9.チェンジ!!
質問です。
異世界に飛ばされたらどんな風になると考えられますか?
そうですね
色々な可能性が考えられます。
まず色々な能力をもった最強主人公が不便な異世界を便利にしたり、邪悪な存在をちょちょいのちょいで倒したり、美味しいもの食べたり、謎を解決したり、ハーレムを形成したり、崇められたり、誰もが魅了する容姿になったりとetc.
では第二の質問です。
貴女はどのルートだと思いますか?
そうですね
まずイケメンが出てきた時点で「おわっ!乙女ゲーですか?」と思いましたが、猫耳とワイルド系は珍獣を見るような目で見てるし、うさ耳野郎は論外です。
ですから乙女ゲーム的な展開はないと思います!!
言葉も通じないし・・・いやほんと、ここだけはチート能力かご都合主義的な感じでわかるようにしてくれるはずでしょ?それさえもないってどんな無理ゲーなんですか?
そして食事!見た目がまともなのにあの味!!信じられないぐらい激マズ!!あの紫色の固形物の方がマシだと思えるのが怖い・・・・・・どんなデスゲームよ!!
あんな不味いもの初めて食べたわ。
『ぐるぐるぐぐぐっつうううっ』
ああ・・・お腹が空いて虫も盛大に鳴いてるわ・・・・・・
『ぐるぐるぐぐぐっつうううっ』
『ぐるぐるぐぐぐっつうううっ』
『ぐるぐるぐぐぐっつうううっ』
「うるさくって眠れんわっ!!」
がばっと起きだす。
ベットの中にいたみたいだ。
「えっ?私もしかして今まで寝てたの?やっぱ夢か~物語なら夢落ち許さんとなるけど、自分の事なら夢落ちOK~夢でよかったよ。めでたし・・・めで・・・たし・・・じゃない!!」
ベットがいつもの自分のベットと違うことに気づく。
どう見ても我が家の量販店で買った安物布団じゃない・・・上質な掛け布団とサラサラな肌触りの高そうなシーツ。
天蓋付きのベット。
いくつものある大きな窓から柔らかな日差しが入り部屋の広さがわかる。
私の部屋の何倍もある広い部屋。
ふとドアの方をみると、グレーのシックなドレスを着た50歳前後の優し気な女性が立っていた。
耳と尻尾がない?耳と尻尾がない人だ!!わーい普通の人だ!人間だ!嬉しい~
ここは病院だね?
やっぱ私、頭打って病院に運ばれたのね!異世界は夢だったのね!
私が起きたことに気が付いた女性が、声をかけてきた。
「ls;あm;dhヴぁmv」
夢じゃなかった。異世界だわここ
喜んだのも束の間でした・・・
女性は長椅子の上に置いてあった布を手に取り、私に近づいてきた。
「おいjflんsvlさ:ヴぉえ」
布を私の前に差し出してきた。受け取れってこと?
受け取ってみるとレースたっぷりフリフリの可愛いピンクのドレス。
これを着れっていうこと?
29歳の女に・・・どんな罰ゲームですか!?
ベットを降りて、体をみると今まで着ていたブラウスとスカート姿ではなく、白い布に肩と脇を簡単に縫って首のあたりをくりぬいたものを着ていた。
「なにぃ?いつの間に・・・・・・」
きっと私が寝ている間に、この女性が着せ替えてくれたんだ。
きっとそうだ。そうに違いない。
あのセクハラうさ耳が着せ替えたとは思いたくない。
「んlksdvl;っしvl:」
女性はそう言うと私の白い服を脱がせた。
いやん同姓だけど見られるのは恥ずかしいわぁ~っていうか!私のブラとパンツは?!どこ行った?マッパですよマッパ!全裸と書いて全裸!!
そのままピンクのドレスを頭からかぶされる。
いやだから私のブラとパンツは?
ノーブラ、ノーパンなんてどんな羞恥プレイなのよ!
黙々と私にドレスを着付ける彼女はプロだわ。私の体型を見ても眉一つ動かさないもの・・・
少し白髪が混じった黒い髪をキッチリと結い上げ、グレーのドレスを纏った彼女は私よりも10㎝ほど背が高い。
私が150㎝ぐらいだから160㎝か~いいな~それぐらいの背が欲しかったよ。
緑色の目と合う。
彼女はにっこり笑い、私を鏡の前に
「!!!!」
ピンクのドレスを着たブタが立っているわ・・・・・・
「は・・・ははははははっ・・・・」
きっつい!非常にキツイ!!しかし考えろ恵・・・来年のかくし芸にこれで出演すれば、会社で大スターよ!お笑い界の星になれるのよ・・・
呆然としながら鏡を見てると、セクハラうさ耳が部屋に入ってきた。
「かんヴぁlんjs:vjdj」
私のドレス姿を頭からつま先まで眺め、褒めているような言葉を言ってるのはなんとなくわかるが、心に届かない。
だって自分の事はよくわかっている。
「あshlんlvん;sぢ」
彼女もニコニコしながら私の事を褒めているようなことを言ってる。
?
なんだろう・・・はっきりとはわからないけど・・・なんとなく昨日よりフィーリングで何を言っているのかわかる感じ?
「ごあhslじゃいおfj」
セクハラうさ耳は指をパチッと鳴らした。
私の周りに暖かい風がふぁっと舞う。
風が吹き終わると、うさ耳は私を抱き上げた。
「いんldkvljv;:」
三人で部屋をでる。
長い廊下・・・テレビで見たヨーロッパの貴族の屋敷みたいな感じ。
大きな階段の踊り場に突き当たると、下に降りる。
大きな扉の前にくると、彼女がドアを開けた。
長方形に広い部屋は、大きな長細いテーブルがあり、上座には猫耳イケメン、その横にワイルド系イケメンがお茶を飲んでた。
「hvs;sdvん;あlj;vkm」
「dklv;sd:m;あv:あm」
「hっはsvhvcvjbc」
ピンクのドレス姿の私を見て、二人とも噴出しそうな顔をしてる。
ええ、それが正しい態度ですよ。
笑いなさい。大いに笑いなさいよ。
しかし、猫耳イケメンは顔を持ち直し、コホンと咳払いをする。
「vlksん;fbm:、あ。mlmdl、sぁh;lしj;んkdsl:kjくいgfhjljnvjkdlj、hhdっじゃl:jどkkd;kpd、bヴhふぉあかぽんfdywん;;」
「hシhkjs;;j」
なんだろう。少しなんとなく言ってる意味が伝わってくる?暫く・・・私を預かって?うーん、まがん?がまん?の人が私を診る?みるってなんだ?王・・・様にも確認をとってる?王様がいるの?ほーぉおおおお~王政なの?この世界?
言葉の意味を理解しようとしていたら、眉間に皴が寄り、そこをセクハラうさ耳にちょんちょんと指でつっかれる。
「うんvjshfljlksじぇ」
「ちょっと、邪魔しないんで欲しいんですけど・・・」
だから、微笑んだって私には無駄ですから!
セクハラうさ耳は私を椅子に座らせ、自身も横に座る。
すると細身で長身のロマンスグレーなおじさまが私の目の前に皿を置く。
そう、あの紫の固形物を・・・・・・
ち・・・チェンジ!!