ヤゴチエ、獣人族の王に勧誘される。
ヤゴチエが獣人族の国王に勧誘される話です。
「待ちな。此処から先は俺達の縄張りだ。通りたかったら通行料を払いな。代金は有り金全部と女達全員だ」
獣人族の国に入った途端に盗賊に絡まれた。
「やっぱり、出てきた」
「お約束通りの展開ね」
「ラノベじゃあるまいし」
「鬱陶しい」
「解剖されたいの」
「半殺しにされたいのかな」
「いい年して恥ずかしくないの」
「親の顔が見たい」
「忠告しておく。この女達を怒らせない方がいいぞ」
私達は盗賊達に忠告した。
「おい。聞いたかよ」
「女の癖に粋がりやがって」
「俺達を舐めてんのか」
「お仕置きが必要みたいだな」
「たっぷりと可愛がってやるぜ」
私達の殺気に盗賊達は気付いていないようだ。
(本当に鬱陶しい)
《スキル万能(麻痺)発動》
「「「「「体が動かない」」」」」
「さてと解剖するわよ」
ラムが解剖用のメスを懐から取り出して、盗賊達の顔に突き付けた。
「半殺しの時間だ」
麻香緒が指をボキボキと鳴らして、近付いていく。
「「「「「ヒィィ」」」」」
「馬鹿な奴らだ。人が親切で忠告してやったのに」
ラムに全身を切り刻まれた。
麻香緒に四肢の骨を砕かれた。
最後に大木に吊るされた。
「此処は我々獣人族の王城のある集落だ。余所者は直ちに立ち去れ」
いきなり退去を言い渡された。
(強行突破するべきか。退去するべきか。どうしようかな)
「俺に任せてくれ」
ヤゴチエが前に出ようとする。
「「「「「「「「却下」」」」」」」」
全員が却下した。
「何でだよ」
ヤゴチエが却下の理由を聞いてきた。
「貴方、鳥人族での事を忘れたの」
鳥人族での失敗を指摘した。
「分かったよ」
ヤゴチエは渋々引き下がった。
「私達は旅の冒険者です。爬虫類族の族長からの伝言をお伝えに来ただけです。それが済めば、この集落を通り抜けるだけです。何とか通してもらえませんか。お願いします」
私は丁寧に頼み込んだ。
「駄目だ。どうしても通りたかったら、お前達の力を見せろ」
獣人が奇妙な事を言った。
「力を見せろとは。どういう意味ですか」
私は聞き返した。
「我々の王とお前達の代表が闘い、お前達が勝利すれば通してやる」
決闘を挑まれた。
(獣人らしいわね)
「分かりました。その条件を呑みます」
私は条件を呑んだ。
「お前達が挑戦者か。ずいぶん貧弱だな」
大きな熊獣人が現れた。
(さすがは獣人族の王ね。デカイわ)
「俺は獣化魔法が使える。任せてくれ」
「「「「「「「「却下」」」」」」」」
「今度は失敗しない。信じてくれ」
ヤゴチエが懇願した。
「皆、どうする」
「意気込みは認めるけど」
「意気込みだけでは勝てないわよ」
「闘うところを見てない」
「負けたら解剖する」
「実力が分からない」
「本当に勝てる」
「絶対に勝てる」
全員がツッコミを入れた。
「絶対に勝つ」
ヤゴチエが勝利宣言した。
「分かった。任せるからには絶対に勝ちなさい」
ヤゴチエに任せる事にした。
「獣化魔法ビーストチェンジ」
ヤゴチエが虎に変化した。
「本当の虎に変身した」
「伝説の神獣人様なのか」
「信じられない」
「実在していたのか」
(伝説の神獣人様。またなの。いい加減にしてよ)
私達はヤゴチエを睨み付けた。
「神獣人様、是非、我々の王になって下さい」
獣人族の王がヤゴチエに嘆願してきた。
「断る」
「何故ですか」
「俺が神獣人ではないからだ。そもそも神獣人って何者なんだ。逆に教えてくれ」
「我々獣人族の伝説です。本当の獣に変身出来る人物は神の使いであると」
「神なら本人がそこに居るぞ。一番小さい幼女は世界樹という神の一種族だ。俺は彼女に仕えている。そういう意味では神の使いだ。だが俺は神獣人ではない。キメラと呼ばれている複数の種族が融合した生物だ。その証拠を見せてやる」
〈鳥化魔法バードチェンジ〉
隼に変化した。
〈龍化魔法ドラゴンチェンジ〉
龍に変化した。
〈人化魔法ヒューマンチェンジ〉
人間に変化した。
〈獣化魔法ビーストチェンジ〉
虎に変化した。
「これで分かったか。俺は神獣人ではない」
「いいえ。貴方は神獣人様に間違いありません。お願いします。王になって下さい」
「俺にはこの少女達をとある場所に送り届ける使命がある。それが終われば考えてもいいが」
(私達を口実に使ったわね。それに私の正体をばらしたわね。覚えていなさいよ)
「とある場所とは何処ですか」
「それは神界の機密事項だ。教える事は出来ない。我々は急いでいる。この集落を通り抜けさせてくれ」
「分かりました。お通り下さい」
「闘いはしなくて良いのか」
「神獣人様と闘いなんて不敬な真似は出来ません」
「そうか。遠慮なく通り抜けさせてもらう」
〈人化魔法ヒューマンチェンジ〉
人間の姿に戻った。
「それから爬虫類族の族長からの伝言がある。爬虫類族が獣人族と交流を深めたいらしい。口添えを頼まれた。交流を深めてもらうのは無理か」
「神獣人様のお言葉なら我々は喜んで従います」
「宜しく頼む。それでは去らばだ」
私達は足早に集落を通り抜けた。
「一応、上手くいったわ。ヤゴチエ、ご苦労様。でも私達を口実にしたわね。私の正体もばらしたわね。お仕置きが必要みたいね」
次回は魔族の国の話です。




