乙女の牙、獣人の国に行く。(3)
乙女の牙が獣人の国に行く話です。
「皆様、ルマニアの王都に到着しました。王宮に向かいます」
私達はルマニアの王都に到着した。
「此処がルマニア王宮ですか。ルーン王宮より質素ですが、安らぐ感じがします」
私は素直な感想を述べた。
「ルーン王国の方々、ようこそルマニア王宮にお越しくださいました。私は宰相のベアードです。我らの王がお待ちです。中へどうぞ」
宰相が出迎えてくれた。
「ベアード宰相、その前に襲撃者をお引き渡し致します。マコト、頼みます」
アレサ王女が私に指示をした。
《スキル格納空間発動。襲撃者を排出》
私は襲撃者を格納空間から排出した。
「昨夜、私達を襲撃しようとしたので、この者達を捕縛しました」
アレサ王女が昨夜の襲撃の事を説明した。
「国賓の皆様を襲撃するとは許せん。極刑にしてくれる。衛兵、この者達を地下牢に投獄しておけ」
宰相が憎しみの眼差しで、襲撃者を睨み付けた。
「ルーン王国の方々、ルマニア王宮にお越しくだされた。我がルマニアの王ベンガルである」
ベンガル王が威厳のある声で挨拶をした。
「ベンガル陛下、初めてお目にかかります。ルーン王国第一王女アレサです」
アレサ王女が優雅な挨拶を返した。
「長旅でお疲れであろう。歓迎の宴まで、ゆっくり休まれよ」
ベンガル王が労いの言葉を掛けた。
「お心遣い、感謝致します。御言葉に甘えさせていただきます」
アレサ王女が感謝の言葉を返した。
「そろそろ、宴の時間よ。皆、ドレスに着替えなさい」
アレサ王女が私達にドレスに着替えるように指示を出した。
「アレサ王女様、私達は護衛です。着替える必要は無いと思います」
マリアさんが着替えを拒否しようとした。
(マリアさん、頑張れ)
私は心の中で応援した。
「駄目よ。ドレス姿でないと、宴の会場に入れないわよ。早く、着替えなさい。命令よ」
私達は拒否出来ず、ドレスに着替えさせられた。
「皆の者。今夜はルーン王国の方々の歓迎の宴である。お互いの交流を深める為、積極的に打ち解けて欲しい。乾杯」
ベンガル王が乾杯の音頭を取った。
「「「「「乾杯」」」」」
「アレサ王女、先程から気になっていたのだが、その女性はドライアドなのか」
ベンガル王がアレサ王女に私の事を尋ねた。
「はい。その通りです。彼女はドライアドです。マコト、ベンガル陛下に御挨拶なさい」
アレサ王女が私に挨拶するよう指示をした。
「初めまして。ベンガル陛下。ドライアドのマコトです」
私は緊張しながら挨拶をした。
「それにしても、三つ目のドライアドとは珍しい。失礼だが、貴女は特異種なのか」
ベンガル王が直球で質問してきた。
「私は第三形態のドライアドです」
私は正直に答えた。
「第三形態?ドライアドには形態があるのか、初めて聞いた」
ベンガル王が驚いた。
「他のドライアドの事は分かりません。多分、私だけが特別なのだと思います。はっきりした事が分からなくて、申し訳ありません」
私は曖昧な言葉で答えた。
「我の方こそ不躾な質問をしてすまなかった。許してくれ」
ベンガル王が頭を下げて謝罪してきた。
会場中の視線がベンガル王と私に集中した。
「ベンガル陛下、お辞めください。どうか、頭を上げて下さい」
私は必死でベンガル王を止めた。
「ベンガル陛下、マコト、その話は打ち切りにしましょう。交流に差し障りがあります」
アレサ王女が仲裁に入ってくれた。
(アレサ王女、ありがとうございます)
私は心の底から感謝した。
それ以降は問題も無く、宴は終了した。
「アレサ王女様、先程は申し訳ありません。交流に水を指すところでした」
私はアレサ王女に謝罪した。
「もういいわ。結果的に上手くいったから。先程の騒動の仲裁でベンガル陛下に貸しをつくったわ」
アレサ王女は大変ご機嫌なようだった。
「そうなんですか。政治はよく分かりません」
私は政治は難しいと思った。
ルマニア王宮の一室。
「陛下、アレサ王女の見極めはどうでした。同盟を結ぶべきか。敵対すべきか。どうなされますか」
宰相がベンガル王に尋ねた。
「アレサ王女より、あのドライアドの方だ。あれは危険だ。下手をすれば、ルマニアが滅びるかもしれない。慎重に見極めなければならない」
ベンガル王が苦悩に満ちた表情で答えた。
次回も乙女の牙が獣人の国に行く話です。




