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魔法が身近にある世界





 魔法が見つかった。


 この言葉を耳にすると、誰もが笑い飛ばしたという。

「世界で同時に、複数の場所で見つかったから、これらの声は消えていった――」

 先生が教卓で話を続ける。

 様々な分野の専門家たちがチームを組み、原因を調べていき一つの結論が出た。

 それによると、魔法と言う力、すなわち魔力が概念が誕生していった。

「ちなみに、先生が学生だった頃は――」

 また始まったと、誰がささやいた。

(世界が魔法を受け入れたのは、先生たちの時代だから、語りたいんだろうな)

 先生の思いを察しつつ話を聞いていると、チャイムが鳴り響く。

「ここまでか……続きは次の機会にするかな」

 先生は話を続けたい様子だったものの、教科書を閉じる。


「……アーニー、アーニー。号令、日直だろう?」

(そうだった)

 後ろから声を掛けられ、僕は慌てて号令をかける。

「起立」

 礼と続け、授業を終わる。その直後に黄色い髪をいじり、後ろを振り向く。

「ありがとう、ケイ」

「あの話をされるとだれるからな、気持ちはわかるさ」

 お礼を言う僕を、ケイはさらに励ましてくれた。

 ケイが小さく指す先には黒板がある。

「清掃してくるよ」

「頼むな。あとはホームルームだけだから」

 担任の先生が来るまでに、黒板周りや教卓の上を清掃していく。


「これでホームルームを終わります」

 放課後を迎え、挨拶を終えるとクラスメイトは思い思いの行動をとる。

 部活に行く人、図書室へ向かう人、帰る人、教室で輪になって話す人。

 そして僕は、日直日誌を書いていく。


(魔法が見つかったと言っても、生活はそれ以前と同じなんだよな……)

 強いて言うなら、授業とバイト先が増えたというのが正直な感想になる。

 まあこうなるまでが大変だったと、先ほど魔法学の先生が話していた。

(僕も魔法が使えるから、あの先生の話は極力ノートに残してあるんだ)

 魔法を使える人は限られていて、魔力を持つがゆえに果たす義務や責任がある。

 だから、あの話もこの先役に立つことがあるだろう。たぶんきっとおそらく。


「これでよしっと」

 アーニーは愛称なので、本名のアネーストを日直日誌に書き、席を立つ。

 日誌を職員室に届けて帰ろう。

 一人日直は自分のペースでできるので正直楽。

「終わったか?どっか遊びに行こうぜ」

「今日はアルバイトがあるから。また誘ってよ。明日とか」

「そっか。なら、また明日会おうぜ」


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