乙女の牙、獣人の国を救う。(2)
乙女の牙が獣人の国を救う話です。
「待ってくれ」
ベンガル王が私達を呼び止めた。
「何ですか。私達は退出するところです。退出しろと言ったのはベンガル王ではありませんか」
私は冷たく突き放した。
「先程の事は謝罪する。貸しは取り消す。報酬も支払う。レッドドラゴンも持ち返っていい。だから、助けてくれ」
ベンガル王が土下座しかねない程、悲痛な表情で、引き止めようとした。
「分かりました。一応、話しだけは聞きます」
私達は仕方なく、話しを聞く事にした。
「十日前に国境付近で竜人の死体が発見されたのが事件の発端だった。目撃者が現れて、獣人が竜人を殺害したと証言した。竜人帝国は犯人を捜しだし、引き渡せと要求してきた。しかし、未だに犯人を特定出来ていない。業を煮やした竜人帝国が宣戦布告してきた」
宰相が説明してくれた。
「その目撃者というのは信用出来るんですか」
私は目撃者の事を質問した。
「旅のエルフで、既に旅立ってしまった」
宰相が答えてくれた。
(旅のエルフ。怪しいわね)
「その目撃者が怪しいわ。エルフの国でも、ダークエルフがエルフに化けていたわ」
私はエルフの国の一件を話した。
「つまり、ダークエルフが今度は我らルマニアと竜人帝国を戦争させようとしているわけだ。おのれ、ダークエルフめ」
ベンガル王が顔を真っ赤にした。
「そのエルフの捕縛は可能かしら」
私はエルフの捕縛を提案した。
「確か、北に行くと言っていたな。だとすれば、まだ国内だ。バクホの町辺りか」
宰相がエルフの行き先を教えてくれた。
「ベアード宰相はエルフの顔が分かるかしら」
私はエルフの顔が分かるか尋ねた。
「勿論、分かるが」
分かるらしい。
「私に掴まって。飛行魔法でバクホの町に行くから」
私と宰相は飛行魔法でバクホの町に向かった。
「あのエルフに間違いないのね」
私は宰相に確認した。
「間違いない」
宰相は即答した。
《スキル神眼発動》
【種族=ダークエルフ。多種多様な魔法を使える。習得スキル=変身・幻覚・催眠。耐性=魔法】
《スキル魔眼発動。幻覚封印》
《スキル魔眼発動。催眠封印》
《スキル拘束発動》
「何だ。体が動かない」
ダークエルフが必死に体を動かそうとする。
「無駄よ。拘束したんだから。王都に戻るわよ」
《スキル転移発動》
私達は転移で王都に移動した。
「あなた、ダークエルフでしょう」
私は尋問を始めた。
「私はエルフだ。見れば、分かるだろう」
ダークエルフが誤魔化そうとする。
「嘘はやめなさい。既に解析済みよ」
《スキル創造発動。自白創造》
《スキル自白発動》
「あなた、ダークエルフなのよね」
私は尋問を続ける。
「はい。私はダークエルフです」
ダークエルフはあっさりと自白した。
「竜人を殺害したのは、あなたね」
私は殺害の事を尋問した。
「はい。私が殺害しました」
ダークエルフは殺害も自白した。
「それじゃ、このダークエルフを竜人帝国に連行するわよ」
「殺害の真犯人を引き渡すというのは本当か」
竜人帝国の皇帝が尋ねた。
「はい。皇帝陛下、この者が真犯人です」
私はダークエルフを突きだした。
「このエルフは目撃者ではないのか」
皇帝が疑問を口にした。
「この者はエルフではありません。今、証拠をお見せします」
《スキル魔眼発動。変身封印》
エルフの姿がダークエルフに変わる。
「本当にダークエルフだ。この者が真犯人なのか」
皇帝が確認を求めた。
「はい。既に自白もしております」
私は自白済みの事を報告した。
「獣人を疑って悪かった。直ぐに謝罪の使者を送ろう」
「マコト、感謝する。お前はこの国の恩人だ」
ベンガル王が私に感謝の言葉を述べた。
≪スキル転移発動≫
私達はルーン王国に帰国した。
乙女の牙&エルフの爪が旅に出る話です。




