真琴、極秘依頼から解放される。
真琴が極秘依頼から解放され、麻香緒と一緒に王都を散策する話です。
「ルバイラが麻香緒の体から出て、隻眼のダークエルフの体に憑依した」
私達がドワーフの国に行っている間にとんでもない事件が起こっていた。
「それじゃ、その体は完全に麻香緒の体なの」
「そうよ。名実共に私の体よ」
「麻香緒、おめでとう」
「ありがとう。そうだ。真琴に報告があるの。五大魔龍はダークエルフが召喚したのよ。そして、大神殿、竜人帝国、ルーン王国を襲撃させたの」
「それじゃ、五大魔龍の襲撃は邪神じゃなくてダークエルフの仕業だったわけ」
私は麻香緒から真実を告げられた。
「そうよ。ルバイラの記憶を覗いて、知った情報よ。間違いないわよ」
「あいつら。必ず叩き潰す」
「極秘依頼から解放されるんでしょう。もっと、喜べば良いじゃない」
「それもそうか。これで極秘依頼から解放されるのよね。早速、国王陛下に報告してくるわ」
≪スキル転移発動≫
私は報告の為、王宮に転移した。
「という訳で、五大魔龍の襲撃はダークエルフの仕業でした。邪神の仕業でないのなら、神龍と世界樹を探す必要はないですよね。これで極秘依頼は完了です」
私は依頼完了をゴリ押しした。
「話しは分かった。しかし、お前の知り合いは信用出来るのか」
国王陛下は麻香緒を疑っているようだ。
「当たり前よ。私の親友の言うことだもの。信用出来るに決まっているでしょう」
私は猛烈に抗議した。
「分かった。極秘依頼の完了を認める。ただし、お前を信用しての事だ」
国王陛下は渋々了承した。
「国王陛下も石頭よね。一回、叩いてみようかな」
「構わないわよ。国王陛下なら疑問に思うのは当然の事よ。簡単に了承する方が変よ」
麻香緒は気にしていないようだ。
「それより極秘依頼から解放されたのなら、明日は久しぶりに二人で出掛けない」
「良いわね。王都を案内してあげる」
「此処が元神殿で、今は治療院となっているわ」
最初に治療院に案内した。
「治療院って、要するに病院の事だよね」
「そうよ。誰でも低料金で治療が受けられるの。神殿だった頃は高い料金を払わないと治療が受けられなかったの。中に入るわよ」
私達は治療院の中に入った。
「レオン院長に面会したいのですが、マコトが来たと取り継いで下さい」
受付嬢にレオン院長への面会の取り継ぎを依頼した。
「院長はお忙しいので、一般人とはお会いになりません」
受付嬢に面会を拒否された。
「一般人だから会わないって、どういう事よ。レオン院長を呼び出しなさい」
受付嬢にレオン院長の呼び出しを指示した。
「だから、院長は一般人にはお会いになりません」
「それなら、こちらから出向きます。院長室は何処なの」
「何度も言わせないで下さい。院長はあなたみたいな下賎な人にはお会いしません」
(この女。今、下賎な人って言いやがった。もう頭にきた。力ずくで押し通る)
「そっちがその気なら、こちらもそれ相応の対応を取らせてもらうわ。麻香緒、行くわよ」
(あぁ。真琴がキレちゃた。もう止まらないわ)
私達は院長室があると思われる奥の方に進んだ。
「待ちなさい」
受付嬢の制止を無視して、更に奥に進んだ。
「誰か、その女を止めて下さい」
受付嬢の声に反応して、複数の職員が私達を取り囲んだ。
(面白い。相手になってあげる)
《スキル拘束発動》
職員達を拘束して、先に進む。
「誰か、警備官を呼んで下さい」
今度は警備官が駆けつけて来た。
しかし、私を見て足を止めた。
「「「ゴリ押しのマコト」」」
警備官が驚愕の声を上げた。
(その呼び名はやめてよ)
「真琴、ゴリ押しのマコトって呼ばれているの」
麻香緒が呆れた表情で尋ねてきた。
(麻香緒に知られてしまった)
「あなた達も邪魔をするつもり」
怒気を込めた声で威嚇してやった。
警備官達は真っ青になり、首を横に振った。
私達は院長室と書かれた表札の部屋の前に来た。
そして、扉をノックした。
「どなたですか」
室内からレオンさんの声がした。
「レオン院長、お久しぶりです。マコトです」
室外から挨拶をした。
「王樹様」
室内から驚愕の声がした。
そして、扉が開かれた。
息を切らせたレオンさんが出てきた。
「王樹様、お久しぶりです」
「王樹様はやめて下さい。マコトでいいです」
「そんな失礼な事は出来ません」
会話を続けていると。
「院長、申し訳ありません。この下賎な女が院長に面会を求めて来たのです。院長は一般人にはお会いになりませんと、いつものように追い返そうとしたのです。それなのに急に職員や警備官に危害を加えて、無理やり入り込んだのです」
受付の女が駆けつけて来て、身勝手な言い訳を始めた。
「君はいつも一般人の来客を追い返しているのか」
レオンさんは怒りを抑えた声で問い詰めた。
「はい。そうです」
女は空気を読まずに、誇らしげに答えた。
「お前は何をやっているんだ。いつも一般人の来客を追い返しているだと。お前は何様のつもりだ。しかも、よりによって王樹様を下賎な女だと。お前は首だ。今すぐ荷物をまとめて出て行け」
女はレオンさんの激しい怒鳴り声に呆然となり、泣き出してしまった。
「何故、こんな馬鹿な事をした」
レオンさんが尋問を始めた。
「副院長の指示です。院長はいつも無理をしているので、一般人に面会はさせないようにと」
「副院長がそんな事を指示していたのか。誰か、副院長を呼んでこい」
職員に指示をした。
「院長、お呼びですか」
副院長が入室して来た。
そして、受付嬢の姿を見て、顔を歪めた。
「副院長、受付嬢に一般人の面会を断るようにとの指示を出したのは本当か。何故、馬鹿な指示を出した」
レオンさんが副院長を問い詰めた。
「勿論、院長の体を心配しての指示です」
副院長は平然と答えた。しかし、手は震え、目線を合わせようとしない。
《スキル自白発動》
私は自白のスキルを発動した。
「嘘です。本当は院長の悪い噂を広めて、院長の座を簒奪しようとしたのです」
副院長はあっさりと自白し、警備官に連行された。
受付嬢は解雇された。
「王樹様、教育が行き届きませんでした。申し訳ございません。王樹様の期待を裏切ってしまいました」
「そんな事はありません。いつも治療院の噂は耳にしています。全て良い噂ばかりです。これからも頑張って下さい」
「真琴、私の紹介を忘れていない」
麻香緒が抗議してきた。
「ゴメン。直ぐに紹介するね。レオン院長、私の親友の麻香緒です」
「初めまして。麻香緒です」
「初めまして。レオンです」
「レオン院長はお忙しいでしょうから、これで失礼します」
三十分程、雑談した後、私達は治療院を退出した。
「イケメンの院長だったね」
「そうかしら。麻香緒はレオンさんみたいな人が好みなの」
「何よ。反応が薄いわね。もしかして、恋人が出来たの」
「そこまでの関係じゃないわよ」
「本当に好きな人が出来たんだ。誰なのよ。教えなさいよ」
「嫌よ。恥ずかしいから」
乙女トークをしながら、冒険者ギルドの本部に向かった。
「此処が冒険者ギルドの本部よ」
「想像したより立派な建物ね」
「中に入るわよ」
「因縁をつけられるって本当なの」
麻香緒が不安げに尋ねてきた。
「安心しなさい。あんな事はラノベの中だけよ」
私は笑い飛ばした。
「ドロシーさん、お久しぶり。今日は知り合いの冒険者登録に来ました」
顔見知りの受付嬢のドロシーさんに挨拶をした。
「マコトさん、お久しぶり。登録するのは、この人ですか」
「そうです」
「初めまして。麻香緒です。よろしくお願いします」
「受付嬢のドロシーです」
「治療院の受付嬢と違って、親切な人ね」
「あの治療院の受付嬢が変なのよ」
麻香緒の冒険者登録も無事に終了した。
洋品店、宝石店、雑貨店などを見て回り、屋敷に戻った。
次回はルバイラが復讐の準備を開始する話です。(予定)




