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窓際刑事  作者: 謎崎実
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窓際の机

文章力が全くないですが、どうか温かい目で見ていただけると嬉しいです。

 重たい段ボールを両手に、人気のない長い廊下をしばらく歩いていると、見えてきたのは妙な赤い扉。ネームプレートには〝警視庁一人課〟と手書きで表記されている。

 手に持っている異動辞令の用紙に書かれた部署名と一致しているかどうかを確認し、ドアノブに手をかけた。

 するとキィーという不快音をたてて開く重たい扉の隙間から光が漏れてきた。


 警視庁本庁の最上階、18階にある小さな角部屋。中には誰もおらず、大きな窓から照らす太陽の光がただただ眩しい。外を覗くと18階なだけあって内堀通りを走る車や人がありんこに見えた。


 そして部屋の中には一つのL字デスクがぽつんと置かれており、その上に段ボールを置くと部屋をぐるりと見渡した。

 部屋の左隅には多くの事件簿がずらりと並べられた棚が、もう反対側には鍵穴のついた火器保管庫が置かれていた。さらに事件簿棚の上にはロフトがあり、そこにはご親切に仮眠スペースまで設けられていた。


 昨日の夜、刑事部長に問い合わせたところ、ここでの仕事は事件の解決だということ。捜査一課が一生懸命に捜査している事件を横取りしたり、未解決の事件を解決するなど、好きにしてもらっても構わないと、見下したような口調で刑事部長がそう言っていた。

 他にもこの部署には上司がいないとのこと。つまり、何をするにしても責任を取るのは自分であるというわけだ。刑事部長やその他お偉いさん方が自分のカバーすることは一切ない。

 そう考えると一見、重大な責任がのしかかる部署にも思えるが、その分銃火器などの使用は逐一許可をもらう必要がなく、自己判断で使うことができるので気が楽ではあった。しかし、逮捕状の請求など、今まで周りがやっていてくれたことをすべて自分で行わなければならないので、そこは手間がかかってめんどくさいというのはあった。


「ふぁ~…眠い」


 長い距離を移動したせいか、眠くなってきてしまい、思わず大きなあくびをした。しかし、この部屋には誰もいないし、誰からも邪魔もされることはない。そう事件簿棚に掛けてあるはしごを上ると、ゴロンと仮眠スペースで仰向けになった。

 明日からちゃんと仕事をすればいいんだ、こんな自由な空間を使わないなんてもったいないじゃないか。

 そう心の中で言い聞かせると、モノの数秒で夢の中へと入っていった。


・・・


 そうして一年半という月日が流れていった。

 結局、この一年間何の事件も捜査しなかった。いわゆる窓際社員ならぬ窓際刑事だ。公務員だというのにいったい何をしているのか…。国民の税金をもらっているのにも関わらず、さぼっていたことに罪悪感を感じることは正直一日もなかった。

 出勤すると、まずはロフトへと上り、スマホでITubeやら動画配信サービスを楽しんでいた。それから昼になると、近くの定食屋さんやラーメンなどと外食を楽しみ、本庁に戻ってくるとまたロフトへと上がり、昼寝をかます。そんな生活を一年間ずっと続けていた。

 そのせいか、所轄にいた時よりも体重が増えれば、健康診断でアウトラインを超えたこともあった。

 それでも誰も文句は言わなかった。部屋をノックする者もいなければ、応援として呼ばれることも一切なかった。

 ここ最近では、渋谷で立てこもり事件があったらしいのだが、一人課に電話がかかってくることはなく、結局その日も部屋でぐーたらとしていた。

 駐車場に置いてある捜査車両なんかは、飯を食いに行くときに使っていたぐらいで、捜査目的で使ったことは一度もない。

 自覚したくはなかったが、完全に腐っていた。とりあえず出勤さえすればいい。そんな風に毎日思っていた。


 しかしそんなある日、いつもと同じようにゴロゴロしていると、コンコンという音が部屋に鳴り響いた。

 動画の再生を止めて確認するが、しばらく何も聞こえない。気のせいかと思い、もう一度再生したとき——。


——コンコン。


 再びノックするような音が響いた。

 慌てて動画を止めると

「すいません。誰かいますか?」

と30代くらいだろうか。若々しい男性の声が聞こえてきた。


「え…?」


 ついに俺の命日がきてしまったと、クビを悟った。こんだけ何もしていないのだ、いつか誰かが来ることは覚悟していた。勤務実績など俺にとっては皆無、ついにお偉いさん方がしびれを切らしてしまったのだろう。


「はい…今行きます」


 さて、刑事部長か、それともほかの連中か…。

 つばを飲み込み、緊張した様子で恐る恐るドアノブをひねる。

 キィーという不快音を立てながら開いていく扉のその先に立っていたのは…。


 ×××

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