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世界の運こをこの手に



「あなたは死にました」


「無惨にもパリピの群れに巻き込まれてドミノ倒しの下敷きになり窒息死です」


「は、はぁ」


受験に失敗就職に失敗、バイトでフリーターな俺は社会に必要がない人間だ。

いなくなってもきっと誰に気が付かれることもないだろう。


「可哀想だから別の人生をあげるわね」


「いや、要らないよ。

 魂を浄化させて記憶も何もかも無くしてまっさらなまま居なくなりたい」


「哀しいわね」


「でも、勝手に転生させちゃいまーす」


「え、いや、なんで?」


「平和な世界よ!

 思うがままに生きなさい!」


「行くなんて、言ってない!!」



人の群れ。

家畜たち。


俺はその中心にいた。


「誰じゃ」


「…………!?」


声が出ない。


「仕方がない」


軽々と担がれる俺。


どうやら赤子に転生したのだろう。


「わざわざ家畜たちの中で自殺はないじゃろうて。

死体を食った家畜なんて食いたかねぇさ」


親は死んだらしい。


「あ、あうあ」


一緒に俺も殺してくれと頼もうとしたが、俺の小さい手が男の肩をぽんぽんと軽く叩くだけで。


「飯か。ちょうど嫁さんが乳が出る。

 お前さんと同じくらいの娘がいるからな。1人も2人も変わらんさ」


と、俺はこの男の子になるのだろうか。


新しい人生だとして、次はもっと楽な人生を送りたいものだと。


でも、勉強も運動もしたくない。

他力本願で楽に生きてたい。


だったら、生きてなくても良いし。

そこに意識など必要がない。


まぁ、幼馴染になるはずの娘を見てからでも遅くはないだろうと思った。


結果、そこにいたのは毛の生えた猿だった。


すまんな。赤ちゃんなんて全部一緒でもっと成長しないと容姿も何も判別できねぇや。


「お、こいつ赤子のくせにため息ついたぞ!

 おじきの生まれ変わりかもしれねぇや」


能天気な男。

おそらくその嫁が俺を抱き抱えて


「今日から私がお母さんよー。

 あなたのお母さんは顔面の皮が無くなってたし色々欠損しててあんまりわからないけれど、絶対に私の方が美人で可愛いと思うの。

だから私に育てられてラッキーだと思いなさい! 男の子が欲しいと思ってたの!

でも私もう子供なんて産みたくないからぁ、ちょうど良いわねー」


「う、産まないのか??」


「そーよー。

 もうあんな事する必要もないから、今日からゆっくり寝られるわねー。ほぉんと、キモイし痛いし不快だったのよねぇ」


「お、そ。そう。そうか」


美人な奥さんは、男の自信を喪失させた。

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