真琴、薬草に転生する。
最新作です。
異世界に薬草として転生した少女が世界樹に進化する物語です。
彼女は四人の仲間と共に苦難を乗り越えていきます。
どうか彼女達を応援して下さい。
(あれ!目が見えない。どうして?)
私の目が見えなくなっている。(体も動かない。どうして?何故?)
目が見えないどころか、体も動かない。
必死に体を動かそうとするが、少しも動くことが出来ない。
「薬草見っけ♪」
突然、誰かの声が聞こえた。少女みたいな声だ。どうやら、耳は聞こえるようね。いや、これは声じゃない。頭に直接響いてくる。テレパシーみたいなものね。
そして、何かに掴まれた感触がした。
「これで依頼分の薬草を採取完了ね」
「あの!私は薬草じゃありません」
私は抗議した。
「きゃあぁ!薬草がしゃべった」
少女が驚いて悲鳴を上げた。そして、逃げようとするが、腰が抜けたようだ。
「落ち着いて。しゃべった訳ではないわ。テレパシーみたいなものよ。それに私は人間だよ」
「人間?」
少女は恐る恐る私を見つめた。
「あなた、もしかして転生者?」
そして、尋ねてきた。
「ちょっと待ってね。頭の中を整理するから」
私は今日の行動を思い出す事にした。
(確か通学途中のバスの中だったはず。突然、眩しい光に包まれた気がする。そして、気がついたら今の状況だった。う~ん、訳が分からない。本当にラノベで流行りの転生なの)
私は困惑するだけだった。
「多分、転生者らしいわ。しかし、よく転生者だと分かりましたね」
私は少女に問いかけた。
「実は、私も転生者なの。前世の名前は神谷恋」
少女はあっさりと答えてくれた。
「あなたも!」
「今の名前はマリアだよ。あなたは?」
「私は、草野真琴」
「草野真琴。あなたも日本人なの。じゃあ、真琴君って呼んでいい」
「あの、私は女です」
「ゴメンなさい。え~と、真琴さん」
「勘違いしやすい名前ですから、気にしてません。私もマリアさんって呼んでいいかな」
「勿論、いいわよ。それより、真琴さんはこれからどうするの。このまま薬草として此処で生きていくの」
「う~ん、どうするかな」
私は考え込んだ。
「此処で生きていくのは無理だと思うよ。いつ誰かに採取されるか分からないし。真琴さんさえ良かったら、私の家に来ない」
マリアさんが助言をしてくれる。
「それは助かるけど、いいの」
「勿論、家には家庭菜園もあるし」
「マリアさん、ありがとうございます。よろしくお願いします」
私はマリアさんにお礼を言った。
「それじゃ早速、丁寧に掘り起こすわね。あと、別の薬草を採取しないと」
こうして、私はマリアさんが家で生活する事になった。
マリアさんはパルムスという町でお爺さんと二人暮らしだった。
両親と妹は王都で暮らしているそうだ。
「お爺ちゃん、彼女が真琴さんよ」
マリアさんが私の事を紹介してくれた。
「ほう、話す薬草とは珍しい」
「お爺ちゃん、彼女は人間よ。言ったでしょう。転生者だって」
「ゴメン。そうだったな。真琴さんも悪かったな」
「いえ、構いません。お爺さん、よろしくお願いします」
「ワシのことはレカタと呼んでくれ」
「はい。レカタさん」
「真琴さん、家庭菜園に植え替えるわよ」
私はマリアさんに家庭菜園に植え替えてもらった。
そして、根に肥料を掛けてもらった。
マリアさんは十七歳で、五年前に前世の記憶を思い出したそうだ。
冒険者で職業は僧侶。聖女様になるのが将来の夢らしい。
現在の日本について、色々な質問をされた。
流行りのファッション、漫画、アニメ、ラノベの事が特に興味あるみたいだ。
深夜まで会話は続いた。
翌朝。マリアさんが家庭菜園に来た。
「マリアさん、おはようございます」
私は朝の挨拶をした。
「真琴さん、おはよう。それから、私に敬語は不要よ」
「でも、お世話になっていますから」
「いいから、敬語は禁止。オッケー」
「はい。分かりました。いえ、分かったわ」
「それじゃ朝の肥料を掛けるわよ」
一日に三回、肥料を掛けてもらう日々が続いた。
数日後。マリアさんが友達を連れてきた。
「皆、彼女が真琴さんよ」
マリアさんが彼女達に紹介してくれた。
「初めまして、真琴です」
私は初対面の挨拶をした。
「へぇ~、これが話す薬草か」
「見た目は普通の薬草ね」
「解剖していい」
彼女達は遠慮なく感想を述べた。しかも最後のは怖い内容だった。
「皆、失礼よ。真琴さんに謝りなさい」
マリアさんが彼女達を叱責した。
「「「ゴメンなさい」」」
彼女達は素直に謝ってくれた。
「気にしてません。頭を上げて下さい」
「真琴さん、最初の子がセイラ、次の子がミオ、最後の子がラムよ。それじゃ、真琴さんに自己紹介して」
「初めまして。セイラです。マリアと同じく冒険者で職業は戦士。騎士志望です」
「ミオよ。私も冒険者で武道家。世界一の武道家を目指しているわ」
「ラム。冒険者で魔法使い。未来の賢者」
「皆さん、自分の目標を決めているのですね。羨ましい」
私達は女子会のように、会話を続けた。
どんな内容でも構いません。感想を待ってます。