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あっちの方がキラキラしてるわ

お読み頂き有難う御座います。

気候の不安定さにグラグラしております。

「こらー! レイ! 物を壊したら謝れー!!」

「し、知らね……。勝手に壊れ……痛い痛い!」

「反省しろー!!」


 鳥籠でふたりが運ばれてきて、丁度十日目の朝。

 中庭でハルミナ姉様の声が元気に響き渡っているわ。中庭は各建物が繋がってるから、筒抜けなのよね。喧しいな……。

 でも、全体的に黒いカラーリングの勇者が明るい色の服を着せられて、ハルミナ姉様とワチャワチャと戯れて……。

 ハルミナ姉様は明るくてキツめの美少女だから、美形になる美少年勇者とお似合い。まるで、主人公カップルみたいね。多分違うけど。……あのまま時が流れたら平和そうだなー。


「暑いのに元気よね……」

「ホノリア、年寄りみたい」


 私達は居室の二階の窓から覗くのみよ。こっちも子供らしく参加? 今の気温……真っ昼間で陽炎が漂ってるのよ。砂漠の昼間に走り回るとか狂気よ。私は未だ太ましいし、エマヌエルはガリガリなのよ。元気なさすぎグループは共ブッ倒れでしょうよ。タダでさえ色々エマヌエル関係とか私のワガママで苦労させてる侍女に、最近心労を負わせたくないのよ。

 それに、あのふたりみたいな健康優良児童じゃないし体力は最下層ね。いやー、どういう素材か知らないけど、ひんやり冷たいこの宮、最高。水の妖精だか精霊だかの力なのかなー。


「煩いわね。ならエマヌエルも中庭格闘に参加して来なさいよ」

「アイツと絡むと怪我するから嫌だよ」


 勇者と同郷な割に、仲悪いな……。もしかして、漫画でも仲悪かったのかしら。

 あの災厄に繋がりそうな腹立つ花柄幼馴染は、未だ見つけてないし……。見たらロースペックパンチを繰り出せそう。

 未だ権力をブンブン振るえない、子供の自分がもどかしいわー。

 でも、焦ってはダメよね。程良い未来の為に何とか健康にならないと!


「兎に角、私は痩せて、エマヌエルは肥らなきゃ。軽快に動けるタイプになるのよ」


 さもないといざという時動けないものね。即刻改善すべき虚弱コンビだわ……。

 あら、エマヌエルが不服そうね。何なのよ。


「ホノリアと姉ちゃん、何で俺とアイツを構うんだ? 星詠みと勇者は王宮でカイゴロシにされるって村長が言ってた」

「な、何ちゅうヒトデナシ系村長なのよ。誹謗中傷だわ! 信じちゃダメよ! エマヌエルは私の野望に一役買ってもらう為に健康にお役に立って!」

「おれ、飼われんの?」

「飼ってない! 人は飼えない!」


 とんでもない事言う村長ね。きっと悪くて酷い奴に違いないわ。

 しかし、飼い殺しとは……。

 酷い風評被害だけど、漫画ではマジでそうだったのかしら。有り得るな。本来のホノリアはきっとエマヌエルに見向きもしない筈。勇者と比べて華がない見た目だものね。よく見るとまあまあ整ってるんだけど。金髪碧眼でも色味は栄養不足でくすんでるし。十日では未だ栄養足りてないな。ちょっとだけ肌艶はマシになった程度かしら。栄養に関しては日にち薬よね……。


 でも、ハルミナ姉様は保護にちゃんとした形で手を貸してたっぽいわね。あの性格だし。

 口は悪いけど滅茶苦茶善人みたいだし。未だ子供なのに……。母親が善人なのかしら。という事は、ホノリアの母親はあんまり善人じゃなさそうね。でも、居たら色々聞けるのに、もどかしいー。


 ……あー、パッと分かる皇帝家族内勢力図欲しいなー。

 今の所生きてる三人の皇女、一番力を持ってるのはハルミナ姉様の所っぽいか。という事は、正式なお妃様ってことなのかしら。

 イサ姉様の噂すら聞こえてこない……。


「お母様って何処行ったのかしら」

「第七妃様は、未だ山荘で療養中で御座います」


 第七……。少なくとも七人もの女の人を奥さんにしてんのか皇帝。我が父親ながら滅茶苦茶ヤバいわね。ハーレム股がけ許すべしよ。

 てか砂漠に山があるのか……。この住んでる所からじゃ地平線しか見えないけど。滅茶苦茶遠そう。


「第七……お母様の名前って何だっけ。会わないから顔も名前も思い出せないわ」

「えっ!? カトリエ様です! 今、お姿の絵をお持ちしますね」

「ついでに他の家族のもお願い。いやー会わないと顔も名前も忘れるわー」

「たっ、直ちに!」


 ……ふふ、大成功じゃないかしら。取り敢えず家のことを調べなきゃね……。何かしら勇者に追い出されず、生き残るヒントが転がってるかもよ。


「家がデカいと大変なんだな」

「そうなのよ。因みに私は頭が残念だから、エマヌエルも勉強に勤しんで頂戴」

「ああ、うん……。それっぽいな」


 ……残念な生き物を見る目で見られてるのが何とも腹立たしいけど、仕方ないのよね。ロースペックだし。

 しかし、大人が侍女と、警備兵しか見ない。本当に此処って隔絶されているのね。不気味だ……。

 水の妖精に呪わしい程愛されてるから、囲われてるのよね……。それにしてもなあ。


 砂漠なのに閉鎖的で、ひんやりした建物。

 此処にずっと閉じ込められていれば、病に臥せったり、歪むのも分かる気がする。

 だから、山荘へ療養?

 お母様を外へ出したのは、私を産んだから? お役御免になったからかしら。


 勇者と星詠みとを此処に入れたのも、死なせない為……。

 希少生物を閉じ込めているような、狂気が漂っているの気がしてきた。


 ……やだなー!

 早く健康に生き残って、せめて其の辺の町でも気楽に彷徨きたいものだわ! 勿論、エマヌエルとね!

レアな子供を閉じ込める宮殿……。狂気ですね。

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