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移動すら困難な探検に連れて行かれたわ!

お読み頂き有難う御座います。

姉により地下探検に引き摺り込まれたホノリアと星詠みです。

 ぴちょん、ぽちょん……。

 日本の夏ならホラーにもってこいな感じの、ジケッと湿った暗がり。


 ……私は、砂漠のオアシスに生まれし薄幸の姫ホノリア……。

 かなり性格が悪いクソガキ様だけど、未だ朗らかに過ごせる筈の伸びしろアリで未来溢れる幼少期なのよ。それなのに、何故こんな所に居るのかしら。

 しかも、私を殺す未来持ちの勇者と死ぬ予定の姉と、死ぬ予定の星詠みと一緒に……。


 しかも、地下だから風が無くて暑う!

 多少気温は低いけど、ちょい太ましい私は冷えるまでに時間が掛かるのよ!

 ここまで来るのに、砂漠の太陽が私を痛めつけてるのよ!

 ダメージ大よ!


「ホノリア、汗拭けよ」

「ぐっ。エマヌエル、有難う……」


 此処は中庭の変な石像の横にあった石を退かしたら有った地下道らしいわ。

 そんな子供に見つかりそうな危険な物が、何故有るのよ。ちゃんと塞いどけよ!


 好奇心旺盛過ぎるパワフルお子様であるハルミナ姉様が見つけちまいやがって、私も探検に巻き添えじゃないの!

 ううう、暑い……。汗で顔面とボディがべちょべちょよ!


「元気ないわね。レイに担がせる?」

「……この伸び切ったパン種モドキみたいなのを? 嫌だ……担ぐならハルミナがいい」

「煩いわー! 誰が貴様なんぞに担がれるか! 不敬よアンタ!」


 この勇者野郎! ハルミナ姉様が居なかったら打首にしてやりたいわ! ハルミナ姉様が居ないと一緒にいないけど、腹立つ! 権力欲しい! 何でこんなのを推してたんだ一生の不覚‼


 って……いかんいかん! 直にゲスな思考に飲まれるわね、流石若干小者の悪役感有るホノリアだわ!補正が効きにくいのかしら。そもそも、転生した私がゲスなの?


「……元気だねホノリア。俺が担ぐ?」

「エマヌエルは自力歩行出来るだけでいいのよ」


 そもそも体力無いんだし、付いてこなくて良かったのに優しいわね。でも、このパワフルなコンビに立ち向かう体力がないのも事実……。寄り添って生きていかなきゃいけない現実……。

 侍女を連れてくりゃ良かったんだけど、ホノリア姉様が追い返しちまってさあ。何で子供だけで危険地帯に追いやるの。良くないわよ。私はレアキャラでセレブなお子様だと言うのに……。


「星詠みの癖に、強がり……」

「勇者が何と言おうと、気にしなくていいよ。ホノリア」

「元気になったのね、ホノリア!」


 陽キャの性なのか、勘違い系脳筋の気があるのよねえ、ハルミナ姉様って。

 喋れば元気、会話してたら仲良し。

 ……そんな訳が無いのにー。でも、お子様だからなー。


「……しんどいですわ、ハルミナ姉様」

「何で? 喋ってんじゃん」


 むむ、ムカッと来たわよ。ゼエハアしながら喋ってるのに、労りがない!


「無理して歩いてますのよ。ムリヤリ連れてこられたのに、置いていかれたら困ります」

「そーなの? よく解んないけどしんどいなら休むわよ!」


 この陽キャー! 隙を見てブチのめしたいわー!

 ……いかんいかん。いかんわ。

 仲悪いと言うか、多分ホノリアとは根本から合わんのね……。

 でもなあ。


「何か有る……」


 勇者がボソッと言い出したわね。

 何かって何よ……。んん?


 ……。


「でっかい……ツボ?」


 ……スーパー銭湯の和風ゾーンに有りそうな、壺湯? いえ、でっかい焼物のツボ、かしら。人が一人丸々入れそう。

 ジメッとした廊下を辿った先にあるのが、コレ?


「水が流される……」


 ツボの周りに水路? みたいなのが張り巡らされてるわ。その辺はこの国チックなのに、和風のツボが風情をブチ壊してるというか……。改装してミスマッチだけど、勿体ないからムリヤリ置いたみたいになってると言うか。


「コレでジケッと湿ってるのね!」

「あっ、ハルミナ姉様! 近寄ると危ない!」


 って、何でよじ登ってるのよ! 油断も隙もない!

 子供しか居ないのに、落ちたら……勇者に責任取らせましょう。


「……ハルミナ、危なかろう……」

「へっ?」


 ……ん? 何かオッサンの声がしたような。

 えっ、まさか……。王宮に恨みを持つオバケ!?


「ハルミナに触るな!」


 あ、勇者がハルミナ姉様の元に飛んでった。凄いスピードね。

 あの勇者を滅茶苦茶懐かせたみたいだわ、ハルミナ姉様ったら。


 ザババア……。

 ……。


「ギャアアア!?」


 おっ、オッサンが! ツボの中からズブ濡れのオッサンが現れた!!

 な、何で!? 敵なの? 油脂バズって、戦闘要素有った漫画なの!?

 こっちは子供だし、素手と言うか、大して動けない己のもっちりボディしかないわよおおお!


「お、おとう……さま……?」

「オトーサマ?」


 え?

 ハルミナ姉様、今何て言った?

 オトーサマ?


 この、地下のツボに沈んでいた怪しいズブ濡れのオッサンが、オトーサマ?

 こ、皇帝なの!? そんな馬鹿な!


怪しいズブ濡れのオッサンこと皇帝陛下は、着衣のまま現れたので、セクシーシーンではない筈です。


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