真琴、スクーグスローに出会う
真琴がスクーグスローに出会う話です。
「マコト、スクーグスローの噂を聞いた事があるかしら。あなたと同じように女性の姿をした植物系の魔物よ。森の中で人間の男性を誘惑するらしいわ。求婚する場合もあるそうよ。女性も誘惑するならいいのに」
ホウマさんが植物系の魔物の噂話をしてきた。
「私は男性を誘惑しないわよ。勿論、女性もよ。同じ植物系の魔物なら一度会ってみたいわ」
「マコト、ノゾミ達の薬草採取に同行してくれる。近くで魔物が出るらしいのよ。あの子達だけでは不安よ」
マリアさんにノゾミ達の同行を頼まれた。
「いいわよ」
私は引き受けた。
「この森にだけ生える薬草の採取の依頼なんですけど、たまに魔物が出現するそうです」
「それじゃ、森の中に入るわよ。皆、油断しないようにしなさい」
私は用心するように注意をした。
「「「はい」」」
ノゾミ達が元気に返事をした。本当に素直な子達ね。
「待て。これ以上、森の奥に入るな」
突然、男性が立ちふさがった。
「私達は薬草を採取してるだけよ。邪魔しないでくれる」
私達は男性を無視して奥に進む。
「これ以上、進ませないぞ。ぐゎぁぁ」
男性が殴りかかってきたので殴り返した。
「しつこいわよ。いい加減にしないと怒るわよ」
私は男性の首を締め上げて叱責した。
「待って下さい」
女性が樹木の影から飛び出してきた。
「馬鹿。出てくるんじゃない」
男性が女性を叱責した。
「お願いです。主人を許して下さい。主人は私を守ろうとしただけなんです」
女性が涙を流して懇願してきた。私は男性を放した。
「あなた、人間じゃないわね。正直に白状しなさい」
私が問い詰めると、女性が私を見つめた。
「はい。私は人間ではありません。スクーグスローです。あなたはドライアドですね」
女性は、あっさりと白状した。
「スクーグスロー!スクーグスローって人間の男性を誘惑するという噂の魔物よね」
私は男性を見た。
「その男性を誘惑したのね」
再度、私は問い詰めた。
「ネキテは誘惑なんかしていない。俺達は夫婦だ」
男性が叫び声を上げた。
「夫婦」
私は二人を交互に見た。二人共、恥ずかしそうに顔を伏せていた。
「何か、事情がありそうね。話してくれない。場合によっては、力になるわ」
私は二人に事情を話すように促した。
「私達は半年前に出会いました。最初は確かに誘惑しました。でも、一緒に暮らしている内に、本当に愛し合うようになりました。そして、結婚しました。私達は幸せに暮らしていました。しかし、私の噂を聞きつけた魔物商人が森にやって来て、私を拉致しようとしたのです。一度は追い返しましたが、またやって来るのは明白です。それで、これ以上噂が広がらないように人を追い返していたのです」
二人は事情を話してくれた。
「あなた達、森を出て、別の安全な場所で暮らす気持ちはある。私も見ての通り魔物よ。でも、王都で暮らしているわ。あなた達さえ良かったら、家主に頼んであげるわ」
私は二人に提案をした。
「迷惑じゃないですか」
女性が聞いてきた。
「問題無いわ。家主も優しい人よ。後は、あなた達の勇気次第ね。どうするの」
私は二人に決断を促した。
「少し、考えさせて下さい」
二人は決断出来無いようだ。
「分かった。明日のこの時間にまた来るわ。それまでに決めておいて。私はマコト。二人の名前を教えてくれる」
「失礼しました。名乗っていませんでした。私はネキテ。主人はシュテイです」
女性が名前を教えてくれた。
「ネキテさんとシュテイさんね。それじゃ、明日」
私達は二人と別れて、薬草採取を続けた。
ホウマさんに二人の事を話して、許可をもらった。貸し一つと言われた。
翌日。私は約束の時間に森に転移した。
「気持ちは決まった」
私は二人に決断を迫った。
「はい。お世話になる事にしました。よろしくお願いします」
二人は私の提案を受け入れた。
「引っ越しの準備は出来ている」
私は二人に尋ねた。
「出来ています。どうやって移動するのですか」
ネキテさんが質問してきた。
「転移よ。二人共、一瞬で王都に移動するわ。二人共、荷物を持って私に掴まって」
私は二人に説明した。
「転移?」
二人は呆然としていた。二人は転移を知らないようだ。
「早く、掴まって」
私は二人に急ぐよう促した。二人は恐る恐る私に掴まった。
《スキル転移発動》
私達は屋敷に転移した。
「「森が消えた」」
二人は驚き、勘違いしている。
「森が消えたんじゃないわ。私達が一瞬で森から王都に移動したのよ」
再度、私は転移の事を説明した。
「皆、今日から仲間になる。ネキテさんとシュテイさんよ」
私は二人を皆に紹介した。
「ネキテです」
「シュテイです」
二人か皆に挨拶した。
「皆も、挨拶して」
私は皆に挨拶するよう促した。
「家主のホウマです」
「マリアです」
「セイラです」
「ミオです」
「ラムです」
「ノゾミです」
「カナエです」
「タマエです」
皆が二人に挨拶した。
「ホウマさん以外は現役の冒険者よ」
二人に皆の事を説明した。
「マコト、私は今でも現役の冒険者よ」
ホウマさんからツッコまれた。
この夜は二人の歓迎会で盛り上がった。
相談の結果。ネキテさんは家事を、シュテイさんは雑務を担当する事になった。
深夜。マコトの部屋に侵入する者がいた。
ネキテだ。
ネキテは眠っているマコトの首筋に爪を突き立てた。
「これで、お前は私の意のままよ」
ネキテは邪悪な笑みを浮かべた。
「そうかしら」
突然、背後から声を掛けられた。
振り返ると、マコトが平然と立っていた。
「マコト!それじゃ、こいつは」
ネキテは立っているマコトと眠っているマコトを交互に見た。
「それは、私の分身よ」
マコトが氷のような冷たい声で、言った。
「いつから、気付いていたのよ」
ネキテが尋ねた。
「最初からよ。考えてみれば直ぐに分かるわ。あれほど、スクーグスローの事が噂になっているのに、冒険者ギルドが動かないのは不自然よ。どこからか圧力がかかったと思うのは、当然でしょう」
マコトは蔑むような視線でネキテを見た。
「畜生。死ね」
ネキテがマコトに襲いかかった。
「遅いわよ」
しかし、マコトのカウンターパンチをまともに受けて、気絶した。
「此処はどこ」
ネキテは薄暗い部屋で、シュテイと共に拘束されていた。
「地下の拷問室」
「違う。地下の尋問室よ」
「やっとお目覚め。待ちくたびれたわ」
声のした方向を見ると、マコト、ホウマ、ラムの三人が居る。
「さて、尋問の時間よ」
ホウマが冷たい声で、宣言した。
「そう、拷問の時間」
ラムがホウマ以上に冷たい声で、恐ろしい宣言をした。
「拷問じゃないわ。尋問よ」
ホウマが訂正した。
「黒幕は誰?見当はついているけど、答えなさい」
マコトが尋問した。
「誰が、答えるもんか」
ネキテが拒否した。
「反抗するなら、仕方ないわ。ラム、ネキテの右目を刺しなさい」
ホウマがラムに命令する。
「分かった。両目を刺せばいいのね」
ラムが右目にナイフを突き刺した。
「ぎゃぁぁぁ」
尋問室にネキテの絶叫が響き渡る。
更に、左目にナイフを突き刺した。
「ぎゃぁぁぁぁぁぁ」
再度、絶叫が響き渡る。
「ラムさん、スキル再生を贈与するね。好きなだけ拷問出来るわよ」
《スキル創造発動。再生創造》
《スキル贈与発動。再生贈与》
マコトはラムに再生を贈与した。
「マコト、ありがとう」
ラムは喜んだ。
《スキル再生発動》
ラムは再生を発動した。
ネキテの両目が再生した。
「素直に答えなさい」
マコトが尋問を再開した。
「ふん」
ネキテは拒否を続ける。
「ラム、右手の指を全て切り落としなさい」
ホウマは命令を続ける。
ラムは両手の指を全て切り落とした。
尋問は続けられた。
「答えるから、やめてよ。神官長のレイメイだよ」
遂にネキテは自白した。
「答えたんだから、やめてくれるよね」
ネキテは懇願した。
「駄目よ。あなたなんかの自白では、レイメイを罪に問う事は出来ないわ。何より、私の可愛いマコトに危害を加えようとした事が許せないわ。あなたは一生、この屋敷で尋問と実験され続けるのよ。隣のクズ男と共にね」
ホウマが氷よりも冷たく言い放った。
「解剖。楽しみ」
ラムがホウマよりも恐ろしい事を言った。
真琴が王家簒奪を暴く話です。




