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公園内ではらうもの

「調子良いし、詠唱カットしてもよさそうかな」

 詠唱すれば威力は増す。ただ、時間がかかる。

 手を抜けるところは手を抜きたい。いつも全力疾走では疲れてしまう。

 そう考えていると、刀を袋に入れていると公園から悲鳴が聞こえ、走る。


「将来の心配していたら、不安ばっかり募っていく……」

水の鞭(アクア・ロッド)


「昔あった嫌なこと思い出してたら、だんだんつらくなってきた」

払拭波(シェイク・ウェーブ)


「生活苦しいけど、だからこそ趣味に費やそう。好きなのどんどん買っちゃおう」

平静に(メンタル・バランス)


 声のもとに駆けつては、魔を追い払い、振り払い、押し払っていく。

 魔は人の心を悪い方向に導くため、早めに祓う必要がある。

 すべてをはらい終えて、また刀を袋にしまう。


「刀を生身で持ち歩くと、妙に圧迫感があるんだよね」

 魔法を使う道具はケースに入れるものとは教わっている。

 理由は魔法使いと一目でわかるようにするため、と言われた。

(周囲への配慮も含めて、道具をケースに入れていたりしてね)


 袋を担いで、公園をまた歩く。どこに行こうかとのんびりと見渡す。

(慣用句にもあったし、並木道行ってみるかな……)

 木を見て森を見るだったかな。どうにもどこか間違えてるような気がする。

 どこを間違えてるのか考えながら自動販売機でスポーツドリンクを買う。

(まあいいや。仕事仕事)

 一気に飲み干しゴミ箱に入れ、並木道に足を運ぶ。


 道中で下に降りる階段が目に入り、道を変えた。

 公園の隣には水族館が併設していて地下の水中トンネルでつながっている。

 並木道はここを通り抜けても着く。なら好きな道で、と言うのが本音でもある。

(水族館もパトロール先になったんだっけ)

 前にミサキさんは言っていたことを思い出す。少しずつ現場は増えていく。

 そのうち自分にも順番は来る。高鳴る気持ちを抑え、階段を下りる。


 水中通路には、クラゲが漂っていた。

 青い世界に浮かぶマミズクラゲを見て、癒される。

「ねえママ。クラゲってどうして水中をあんな風に泳いでるの?」

「あれはね、グラゲの血液を、体に巡らせるために動いてるんだよ」

 父親が子供に説明している。

 僕も昔、父さんから説明を受け、この間おとねちゃんに説明した。

(正確には、体液を循環させるための行動なんだよな)

 野暮なことを思う自分に嫌気がさす。

(前に妹と来たときは説明書きをそのまま読んで、質問攻め受けたなあ)

 妹のおとねちゃんが首をかしげてなんで?なんで?と問いかけてきた。

 あの親のように、わかる言葉で説明すればよかったと、今になって思う。

 通路を進んでいくと、水族館と分かれる分岐路に差し掛かる。


 水中トンネルを抜け公園への階段を上っていくと、ざわめき声が聞こえてくる。

 何事かと思い、階段を二段飛ばしで一気に駆けていく。

 階段から外に出て周囲を見ると、近くの池に水の華が咲いていた。


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