真琴、昆虫族の王子に求婚される。
真琴が昆虫族の王子に求婚される話です。
「此処から昆虫族の国なのよね。皆、スルーしない」
私はスルーする事を提案した。
「駄目よ。貴女、虫が怖いだけでしょう」
「臆病者」
「弱虫」
「意気地無し」
「大人の癖に子供みたい」
「いい年して情けない」
「いい加減に諦めなさい」
「駄目だ。爬虫類族の族長に伝言を頼まれただろう」
全員に反対された。
「それ以上、王城に近付くな」
(虫が出た。しかも蜘蛛だよ。ワーストスリーの蜘蛛だよ)
「私達は旅の冒険者です。爬虫類族の族長に頼まれた伝言をお伝えする為に来ました。女王様にお目通りをお願いします」
真っ青になっている私に代わって、マリアが謁見のお願いをした。
「暫く其処で待て」
衛兵が上官の指示を仰ぐ為に王城の奥に向かった。
暫くして衛兵が戻って来た。
「謁見室まで案内する」
謁見室まで案内された。
ようやく落ち着いてきた。
「私が昆虫族の女王イラフタバよ。お前達が爬虫類族の族長に伝言を頼まれた者達ね。人族のようだけど。何故、人族のお前達が伝言を頼まれたの」
(蝶が女王なんて珍しいわね。蟻か蜂だと思っていたのに)
「女王陛下、初めまして。私はマコトと申します。私達は旅人です。爬虫類族の国に立ち寄った時、爬虫類族と鳥人族が戦争中でした。その戦争を停戦させるお手伝いをさせて頂きました。その縁で伝言を頼まれました」
「それで伝言の内容とは何です」
「爬虫類族は昆虫族との交流を望んでいます」
「交流ですか。難しいわね」
「分かりました。爬虫類族の族長にはそう伝えます」
「ずいぶんあっさりと諦めるわね」
「私達は伝言を頼まれただけです。交渉に来たわけではありません」
「確かにそうね。伝言はそれだけなの」
「はい」
「母上、その者達が爬虫類族の使者なのですか」
「アリイラフタバ、謁見室では女王陛下と呼びなさい」
(母上って呼ぶ事は王子なのかな。それとも王女)
「申し訳ありません。女王陛下」
王子が心のこもっていない謝罪をした。
「王子としての自覚が足りませんよ」
(王子か)
何故か王子が私を見つめている。
「美しい。そなた、私の妃となれ」
王子がとんでもない爆弾発言をした。
(これって求婚よね。冗談じゃない。虫と結婚なんて絶対に嫌よ)
「アリイラフタバ、馬鹿な冗談を言うのはお止めなさい」
女王が王子を叱責した。
「冗談ではありません」
王子が反論した。
「勿論、承諾するよな」
王子が迫って来た。
(近付かないでよ。気持ち悪い)
「殿下、お待ち下さい。彼女は俺の婚約者です」
今度はヤゴチエが爆弾発言をした。
(助けてくれるのは有難いけど、婚約者って何。貴方、ロリコンだったの)
「決闘だ。勝った方がこの女と結婚出来る」
王子が叫び声を上げた。
「お断りします。彼女は物ではありません」
「軟弱者。それでも男か。決闘は私の勝ちだな」
「いいえ、アリイラフタバ、お前の負けです」
女王陛下が王子の負けを宣言した。
「母上、何故、私の負けなのです」
「その者の言う通りです。人は物ではありません。心が有るのです。お前は愛情でも、優しさでも、負けています」
「母上、そんな」
「二人共、アリイラフタバが迷惑を掛けました。私からも謝罪します。交流の件、前向きに検討してみます」
「「ありがとうございます」」
「二人共、息がぴったりなのね。とてもお似合いよ。お幸せに」
(違います。こんなロリコンなんか婚約者じゃありません)
(違う。こんな幼女なんか冗談じゃない)
王子がヤゴチエを憎悪の視線で睨んでいた。
私達は王城を退出して獣人族の国に向かった。
(これで虫を見なくて済むわ)
私は安堵した。
それは甘い考えだった。
「その男と幼女は置いていってもらおう」
私達は複数の昆虫族に取り囲まれてしまった。
(また虫が湧いて出た)
《スキル万能(多重探知麻痺)発動》
虫なんか見たくないので一気に麻痺させた。
(あの虫王子の差し金だろうけど、虫なんかこのまま放置しておこう)
本来は尋問するのだが放置する事にした。
ヤゴチエが獣人族の王に勧誘される話です。




