乙女の牙&エルフの爪、妖精の国に行く。
乙女の牙とエルフの爪がエルフの国に行く話です。
「此処が妖精の国。深い森なのね。霧が出ているわ」
「森の奥に暮らしているらしいわよ」
「妖精ってエルフ以上に人間を嫌っているらしいって話よ」
「私達を受け入れてくれるかな」
「心配」
「ドライアドのマコト様が居るから、大丈夫です」
「私達エルフも居るしね」
「私達が受け入れてくれるように説得します」
私達は妖精の国に向かって歩き出した。
「おかしい。同じ場所をぐるぐる回っているみたい」
私は異変に気付いた。
「気のせいじゃない」
「いいえ、間違い無いわ」
(これは妖精の仕業ね)
《スキル探知鑑定発動》
私は周囲を探知鑑定した。
【三千三百四十六のピクシー反応。四千七百三十八のフェアリー反応】
(こっちの方向ね)
「こっちの方向に妖精の反応があるわ」
私達は反応のする方向に歩いて行った。
「大変!人間が来た」
「何で?霧に惑わされないの」
「このままじゃ集落が見つかってしまう」
「女王様に知らせよう」
大勢の声が聞こえてきた。
私達は足を速めた。
やがて、集落が見えてきた。
「大変!集落が見つかった」
「皆で追い返そう」
「石を投げよう」
ピクシー達が石投げて、私達を追い返そうとした。
《スキル結界発動》
結界を張り、先に進んだ。
宮殿らしい大きな建物が見えてきた。
「此処が宮殿みたいね」
「すみません。誰かいませんか」
呼び掛けてみた。
「お帰り下さい」
中から一人のフェアリーが出て来て、私達を追い返そうとした。
「私達はあなた方に危害は加えません。話しをしに来ただけです」
私とノゾミ達はフェアリーの前に進んだ。
「ドライアドとエルフ!何故?人間と一緒に行動しているの」
私達を見て、驚愕した。
「入ってもらいなさい」
どこからか、威厳のある声が聞こえてきた。
フェアリーが渋々私達を宮殿に入れてくれた。
「初めまして。妖精の国の女王。ロカオです」
年老いたフェアリーが女王と名乗った。
先ほどの威厳のある声ではなく、枯れ果てたような声だった。
(先ほどの声じゃないわね)
「初めまして。マコトと言います」
「ノゾミです」
「カナエです」
「タマエです」
「マリ」
マリアさんが名乗ろうとした時。
「人間の名前なんか、聞きたくありません」
女王が冷たく遮った。
(この婆。マリアさんが名乗ろうとしたのに、遮るなんて。ふざけるな)
私は女王を睨み付けた。
女王が私に疑惑の視線を向けた。
「あなた、ドライアドではないですね。三つ目のドライアドなど、聞いた事がありません。何者です」
女王が言いがかりをつけてきた。
「私は第三形態のドライアドです」
私は正直に答えた。
「第三形態?嘘はやめなさい。ドライアドに形態なんて、聞いた事がありません」
再度、言いがかりを付けてきた。
「疑うなら鑑定すればいいじゃない」
私は喧嘩腰な言葉を言い放った。
「いいでしょう。鑑定をします」
女王が私に鑑定魔法を掛けた。
女王の顔が驚愕で歪んだ。
「確かにドライアドのようですね」
女王が困惑したらしい。
「妖精の女王って、無知なのね。横柄な態度の割に、大した事ないのね」
私は挑発してやった。
「無礼な」
女王が顔を真っ赤にして、抗議してきた。
「無礼はそっちじゃない。人を偽物呼ばわりして」
私もキレて反論した。
「「「そうですよ。マコト様に謝罪して下さい」」」
ノゾミ達が私に同調して、抗議した。
「出ていきなさい」
女王が大声で叫んだ。
「言われなくても、出ていくわよ」
私達は退出しようとした。
「お待ち下さい」
私達を引き止める声がした。先ほどの威厳のある声に似ていた。
声のした方を見ると、若いドライアドが居た。
「コスモス様、何故、こんな無礼者を引き止めるのですか」
女王が抗議の声を上げた。
「ロカオ、無礼者はあなたです。この愚か者」
ドライアドが女王を激しく叱責した。
「ヒィィ」
叱責の激しさに女王は卒倒した。
「皆様、申し訳ございません。私から謝罪致します」
ドライアドが頭を下げて、謝罪してきた。
「頭を上げて下さい。え~と、あなたもドライアドですよね」
私は慌てて、声を掛けた。
「申し遅れました。私はコスモスと申します。この森を管理しているドライアドです」
ドライアドが名乗った。
(コスモス。この人にぴったりの名前ね)
「初めまして。マコトです。そして、私の冒険者仲間です」
「マリアです」
「セイラです」
「ミオです」
「ラムです
「ノゾミです」
「カナエです」
「タマエです」
私達も改めて、名乗った。
「皆様にお話しがあります。こんな場所では、落ち着いて話せません。私の部屋に移動します」
「皆様、ロカオが失礼の事をしました。改めて、謝罪致します。
再度、コスモスさんが謝罪してきた。
「もういいですから。それより話しというのは、何ですか」
私は先に進むよう促した。
「はい。これをお受け取り下さい」
コスモスさんが緑色の腕輪を手渡してきた。
「これは何ですか」
私は尋ねた。
「これはドライアドに代々伝わる秘宝です」
コスモスさんがとんでもない事を言った。
「何故、私にそんな貴重な品を渡すのですか」
再度、私は尋ねた。
「三つ目のドライアドは神に選ばれた者。その者に秘宝を渡せという伝承があるのです」
コスモスさんが伝承の内容を教えてくれた。
「私が神に選ばれた者?何かの間違いではないですか」
私はコスモスさんに確認した。
「間違いではありません。あなたは神に選ばれたお方です。装着すれば分かります」
コスモスさんは断言した。
「それでは、装着します」
私は腕輪を装着した。
腕輪が白色に変わった。
「やっぱり、伝承の通りです」
コスモスさんが笑顔になった。
「あれ、外れない」
私は腕輪を外そうとしたが、外れなかった。
「秘宝は神に選ばれたお方が装着すると、外せなくなるのです」
コスモスさんが恐ろしい事を教えてくれた。
「外せない?それって、どういうわけです」
私はコスモスさんを問い詰めた。
「伝承によると、秘宝の力は来るべき時に発動するそうです。それまでは外せません」
コスモスさんは平然とした表情で答えた。
「そんな、困ります」
私は心底困ってしまった。
「マコト様に秘宝を渡す事が出来て、肩の荷が降りました」
逆にコスモスさんは安堵していた。
「コスモス様、ダークエルフの事を聞きたいのですが」
私はダークエルフの事を尋ねた。
しかし、新しい情報は聞けなかった。
「それにしても、あの女王様で妖精の国は大丈夫なのですか」
私はコスモスさんに皮肉を込めた質問をした。
「ご心配いりません。まもなく、とても優秀な次代の女王が修行の旅から戻ってきます」
コスモスさんが笑顔で教えてくれた。
「それなら、安心ですね。それでは、私達は失礼します。コスモス様もお元気で」
私達は妖精の国を退出した。
乙女の牙とエルフの爪が次代の女王を救う話です。




