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星願の夢見  作者: 無光
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第7回─ドリーム


──


 少女は夢の中で、自分が深い青い色をした木々に囲まれた場所に立っているのを見た。木々は灰色の縞模様を持ち、幹は空高く伸び、微かな風に揺れながら、まるで古い秘密を囁いているかのようだった。森の奥からは、かすかなすすり泣きが聞こえてきた。


 彼女はその声の方を見やり、木々の間に身を丸めて座っている少女の姿を見つけた。肩を震わせ、泣きじゃくっている。その悲しげな泣き声は針のように彼女の心を突き刺し、彼女は思わずその子に近づきたくなった。いったい誰なのか、知りたかったのだ。


 しかし、彼女が木の根をまたいで近づこうとした瞬間、夢の中に響き渡る鋭い叫び声が耳をつんざいた。


 「レリス!」


 その声は雷鳴のように彼女の魂を揺さぶり、少女ははっと目を覚ました。目を開けると、彼女は自分がベッドに横たわっており、周囲は明るい日差しに包まれていることに気づいた。彼女は目をこすり、周りを見渡すと、時計の針が正午の12時を指していた。


 窓の外から日差しがカーテンを通して部屋に差し込み、空気には心地よい香りが漂っていた。彼女はその香りに惹かれ、起き上がって部屋を出て、香りの元を辿って台所へ向かった。


 すると、おじいさんが台所の前に立ち、手際よくさまざまな料理を用意しているのが目に入った。テーブルの上には豪華な料理が並び、奇妙な香りを放つ大きな鍋もあった。


 「おじいさん、どうしてこんなに早くから料理を作っているの?」少女は不思議そうに尋ねた。


 おじいさんは振り返り、笑みを浮かべながら言った。「お前がこんなに長く寝ていたから、目が覚めた時に美味しいものを食べてもらおうと思ってな。体力をしっかりと回復させるためにもね。」



 少女はテーブルの料理に目を向け、思わず尋ねた。「これは何?どれもすごく特別に見える。」


 おじいさんは、柔らかい光を放つ野菜スープの皿を持ち上げ、静かに説明を始めた。「これは夜の国特有の月光花の野菜スープだ。この月光花は満月の夜にだけ咲き、その花びらは銀色の糸のように細く、ほのかな光を放つんだ。それを煮込むと、スープは薄い銀青色になり、スープの表面には、夜空に輝く星のように光る花びらが漂う。」


 彼はゆっくりとスプーンをかき混ぜると、スープの中の光が流れ、まるで生きているかのように踊っているかのように見えた。


 「このスープは、気持ちを落ち着かせ、疲れを和らげるだけでなく、心に静寂と力を与えてくれるんだ。これを飲むと、まるで月の光を浴びているような感覚になり、すべての不安と心配が和らいで、純粋な平和だけが残るんだよ。」


 少女の目に喜びが輝いた。「これ、全部私のために用意してくれたんですか?」


 おじいさんは笑顔で頷き、「もちろんだとも。お前の体には、もっとたくさんのエネルギーが必要だからな。特にこの旅の途中ではね。」


 少女はその言葉を聞いて、心の中が温かくなり、感謝の気持ちで満たされた。彼女はそっとスープを一匙すくい、口に運んだ。野菜スープの甘みと花の香りが舌の上で広がり、今まで感じたことのない平静さが心の中に満ちていった。スープの一口ごとに、微かに冷たい感覚が広がり、まるで涼しい風が心に吹き込んでくるかのように、体が自然とリラックスしていった。


 「ありがとうございます、おじいさん。」彼女は感動して言った。



 おじいさんは彼女を見つめ、その目には慈しみが溢れていた。「さっき、あまり落ち着かない夢を見ていたようだけど、話してみたいかい?」


 少女は頷き、スプーンを置いてゆっくりと話し始めた。「変わった森を夢に見ました。そこに、泣いている女の子がいたんです……私は彼女に近づこうとしたけれど、突然『レリス』と呼ばれる声が聞こえてきて、それで目が覚めました。」


 おじいさんはその話を聞き、考え込むような表情を浮かべ、低い声で言った。「夢は時に心の反映であり、時に何かの兆しでもある。深い青い森は、夜の国と関係があるかもしれない。泣いている女の子は……」


 少女は急いで尋ねた。「それってレリスのこと?彼女は無事なんですか?」


 おじいさんはゆっくりと頷き、「レリスは自分の試練を乗り越えようとしている。そして、ヴィガは彼女を見つけるために全力を尽くしている。彼らの絆は非常に強く、夢の中でもそれを感じ取ることができたんだろう」と言った。


 少女は心配そうな表情で聞いた。「それじゃ、彼らはうまくいくんですか?無事にお互いを見つけることができるんでしょうか?」


 おじいさんは微笑みながら答えた。「希望を捨てさえしなければ、運命は必ず彼らに力を与えるだろう。だから、君も力を蓄えておくんだよ。君も彼らの運命の一部なんだから。」


 少女はその言葉を聞いて、責任感が心の中に湧き上がるのを感じた。彼女は深く息を吸い、真剣な表情で言った。「私も頑張ります。彼らを助けたいです。」


 おじいさんは満足そうに頷き、優しい笑顔を浮かべて言った。「そうだ、それでいい。まずはしっかり食べて休んでおきなさい。まだ長い旅が続いているんだから。」


 少女は微笑みながら、再びスープを口に運び、心の中の不安が次第に静まっていった。窓の外には明るい日差しが差し込み、すべてが穏やかで和やかに感じられた。






いつもご支援いただきありがとうございます。

星願の夢見において、少女が夢の中で見たあの少女はいったい誰なのでしょうか?


彼女とヴィガ、レリス、おじいさんの運命は、どのように絡み合っているのでしょうか?


ますます興味深くなる物語が、詩のように美しい世界であなたを冒険と謎解きに誘います。


改めて、ご支援に感謝いたします!この作品が気に入っていただけたなら、ぜひお気に入りブックマークとシェアをお願いいたします!


O(≧▽≦)O




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