真琴、王都に向かう。(1)
真琴達が王都に向かう話です。
1週間後。私達は特別保護指定生物の認定の為、冒険者ギルドを訪れた。
「お前達、王都に行ってくれ」
マスターがとんでもない事を言い出した。
「お断りします。何で王都に行かなければ、いけないんですか」
マリアさんが拒否した。
「冒険者ギルド本部から、通達があった。特別保護指定生物を認定して欲しいなら、本部でトレントが本当に会話出来るか、証明しろとな」
マスターが本部からの通達内容を説明した。
「私は王都に行きたくありません」
マリアさんが拒否を続けた。
「それでは、特別保護指定生物の認定は辞退するのだな。本部にはそのように報告するが、それでいいんだな」
マスターが強硬手段に出た。
「マリアさん、王都に行くしかありません」
ドロシーさんがマリアさんを説得する。
「分かりました。王都に行きます」
マリアさんが王都行きを承諾した。
「それでは、準備が出来次第、出発してくれ。ドロシー、お前も同行しろ」
「分かりました。お任せ下さい」
「マリアさん、王都に行きたくないなら、特別保護指定生物の認定は辞退しよう」
私はマリアさんに提案した。
「別に王都に行くのは構わないのよ。王都に居る家族に会いたくないだけ」
マリアさんが寂しそうに話してくれた。
「どうして家族に会いたくないの」
「私は家族に嫌われているの。前世の記憶を思い出した頃、地球の事を話してしまい、気味が悪いと言われたの。そして、お爺ちゃん以外の家族は王都で生活するようになったの」
「そんなのって酷いじゃない。家族なのに」
「仕方ないわ。私だって同じ立場なら、同じ事をしたと思うわ」
「レカタさんは残ってくれたのね。優しい人ね」
「お爺ちゃんも、転生者なのよ。だから残ってくれただけ」
「レカタさんが転生者。だから初対面の時、私が転生者と聞いても平然としていたのね」
「話は終わり。王都に行く準備をしましょう。まずは、セイラ達の説得よ」
「というわけで、王都に行く事になったのよ。勿論、一緒に行ってくれるよね」
マリアさんがセイラさん達を説得している。
「私は構わないわ」
「王都、楽しみね」
「師匠に会える♪」
「師匠?」
ラムさんの言葉が気になった。
「王都には、ラムの魔法の師匠が居るのよ」
「どんな人なの」
「ラム以上の変人よ」
ミオさんが不吉な事を言った。嫌な予感がする。
(その人も、解剖とか言うのかな。会いたくないな)
「大丈夫よ。あの人は、解剖とか言わないわ。ただし魔物フェチみたいなの」
嫌な予感が的中した。
「ラムさんより、ひどいじゃない。私は絶対、会わないわよ」
「皆さん、準備はいいですか。そろそろ出発しますよ」
ドロシーさんの指揮で出発した。
「馬車って初めて乗るわ」
私は初めての馬車旅に興奮した。しかし、すぐに興奮は冷めた。乗り物酔いになったのだ。
「今日はこの町に泊まります。マコト以外の人は宿に案内します。手荷物を持って、馬車を降りて下さい」
「私は?」
「マコトは馬車で荷物番です」
ドロシーさんが冷たく言い放つ。
「そんな、ひどいじゃない」
「魔物が宿に泊まれる訳ないでしょう。馬車があるだけ、ましよ。それに、冒険者なら野宿は日常茶飯事よ」
「マコト、ゴメン」
「荷物番、よろしく」
「それじゃ、お休みなさい」
「また、明日」
「皆さん、行きますよ」
次回も王都に向かう話です。