表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
幸運で不運な灰色賢者  作者: いちた
第二章 王宮の影と、最初の“神託”

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

24/44

エピローグ 新たなチェス盤

その夜、王都が静寂に包まれる頃。

騎士団長ヴァレリウスの私室の灯りは、まだ煌々と灯っていた。


「――以上です。最高顧問フィンは、セラフィナ様と共に、明日、辺境のグレイロック砦へ向かうとのこと」

闇の中から滑り出た腹心「影」の報告に、ヴァレリウスは盤上の駒から目を離さずに頷いた。


「ご苦労」

影が闇に消えると、ヴァレリウスは一人、指で駒を弄びながら、昼間の評議会を反芻していた。


(面白い…実に、面白い)


彼の口元に、冷徹な笑みが浮かぶ。


侍従長の証言が、満座の中で霧散していく、あの異常な光景。他の者たちは混乱し、セラフィナは絶望していたが、ヴァレリウスだけが、その現象の本質を正確に理解していた。


(『幸運』の代償による、記憶への干渉。あるいは、存在そのものの希薄化か。思った以上に、厄介で、そして…使える力だ)


彼は、オルドリン公爵暗殺事件を「テスト」と位置付けていた。


結果として、邪魔な研究者を排除し、その研究資料の大半を回収できた。そして何より、フィンという駒の性能データを、大量に得ることができた。


予測不能な「神託」による、情報収集能力。



偶然を装い、因果律を捻じ曲げる、状況操作能力。



そして、自らの功績さえも、人々の記憶から消し去る、完璧な隠蔽能力。



ヴァレリウスは、自らが動かした駒(暗殺者)が、フィンの手によって(間接的に)排除されたことに、怒りも失望も感じていなかった。


むしろ、彼の心は、自分とよく似た、しかし全く異なる「プレイヤー」を見つけた喜びに打ち震えていた。


「(セラフィナは、彼を『英雄』だの『希望』だのと言うが、違うな)」


彼は、盤上の白のキングの隣に、黒のクイーンを置いた。


「(あれは、混沌そのものだ。盤面のルールを根底から覆しかねない、あまりに危険で、あまりに魅力的な…ジョーカーだ)」



彼は立ち上がり、窓の外に広がる王都の夜景を見下ろす。その視線は、遥か北、フィンたちが次に向かうべき辺境の地を捉えていた。



辺境のダンジョン。そこは、彼の「同志」である魔族の過激派が、意図的に活性化させた場所。彼らの目的は、観測者のシステムにさらなる負荷をかけ、その綻びを広げること。


そこへ、フィンを送り込む。


(お前のその理不尽な力が、どれほどのものか)


(この絶望的な戦場で、どう生き延び、何を世界に見せるのか)


(そして、その代償は、次は何を奪う?)


ヴァレリウスにとって、辺境の危機は、もはや国難ではなかった。



それは、フィンという最高に面白い駒の性能を、極限まで試すための、**絶好の「チェス盤」**でしかなかった。



「さて、始めようか。…第二ラウンドを」

不敵な笑みを浮かべ、ヴァレリウスは、夜の闇に静かに溶けていった。

これにて2章完全終了です。。!

読んで頂きありがとうございます(´;ω;`)


ぜひブックマークやレビュー、感想などください!

頂けますとむせび泣きます。。!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ