第13話:伏見、炎上──城に残された忠義
慶長五年(1600年)七月末──
徳川家康が小山で反転を決断したその頃、西軍はすでに動いていた。
石田三成を中心に、大谷吉継、小西行長らが密かに連携し、
大坂城を拠点に豊臣家再興の狼煙を上げていた。
その第一の標的──伏見城。
ここには、家康の重臣・鳥居元忠が城代として入っており、少数の兵で守備についていた。
「元忠様、敵勢、数万。おそらくこの城の運命は──」
部下の声にも、元忠は微笑みを浮かべて首を振る。
「知っておる。それでも、ここで時間を稼がねばならぬ。
殿(家康)に、西上の隙を与えるわけにはいかぬのだ」
元忠は、徳川家に対する忠義を胸に、全兵士に訓示を行った。
「敵は多勢、我らは寡兵。だが、この城を守ることで殿が勝つ道が拓けるのだ。
ここに命を捧げる者、名を後世に残す覚悟の者、共に戦おう!」
士気は奮い立った。老兵も若者も、農兵も浪人も、皆が家康への忠義を胸に、刀を手にした。
やがて、西軍の大軍が城を取り囲んだ。激しい砲撃、猛攻が続く中、
元忠たちは数日間にわたり抗戦を続けた。
だが、八月一日── ついに伏見城の城門が破られ、敵兵が雪崩れ込んだ。
元忠は城の最奥、天守に火を放ち、自刃。
その姿を見た若武者が、叫び声とともに駆け寄る。
「元忠様ぁあああっ!!」
だがその瞬間、炎が天を突き、伏見城全体を包んでいった──
伏見の炎は、忠義の灯火。
この数日間で稼いだ時間は、後に徳川軍が関ヶ原へと進軍する余裕をもたらす。
EDO『伏見陥落。東軍戦略的成功:達成。元忠、徳川家最大の功臣として記録。』




