5.オスかな?メスかな?
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黒曜石のようなつぶらな瞳、白くって柔らかそうな頬、短い手足に、丸いフォルムは見たことがないモノだった。
落としモノ?捨てられたモノ?竜人?妖精族?魔族?魔物?かわからないが、突如キラキラして現れた。
僕のいる国は竜人が治めている。というか世界は竜人達によって支配されている。
なぜならこの世界は魔力持ちが力を持ち、竜人は他の種族の中でも飛びぬけて魔力がある種なのだ。
王族も貴族も竜人達がほとんどを占め、獣人たちはそれに従っている形だ。
稀に竜人並みの魔力を持つものが獣人にも現れる。
この僕もそうだし、あの二人もそうだ。
通常高い魔力を持つ獣人は、竜人の貴族の養子になったり、嫁または婿に入ったりする。
しかし僕たちは、まだ魔力量が定まっていない幼少の頃に出会った竜人のおかげで、婿や養子にならずに貴族的な地位についた。まぁこの話は語ると長くなるので割愛するが。
色々と規制がある貴族社会が好きになれず、貴族の務めは最小限にしている。領地運営は優秀な部下のおかげで順調だが、夜会やお茶会などは煩わしくほとんど避けている状態だ。
しかし、堅苦しい貴族社会の中でも羨ましと思ったのはペットを飼うことだった。魔物は食べものとして狩られて消化されるが、稀に大人しく知能の高い魔物がペットとして貴族に飼われる。本当に稀なので高値で取引され市場には出回らないのだ。
新種改良して作るのも莫大な時間と費用が掛かるので貴族の酔狂とされている。
鳴き声が魔物そのもので、どう見てもその酔狂の完成品が目の前にいるようだ。
どうしよう・・・興奮する!
雌かな雄かな
どっちでもいいや可愛いから、あんな可愛いオーク見たことないし。
オークとは魔物の一種だ。
肌は浅黒く丸々と太っていて粗野で知能が低い凶暴な魔物だ。集団で行動するのでなかなか狩るのは骨が折れるのだが、苦労する割に魔力含量も少ないので人気がないのだ。
フレイムドラゴンを運びやすくするために血抜きの魔法と先ほどのオークちゃんと同じように軽くなる魔法をかけて僕は愛しのペットちゃんが待つ馬車へと向かった。
荷台に乗ると先ほど着ていた服を脱いで、ブラウスとスカート姿のオークちゃんがいた。
オークちゃんじゃアレか・・・名前も考えなきゃな~女の子ならオリビア、男の子ならオリバーにしようかな?
雄か雌か確認しなきゃな~
オークちゃんの頭をナデナデ
いやこの子、髪の毛艶々で手入れされているよ~やっぱ高貴族のペットなのかな?
柔らかそうなほっぺも触ってみる。
柔らかい~初めて触る感触!楽しい!!
そしてそれ以上に柔らかそうなお腹!!
何これ何これタプタプして楽しいいいい~♪
「ぶひひっひっぶひひひひひっ!!」
「うんうん、君の名前は今日からぷにぷにちゃんだよ~よろしくね♪」
「おいレイ名前なんかつけて情が移ったらどうするんだ」
「なんか嫌がってるみたいだぞ?」
「え?そう?喜んでいるんじゃないの?いいのいいの、ぷにぷにちゃんのパパは今日から僕だからね。いっぱい可愛がってあげるね~」
「だめだ・・・コイツ人の話聞きやしない」
いやわかってるよアル。だけど目の前のぷにぷにちゃんが可愛くって止まらない。
「まぁ昔から変わってる奴だとは思っていたが」
「コレを可愛いと言っているレイの美意識が俺にはわからん」
「エリックにはぷにぷにちゃんの可愛さがわからないの?アルはわかるよね」
「その丸いのがどこがいいんだ?」
「悪いけどレイの可愛いの基準がわからないよ」
残念な子を見るような目で見ないでくれる?この子の良さがわかるのは僕だけでもいいさ
さてぷにぷにを堪能したから雌か雄か調べなきゃね
胸を触るがそういえば、オークは雌も雄も豊かな胸を持っているのを思い出し、やはり下が付いてるか付いてないか確認する。
スカートを捲り上げてみるといきなりぷにぷにちゃんが騒ぎ出した。
「ひぎっぶぎっふぎぃいいいい!!」
ぱあんという音と共に頬に熱が溜まる。
叩かれた?
叩いたぷにぷにちゃんは涙目で顔を真っ赤にさせながらこちらを睨んでる。
「ぷぎっひぎっぎぎぎぎっ!!」
「あはははははは、おーいっちょ前に抗議してるぞ~」
「えええっ、雄か雌か知りたかっただけなのに・・・・・・」
「くくくっ、この様子だと雌じゃねーのか?真っ赤になって怒ってるぞ」
「え?もしかして僕嫌われた?嫌われちゃったの?」
「そうかもな。あははははははっ」
先ほどから大笑いしてるエリックを睨むが、彼はそれを気にせずフレイムドラゴンを荷台に載せる。
「これで最後だな。じゃあ俺が運転するから」
アルが御者席へと向かうのを見て、エリックが荷台に乗ってきた。
エリックがぷにぷにちゃんの向かいに座るので、僕はぷにぷにちゃんの横に座ろうとするが
「ぶひっぶぶぎっひぃいい、ぶっぎっひっ!!」
ぷにぷにちゃんの可愛い顔が怖い・・・・・・怒っている・・・・・・どうしたら機嫌治るかな?
仕方なくエリックの横に座る。
馬車が動き出し、しばらくすると
「ぐっうううううううう」
聞いたことがないような音が響いた。エリックと顔を見合わせる。
「ぐるぐるぐぐぐっつうううっ」
また聞こえた。目の前のぷにぷにちゃんの顔がみるみる赤くなる。
「もしかしてぷにぷにちゃんから?」
「音の元はコイツみたいだな?それよりもレイなんだ?ぷにぷにちゃんって・・・・」
「え?この子の名前だよぉ~ないと不便でしょう」
「ぶひぃいいいばっひっぶひひっぶひっ、ぶひひっぶひっ」
「ほら~ぷにぷにちゃんもこの名前気に入ってるみたいだよ~喜んで頷いているよ」
「そうか~?」
そうは見えないとエリックはブツブツ言っているが、いい名前を付けられて喜んでいるんだよね~
機嫌が直ってよかった~
僕はそう思いながら微笑んだ。