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第7話:静謐の裏に──蠢く西の盟

「家康が、名実ともに天下を手に入れた……?」


春の京、佐和山城の奥深く。

その問いに対して、石田三成は声を荒げることなく、静かに目を閉じた。


「まだ、決まったわけではない。決まらせてはならぬのだ」


居並ぶは、宇喜多秀家、大谷吉継、小西行長。

さらに、牢人衆の間で勢力を伸ばしつつあった島左近や明石全登らの姿もあった。


「もはや、徳川に対抗できる者など……」 小西がつぶやく。


だが、それに応じたのは吉継だった。


「一つだけ、道はある──“正統”の名の下に、立ち上がることだ」


三成は立ち上がり、広げられた地図に目を走らせた。


「これは、戦ではない。“正しさ”を取り戻す政だ」


佐和山に潜む密書、京の公家へ。


宇喜多家の軍備、播磨の牢人召集。


毛利家との水面下の交渉。


すべては、見えぬ場所で蠢き始めていた。


「“西軍”は、まだ名すらない……だがその理念は、すでにここにある」


三成の言葉に、若き秀家がうなずいた。


「秀頼様の御為に……我らが声を上げる時だ」


佐和山地下──仮設情報盤より

『EDO通信網、佐和山からの擾乱信号感知:推定次動向──東軍批判文書作成/諸侯説得活動開始』


家康が歩を進めるたび、 その影で、西の志士たちが着実に牙を研ぎ澄ませていった。

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