第3話 圧倒的幼馴染力と顔
遅くなってすみません。リアルが忙しいのと執筆にアホほど時間がかかります。毎週とか毎日とか書いてる人ほんとすげぇなって思いながら不定期に逃げてます。皆さんも無理をなさらずに…。
入学式などという俺の顔面と国語力発表会だったものは記憶から消したので通り過ぎ、あっという間に部活を探しすことになった。
ただの生徒代表だった訳だが元会社員の本気を出し戦慄させてしまったことだけは覚えている。
中学校では特に部活に入る気がなかったが楽しそうという理由で茶道部に入った。前世ではバリバリ体育会系の部活に入っていたような気もしたが、体を動かすのは別に趣味でもできるからと普段そんなに興味のなかった茶道部に入ることにした。
先生に聞きに行くと顧問の人に話をしたら是非男の子に入ってほしいと懇願されたと担任の先生は口を引き攣らせて話していた。
とりあえず場所は校舎の西、だいぶ端っこの方に位置するそうだ。男の子が少ないのかな。入って色んな人と知り合えるといいな。
───なんて軽く思っていた。
「すみません、マジで辞退したいんですけど。」
「え、そんな。部長になってくれないと困るよ。」
「なんで入学したてほやほやの僕が茶道部の部長になるんですか!!先輩方人数がいるのに全員受験学年って去年は一体何をっ……!」
「あー、そっか。君たち1年生は去年の惨劇を知らないのね。」
不穏すぎるワードを放つのは、この茶道部の副部長の戸張沙綾先輩だった。
「あー、でも女子は結構知ってる人多いかも…。」
「まぁ有名な話だからね〜。」
他の部員も口々に言っている。ただ部員とされる人数はこれから入ろうと思う僕を含め5人だ。しかも男子1女子4。場の居づらさは言葉にするまでもないだろう。
「ちゃんと部員探してたよ。でも去年は学校1イケメンとされていた高崎くんがいたからね。女子みーんなテニス部に固まっちゃって流れてくる他の女子も茶道以外に、って感じなのよ。」
「しかも去年の生徒会長、まぁ今は卒業しちゃってる人がね、運動部推奨で体は資本系の体育会系だったのよ。私たちは趣味で運動をやってるって理由で茶道に残れたけど、全員が運動すべきって言ってほかの文化部も廃部寸前まで行ったとこもあったらしいの。」
「えぇ……。」
横暴すぎる。確かにうちの中学は比較的生徒に意見を述べさせて自治の基本を学ばせようとしてるからいいんだろうけど、明らかにやりすぎだろう。ただ行き過ぎた政権はいずれ反対派を産む。つまり今の生徒会長は…。
「で、今の生徒会長になったってワケ。ちなみに今の生徒会長は豊島力哉くん。りっくんって呼ばれてるよ。」
勝った!ついに文化部派が勝ったんだな!!
優しそうな名前、話の流れ、全てに矛盾はない!これで僕の文化部生活は確立!未来は安泰だぜ!!
「ちなみにりっくんこと豊島力哉くんは圧倒的体育会系部活推奨派で去年の副会長だね。ただ入りたくない人とかもいるだろうってことで無理に入れとは言ってないよ。部員を多く集めるにあたって去年から予算振り分けを運動部に増やしていたし、先生に直談判して文化部も多少増やしてくれてたみたいだから無論いい人ではあるよ。」
「うっそでしょ今の流れでそうなるの?!?!!!?」
今日一の絶叫が放課後の学校にこだました。
───────翌日。
「で、結局受けちゃったし、噂の先輩方と無事ゴールしたと。」
「受けたのはそうだけど、先を見すえすぎだろ。気が早いよ。」
隣のクラスから来た幼なじみが僕に話しかける。彼は芦戸春。部活はサッカーに入るらしい。顔は普通だが頭が良く、小学校の時バカやってた仲間とは思えないほどだ。ちなみに僕は顔も頭がいいのでもう何やっても許された(過言)
「一区切りついて昨日は帰ったけど、とにかく心配だよ。受験するから全員抜けちゃうらしいし、あの先輩みんなそこそこな大学に行くわけにも行かないからしっかり勉強するって言ってるからね。部活動の頻度もかなり少ないんじゃないかな。」
「とはいえだよな。まさか陸矢が先生に許可を得ないと入部できない至高の花園、茶道部に入るなんて…。」
「いや普通に入りたいんですがって言ったら入れたよ。」
「マジで!?!」
「ん?」背にまとわりつく何が不意に迫り来る気配を感じさせた。
「りっく〜ん?どうして私を差し置いてほかの女に手を出したのかな〜?オシオキが必要なようだね〜。」
「はっ!!!まっ、待て!!落ち着くんだちーちゃん!!幼なじみなのに世界を牛耳るクラスの殺気を振りまくんじゃない!」
この殺気を振りまく少女は大崎千紘。
彼女は幼稚園、ましてや生まれた病院すら一緒の幼なじみレベルMAXな上、顔が抜群に良く学年で最も可愛いんじゃないかなくらいには可愛い。身長や肩まで伸びた髪、歳に似合わぬ巨峰。有り得んスタイル、性格、もはや全てにおいて俺の好みに育ったのだが、重い。重いのだ。何がとは言わないが。
「待ってって何?私言ったよね。りっくんがもしほかの女の子に尻尾振ってたら許さないよって。」
「なぁ春、頼みがあるんだ。凛ちゃん呼んできてほしい。後で家に入れてあげるからさ。」
そこにいたはずの春が消え、代わりに凛ちゃんがいた。さすがにうちの妹に会えると知った瞬間に動き出したのはさすがと言えよう。ちなみに幼なじみ全員うちの妹2人のことが大好きだ。
「ち、ちーちゃん?りくやくんは何も知らずに茶道部に入っちゃったんだよ?だからお仕置?っていうのはやめた方がいいよ。」
「だ、だ、だよね!凛ちゃん!幼稚園の時に決めたおままごとのおしおきなんて今更───」
「ダウト、俺はその時じゃなくて小学校の時の遠足だと思うぜ。お前らが一緒に弁当食いながら『りっくんが浮気したらダメだからね!あ、もちろんほかの女の子仲良くするのもダメだよ?』って。」
無論バチバチに上手い声真似である。
「春くん、正解!!」
「よし!!」
いやよしじゃねぇよ。何がよしだよ。
「はぁ、りっくんてば他の女の子にうつつをぬかすから私との思い出なんて…ヨヨヨ…」
「はぁ…今日は何?」
「俺様か王子様がいいな!」
スっと立ち上がる。僕はちーちゃんとある約束をしている。
……さっきのじゃなくて、まだ別の。小学校卒業前に僕達は幼なじみなのに恋人みたいと揶揄され続けた反発心からまるでそうとしか見えないような遊びを始めた。喧嘩をした時や悲しかった時に僕かちーちゃんが好きなタイプになりきって口説く、ただ本当に付き合ってるように見えるので外でやるなんて最悪だが。
「また始まるよ、この2人の。全く本人たちはどんな気持ちで俺たちが見てるの知っててやってんのかよ…。」
「ま、まぁ2人が仲良くていいんじゃない?仲悪いよりはね…。」
「それはそうだけどさぁ…」
俺様にしようかなぁ。この顔で?まだ童顔だよ…なんて呟くわけにもいかないからこの際ちょっと本気出してみるか。
「なぁ、ちひろ。」
顎クイに壁ドン。顔も相まって最強かもしれない、と浸りながら突然始まる寸劇にクラス中どころか隣のクラスまで色めき立っているようだ。そこら中で聞こえる黄色い声をBGMに続ける。
「お前さ、自分が可愛いって自覚してんのか?」
「ふぇっ?」
「俺お前が可愛くて他の誰かに取られないか心配なんだよ。なぁ、ちひろ俺のものになれよ。心配とかいいよ。誰にと触れさせねぇし。」
「あっ、えっとりくや…?さすがに恥ずかしいというか…」
顔赤いしちゃんと照れてるな。あれ、確かこれってどっちかが照れたら終わりだっけ?ルールどうだったかな…。
「お前、マジで言ってる?俺本気なんだけど。」
そう言って唇を奪おうと顔を近づけ───
「ストーーーーップ!!!」
2人の距離を引き裂き、凛と春が間に入る。
「真昼間の、それも学校で盛ってんじゃねぇよ!少なくとも家でやれ!てか中学生!!刺激が強すぎるわ!!馬鹿ども!!」
「ふ、2人とも、仲がいいのはわかったけどやりすぎだよ…?」
スイッチが入ってたせいで歯止めが利かなくなっていたようだ…。ありがたいような、もはや取り返しのつかないとこまで行ったというか…、もっと早く止めてほしかったと言うべきか…。
「と、とにかくありがとう。ちーちゃんに言った言葉を取り繕うつもりはないけど誤解は解きたいかな…。行けると思う?」
「無理だな。ちひろはまだパンクしてるから凛が対応してるとはいえ反応が反応すぎたな。こいつちょっと強気なくせにウブすぎてワンパンだろ?お前顔良すぎんだよ。」
「へへっ、褒めても飯しか奢れないぞ…。」
「陸矢のそういうとこ嫌いじゃないけど、顔のせいで俺がどれだけトラブルになってると思って…」
「はい、春さん。」
「なんでしょうか。」
「一週間前、女の子引っ掛けようとして俺を利用したの知ってます。凛ちゃん、これに関して春の正妻としての意見を聞かせてください。」
「アウト、浮気です。問答無用で刑執行です。厳罰注意と共に陸矢くん家1週間出禁。」
「は!?!?ちょっっっっっっと待ってくれよ凛!!落ち着け!誤解だよ!なぁ陸矢!!おい!!」すごい勢いで噛み付いてきた、犬かな、お手でもするか。
「お手」
「ワン!……じゃねぇよ!やべぇだろ!!何とか弁明してくれよ!!幼なじみ大親友枠だろ!!なぁ頼むよ!!!」
「っていうか、ただカマをかけただけだったけど2人の正妻としての立ち位置とか突っ込まなくてよかった?隠してそうなあれもないしいいかもしれないけど。」
「「あっやべ。」」
この2人、僕たちを注意するポジションにいる間になんかかんやあったらしいな。そのなんやかんやめちゃめちゃに重要だけど。
「仲良いならいいよ〜?お幸せに〜。」
「ちっ、ちひろてめぇ!この前の相談がフゴッ」
「なんもきこえなーーいー!!!!あー!!!」
「あー、そろそろいいか。ホームルーム始めたいんだけど。」
「「あっ、すみません…」」
「よーし、仲良し4人の痴話喧嘩で朝から目が覚めたと思うので今日寝たやつシバくぞー。」
「毎朝なんだけど…。」
4人のせいで毎日寝てしまったらしばかれる、いや普通寝たらシバかれるんだけど、なんだか申し訳なくなってきた。謝る気はあるけど一切治る気がしないから2人をどうにかするしかないんだよなぁ。
「全く、先が思いやられるね。」
「「「「「お前が言うなや。」」」」」
ごもっともです……。
色々稚拙なところがあったらどんどん言ってください。主人公のキャラぶれは、えっと、その許してください。