真琴、サエスと出会う。
真琴が蝗の大群を駆逐する話です。
「ルバイラ様、昆虫王国の女王が謁見を求めております」
「あの蜂女か。連れてこい」
「ルバイラ殿、我が蝗を使って、ルーン王国の農作物を壊滅させてみせます。成功した場合には、ルーン王国の国土を譲渡してください」
「良かろう。成功した場合には、譲渡してやろう。ただし、失敗した場合は従属してもらうぞ」
「蝗の異常発生の為、農作物に多大な被害が出ているだと」
王宮に異変の報告が届いた。
直ちに対応策の会議が開かれた。
「異常発生の原因は何だ」
「原因は不明です」
「有効な対応策はあるのか」
「今のところ駆除の薬を散布するしかありません。それも薬が無くなると、お手上げです」
「陛下、マコトに歩行可能な食虫植物を増殖してもらうのはどうですか」
宰相がとんでもない提案をした。
「それは名案だ。早速、依頼しろ」
「蝗を食べる歩行可能な食虫植物を増殖して欲しい。そんなの無理よ」
私は拒否した。
「王樹のお前なら可能だろう」
「そんな特殊な生態の植物なんか存在しないわ。いくら私でも存在しない植物を増殖なんか不可能よ」
「そこを何とかしてくれ。頼むから」
「懇願されても無理よ」
「話しは聞いたわ。一つ名案があるんだけど」
ホウマさんが割り込んできた。
「名案って、何」
「私の知り合いにキメラの研究をしている変人がいるんだけど、彼女に蝗を補食する植物と足の速い動物のキメラを合成してもらうのよ。鳥でもいいかも。素材と研究費を提供するなら、引き受けてくれるわよ」
「キメラか。そう上手くいくか」
宰相は効果に否定的みたい。
「植物の方に体を制御させれば上手くいくわよ」
「成る程。それなら上手くいくな」
「問題は素材に使う植物と動物の選択よね」
「鼠はどうかな」
「鼠は繁殖するから駄目よ」
「猫」
「動物保護団体が抗議してくるわよ」
「鳥の方が良くないか。例えば鴉とか」
「もっと大型の鳥の方が良くない。鷲とか鷹とかの方が食欲があるんじゃない」
「鷲や鷹は数が少ないわよ」
「雀の方が数が多いんじゃないか」
「捕獲が大変よ」
「やっぱり、鴉にするか」
「異議なし」
「それじゃ、鳥は鴉で決定ね」
「植物はムシクイスミレがいいんじゃない。屋敷の庭に群生しているから。それをマコトに増殖させてもらえばいいし」
「最後の問題はホウマの知り合いが引き受けてくれるかだな」
「早速、彼女に連絡するわ」
《スキル創造発動。大増殖創造》
《スキル大増殖発動》
群生地のムシクイスミレを大増殖させた。
「ホウマ、無理難題を依頼しないでよ」
いきなり拒否された。
「サエス、お願いよ。素材の提供と多額の研究費を約束するから」
ホウマさんが珍しく、頭を下げていた。
「分かったわよ。それと貸し一つよ」
サエスさんが渋々了承してくれた。
「え~と、ムシクイスミレと鴉のキメラで、体の制御はムシクイスミレにさせる。これでいいのよね。素材はどこなの」
「ムシクイスミレの群生地に捕獲した鴉が五百羽いるわ。案内するわね」
サエスさんを群生地に案内した。
〈融合魔法フュージョン〉
ムシクイスミレと鴉が融合し、次々とキメラが誕生していく。
一時間程で、全ての融合が終了した。
「研究費の件、忘れないでね」
サエスさんは直ぐに帰ってしまった。と思ったら、引き返して、私に抱きついた。
「う~ん、いい匂い。抱き心地も最高。あなた、名前は」
私は呆然とするだけで、抵抗出来なかった。
「サエス、マコトから離れなさい」
ホウマさんが猛烈に抗議して、私とサエスさんを引き離した。
「マコトって名前なんだ。素敵な名前ね。また会いましょう」
サエスさんは今度こそ本当に帰った。
(やっぱり、ホウマさんの知り合いなんだ。類は友を呼ぶんだ)
私はしみじみと思った。
《スキル植物支配発動》
(あなた達、農作物を食い荒らす蝗を全て補食しなさい。補食が終了したら、此処に戻ってきなさい)
「カァカァカァカァカァ(分かりました。王樹様)」
キメラ達の鳴き声が響き渡った。
キメラ達が次々と農地の方向に飛翔していく。
蝗の補食は無事に終了した。
キメラ達は王宮で飼育する事になった。
それからが大変だった。
被害を受けた農地の修復を依頼されたのだ。ド畜生。
次回は閑話の予定です。




