真琴、薬草に退化する。
真琴が薬草に退化する話です。
「困ったわ。ラムの調合した肥料が無くなりそうなの」
マリアさんが困った表情で報告してきた。
「ラムさんに新しく調合してもらえば」
「ラムは肥料の原料を採取の為、遠出しているのよ」
「それなら、普通の肥料を掛けてくれる」
「それでいいの?」
マリアさんが不安そうに、尋ねてきた。
「いいよ。普通の肥料も美味しいから」
「元の薬草に戻ったりしないかな」
マリアさんが不安がっている。
「多分、大丈夫よ。そんな簡単には変化しないわよ」
「分かったわ」
マリアさんは納得したらしく、肥料を掛けてくれた。
翌日。私は元の薬草に戻ってしまった。
「やっぱり、薬草に戻ったわね」
「ラムさんの肥料が完成すれば、またキノコに進化するわよ」
私はマリアさんを安心させる為、明るい口調で言った。
しかし、ラムさんの新しい肥料を掛けてもらったが薬草のままだった。
「調合を間違えたんじゃないの」
マリアさんが興奮してラムさんを非難した。
「間違えてないわ。原因は他にあるわ」
ラムさんが大声で反論する。
「二人共、私の事で喧嘩はやめてよ。お願いだから」
私は二人の仲裁に入った。
「ゴメン。興奮して」
マリアさんがラムさんに謝罪した。
「私の方こそ大声を出してゴメン」
ラムさんもマリアさんに謝罪した。
「この件は終わりにしない。私は元々薬草だったんだから。それに、ラムさんの肥料を摂取し続ければキノコに進化するかもしれないし」
「真琴さんがいいなら」
「私も異論はないわ」
二人共、渋々だが納得してくれた。
その夜。私はスキルが使用出来るか、試してみる事にした。
≪スキル増殖発動≫
私の隣に薬草が出現した。スキルは使えるみたいね。
ミツタケのように高値で売れないけど、普通の薬草だって数が揃えば、それなりの金額になるわ。
私は魔力が尽きるまで増殖を繰り返した。
翌日。マリアさんに増殖した薬草を見せた。
魔力を使い果たした私と大量の薬草を見て、ショックを受けたようだ。
「真琴さん、無茶はやめて」
マリアさんが泣きながら懇願してきた。
「心配させて、ゴメンなさい。二度と無茶はしないわ」
私は謝罪と約束をした。
今回は退化する話でした。次回は進化させる予定です。