わたしのしごと
空想世界・古代發次の都市に暮らしている寧寧は、「あること」の達人だった。
彼女の本当の仕事とは――
古代發次の都市に私は立たずんでいた。
本日中に精算しなければならぬ。
私は今日も、どんな時もわき目も振らずただただ一生懸命に「働いて」いた。
「おいっ、寧寧! どうして2万円も足りないんだ!」
今ある金を指さして、上司は憤る。
「仕方ないんです、仕方ないんです……」
そう言うと私は涙を流した。悲しくもないが泣くことができるのは、幼少期に演劇学校に通わされた成果だった。
「さっき見知らぬ男がやってきて、『おらぁ! 金をよこせ!』と盗って行ったのですよ」
「見知らぬ男? なんだそれは……証拠はあるのか?」
私は首を横に振った。
「そりゃあ、横暴な男ですから、証拠なんて残していませんよ。そんなことをするような男です。用意周到なのです」
そう言うと、私はまた涙を流す。嫌々通っていた演劇学校が役に立つなんて。
「代わりにお前が払え! 盗られたのはお前の不注意でもあるんだから」
私は胸ポケットから補填の2万バンドを差し出した。
「私の生活費です。これがないとどうも生きてはいけませんが……
私のせいで仕方ないことです。どうぞお受け取りください」
上司はめんどくさそうに受け取った。
「ふんっ、これからは気を付けるんだぞ」
そう言って去っていった。
彼が完全に去ったのを確認すると、私はそっと着物の奥から2万円を確認した。
「なんて愚かな」
先程上司に渡した2万は偽札で、こちらが本物だった。
自作した偽札はまるで本物のように、他の本物の札に紛れ込んでいる。
男に襲われたなどと申告しなくても良いのかもしれない。
でもそれだと「リスク」がある。
上司には綿密に札を数える癖があった。私の偽札がどんなに精巧な作りだったとしても、彼の数え方だとバレてしまう可能性があった。
だが、追加で2枚渡せば、安心しきって綿密に数えることはなかろう。
私は今日も偽札業に勤しむのだった。
きっかけは、高利貸しの日雇いをした時だった。




