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幻の幸せ

作者: 善行望
掲載日:2021/07/15

別れの夢に目覚めた


それは昨晩の現実でした


アルコールの残った身を起こし


カーテンを開けました


外は痛いほどの青空で


テレビをつけました


洗濯日和と告げたお天気お姉さん


12星座ランキングでは中間地点で


新しい友達と未来を共有するかもだって


現実を頭から離そうと


1人で宛もなく出かけました


なんともなしに歩いていると


「幻のわたしを愛したあなたに雨は降る」


流行歌が酔いの醒めない頭に入りました


突然、雨が降りだすと


自分の眼で見たものに確かなものは無いと想起おもいました


鉄橋の下に逃げ込むとそこは


誰かが住んでいるようでした


「すみません雨宿りさせてください」と


断りを入れました


皮膚の干からびた皺くちゃの住人は


笑っているようでした


雨がなかなか止まないので


住人に尋ねました


「幸せとはなんですか?」


住人は前歯の欠けた口を開けて


「頭の中の幻を振り落とすことだよ

幻と幻がくっつけば破綻か離別わかれさ」


と言いました そして


「それができなきゃ家で安らかに眠ることもできやしない」



折りよく雨は止みました


胸のすくような空の下


頭の酔いは醒め


軽快なリズムで帰りました


次の日


お礼を伝えに鉄橋下の家に行きました


住人の姿はもうそこにはありませんでした









読んでくださりありがとうございました。

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