よりも遥かに細い腕。
それで俺の拳を腕ごと弾いて見せた。
が、二つの剣を見れば罅が走っていた。
限界であり、これ以上は使い物にならないだろう。
そうだと確信し、俺は勝負を決めようとし――心臓がドクリと跳ねた。
瞬間、俺の体は自分の意志に反して――奴から大きく距離を取る。
何故なのか。
それを考えるより前に――“結果が見えた”。
奴のセンサーが一瞬だけ強く光った。
瞬間、目の前の空間が歪んだような気がした。
そのまま奴から距離を取れば、奴自身も遥か前方の大地に足をつけて――目の前で大木たちがガラガラと倒れて行った。
「…………は?」
理解できなかった。
レインよりも遥かに太い大木が。
何本も突然倒れて来た。
見れば、鮮やかな切断面が見えていた。
範囲にすれば、半径20メートルから25ほど。
その中に存在した大木が綺麗に切断されていた。
「……!?」
遅れて胸の当たりに痛みが走る……斬られた、のか?
胸に横一文字に切り傷が走っていた。
強化された状態のエースの装甲に傷をつけたのだ。
それだけでもかなりの切れ味で……アイツがしたってのかよ?
俺は倒れた大木の隙間から見える静止した状態の奴を見つめる。
よく観察すればその体からは蒸気が噴き出していた。
いや、蒸気というよりは煙に近いのか……動かない?
誤作動でも起こしたのかと奴を見つめる。
確実に倒すチャンスなのに、先ほどの意味不明な攻撃を警戒して動けない。
奴の機体に変化はなく。
あの壊れかけの双剣以外には何も――通信が繋がる。
《おい!! 生きてるか!?》
「……あぁ何とかな……間に合ったか?」
《おうよ!! すぐに上書きすっからよぉ――そりゃ!!》
「……!」
奴がボタンを叩くような音が響いた。
瞬間、俺の心臓がドクリと鼓動した。
体の内側。いや、機体の内部が作り替えられていくような感覚。
エネルギー残量も、傷が回復した訳でもない。
が、確実に俺の機体は俺自身の体に――馴染んだ。
俺は奴を警戒しながら、小さく拳を開け閉めする……すげぇ。
違和感が消えた。
他人の体のような感覚がなくなっている。
今ならハッキリとエースと俺の肉体が――シンクロしていると分かる!
「へへ、待たせたな……さぁ第二ラウンドと行こうぜ」
《……》
煙を噴き出す敵。
そんな奴に対して俺は鼻を擦るようなモーションをし。
片手でくいっと手を動かす。
奴は機体から煙を出すのを止めて――顔を此方に向けた。
そのセンサーの色は青から一変し――攻撃的な赤に変わっていた。
奴も本気だ。
恐らく、今までのようにはいかない。
が、俺自身も機体が最適化された……やってやるよ。
俺は闘志を燃やす。
集中力を極限まで高めて――横に飛ぶ。
敵も同じ方向へと飛び。
俺たちは木々の合間を縫うように飛行する。
見える、感じる――自分そのものだ!!
真の意味で生まれかわったエース。
その“心臓の鼓動”を感じながら――俺は目を輝かせた。




