乙女の牙、獣人の国を救う。(1)
乙女の牙が獣人の国を救う話です。
「乙女の牙、ルマニアに行ってくれ。ルマニアで異変が起こったらしい。詳しい事は先方で聞いてくれ」
国王陛下が直接の依頼をしてきた。
「分かりました」
マリアさんが依頼を受けた。
私達は転移でルマニアに移動した。
「王都から南に憩いの森と呼ばれる密林がある。本来は国民の憩いの場所なのだが、植物系の魔物が現れるようになり、犠牲者が続出している。諸君には原因究明をお願いしたい」
宰相から異変の内容を聞いた。
「原因究明だけでいいんですか」
マリアさんがベアード様に尋ねた。
「出来れば解決して欲しいが、諸君は他国の冒険者だ。無理はさせられない」
宰相が渋々、答えてくれた。
「分かりました。出来る限りの事はします」
私達は憩いの森に向かった。
「この密林が憩いの森です。奥は日光が届かない程、樹木が密集しています」
案内役のイアンナさんが説明してくれた。
「分かりました。皆、行くわよ」
私達は密林に入った。
《スキル探知鑑定発動》
【三百二十七のコダマ反応。百八十三のトレント反応】
「三百二十七のコダマ。百八十三のトレントがいます」
「結構な数ね。マコト、出来る」
マリアさんが確認してきた。
「大丈夫です。一気に殲滅します」
〈探知攻撃魔法。サーチビーム〉
私は魔物達を殲滅した。
「久しぶりだな。ドライアド。まんまと誘いに乗ってくれたな」
突然、聞き覚えのある声がした。声のした方を向いたら、黒幕エルフがいた。
「お前は黒幕エルフ」
私は叫んだ。
(ルーン王国とエルフの国との戦争を仕組んだダークエルフ。やっぱり、蘇生していたのね。それに、誘いって。まさか、私を誘きだす為だけにこの事件を起こしたわけ)
「貴様に復讐する為に地獄から戻ってきた」
ダークエルフが芝居のセリフような事を言う。
「私に倒される為に戻って来るなんて、滑稽ね」
私は挑発した。
「これを見ても同じ事が言えるかな。レッドドラゴン、私の召喚に応じよ」
ダークエルフがレッドドラゴンを召喚した。
「ガァァァァ」
レッドドラゴンが出現し、咆哮を上げた。
「嘘。レッドドラゴンを召喚した」
《スキル邪眼発動》
私は邪眼を発動したが、レッドドラゴンには効かなかった。
「邪眼が効かない」
私は驚愕のあまり、体が硬直した。
「マコト、しっかりしなさい」
マリアさんが私を叱責した。
(そうよ。硬直している場合じゃないわ。相手はレッドドラゴンなんだから。取り敢えず、結界を張らないと)
《スキル結界発動》
私達の周囲に結界を張った。
レッドドラゴンが炎のブレスを吐いた。
間一髪、結界が完成するのが先だった。
(レッドドラゴンを倒す方法を考えないといけないわ。やっぱり、冷気かな)
《スキル創造発動。絶対零度創造》
《スキル結界解除》
《スキル絶対零度発動》
私は結界を解除し、次のブレスを吐かれる前に絶対零度を発動した。
レッドドラゴンが絶対零度の冷気によって、凍りついていく。
「馬鹿な。レッドドラゴンが倒されるなんて」
黒幕エルフは呆然としている。
(チャンスだわ。アイツなら邪眼が効くわよね)
「覚えていろ。次こそ、殺してやる」
〈転移魔法テレポート〉
黒幕エルフは負け惜しみを残して、素早く退散した。
「ダークエルフが、お前を誘きだして、殺す為に仕組んだ事だと」
私はベンガル王に全てを話した。
「つまり、お前のせいだという事だな」
ベンガル王が責任を押し付けてきた。
「私のせいというわけではありません。あのダークエルフは元々世界各地で、紛争を誘発していました。たまたま、獣人の国が選ばれただけです」
私は適当な言い訳をした。
「言い訳はいい。貸し一つにしてやる。勿論、報酬は無しだ。それから、レッドドラゴンは置いていけ。素材を売って、犠牲者への見舞金に使う。以上だ。退出していいぞ」
「分かりました。失礼します」
私達が退出しようとした時。
「陛下、一大事です。隣国の竜人帝国ドラゴニアが我がルマニアに宣戦布告をしました。先日の国境付近での竜人殺しがルマニアが仕組んだ事だと言い張っています」
宰相が謁見室に飛び込んできた。
ルマニアに新たな問題が発生した。
次回も乙女の牙が獣人の国を救う話です。




