乙女の牙、獣人の国に行く。(1)
乙女の牙が獣人の国に行く話です。
「お前達、乙女の牙に王宮から指名依頼がきた。第一王女アレサ様が獣人の国ルマニアに表敬訪問の為、向かわれる事になった。その護衛だ」
グランドマスターがまたしても指名依頼を押し付けてきた。
「私達が指名された理由を教えて下さい」
マリアさんが拒否する口実を模索している。
「王女様の護衛だ。女性だけの冒険者パーティーで任せられるのは、乙女の牙だけだ」
グランドマスターが拒否出来ない理由を告げてきた。
「分かりました。依頼を受けます」
マリアさんが折れた。
「アレサ王女様、この者達が護衛を務めます、乙女の牙です」
ショウサイがアレサ王女に私達を紹介した。
「初めまして。アレサ王女様、僧侶のマリアです」
「初めまして。アレサ王女様、戦士のセイラです」
「初めまして。アレサ王女様、武道家のミオです」
「初めまして。アレサ王女様、魔法使いのラムです」
「初めまして。アレサ王女様、ドライアドのマコトです」
アレサ王女の視線が私に集中している気がする。
「乙女の牙の皆様、私の護衛を快く引き受けて下さって、ありがとう」
アレサ王女が優しい御言葉を掛けて下さった。
「あなたが、噂のドライアドですね。エルフの国に親書を届けた事。国交を断絶され、戦争に成りかけたのを防いだ事。国交を再開させ、交流を深めさせた事。ダークエルフによる王家簒奪の陰謀を未然に阻止した事。全て聞き及んでいます。お話しがあります。私の馬車に来て下さい」
アレサ王女に馬車を来るように依頼された。
「かしこまりました」
私は素直に従った。
「お前達は下がっていなさい。私が呼ぶまで、誰も馬車に近づかないようにしなさい」
アレサ王女が侍女達を下がらせた。私とアレサ王女だけになってしまった。
「お姉さま、お逢いしたかった」
突然、アレサ王女が抱きついてきた。
「ア、アレサ王女様、どうなされたのです」
私は気が動転してしまい、硬直してしまった。
「アレサ王女様なんて他人行儀な呼び方はしないで下さい。私の事はアレサと呼んで下さい」
アレサ王女は熱い視線で私を見つめて、呼び捨てにするよう頼んでくる。
「呼び捨てなんて出来ません」
私は呼び捨てを拒否した。
「お姉さま、敬語も禁止です」
アレサ王女が敬語も禁止した。
(この子、シスコンなの。レズかもしれない)
私は心の中で、絡み合う姿を想像しまった。
「アレサ王女様、離れて下さい。人に見られたら、大騒ぎになります」
私は離れるように説得した。
「安心して下さい。私が呼ぶまで、誰も来ません」
アレサ王女は説得に応じなかった。
「アレサ王女様、乙女の牙の方々がマコト殿をお呼びです」
馬車の外から、侍女の声がした。
(助けが来た。神様、ありがとうございます)
「分かりました。直ぐに行きます」
私は速攻で返事をした。
「仕方ありません。お姉さま、続きは今夜に致しましょう」
アレサ王女は残念そうに、私から離れた。
「マコト、大丈夫だった。侍女達の話を耳にしたんだけど、アレサ王女様ってシスコンみたい」
「私はレズだって思ったわよ」
「私には両刀使いって聞こえた」
「どっちにしても変態」
「いきなり抱きついてきたのよ。驚いたわよ。私は依頼を抜けていい」
「駄目に決まっているでしょう」
「アレサ王女様の目的はマコトよ」
「私達を巻き込まないで」
「お大事に」
「皆、ひどい」
「マコトが居ませんね。どうしたのです」
アレサ王女が尋ねてきた。
「マコトは飛行魔法が使えるので、偵察に行ってもらっています。明日の朝まで戻りません」
マリアはマコトが偵察に行っている事を伝えた。
「マコトは戻って来ていますか」
翌朝。再度、アレサ王女が尋ねてきた。
「徹夜で偵察していたので、疲れて眠っています」
マリアはマコトが眠っている事を伝えた。
ルマニアに到着するまで、夜間は偵察、昼間は睡眠、このパターンの生活を続ける事にした。
次回も乙女の牙が獣人の国に行く話です。




