4.珍妙な拾いモノ
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色々励みになります。
『訳のわからん拾い物をしてしまったようだ』
変な拾い物をえらく気に入ったレイは拾い物の周りをウロチョロしてる。
我関せずのエリックは仕事上がりの一杯を飲んでる。
とりあえず当分は屋敷で面倒見るしかないかと本日2回目のため息を吐いた。
俺の名前はアルフォンス・フェーレス 通称アルと呼ばれているネコ科の獣人だ。
白銀の男はレイヴット・クニークルス ウサギ科の獣人で俺たち三人の中一番の魔力持ちで魔法使いでもある。
黒髪の男はエリック・ルプス イヌ科・狼の獣人で剣の達人だ。また力持ちでもある。
居酒屋の竜人のオヤジに頼まれてフレイムドラゴンを狩りに行ったときに対象物の前にいたコレ。
いや正しくはいきなり目の前に現れただ。
追い詰めたフレイムドラゴンの前にキラキラと光りながら現れたコレは見たことがないような装いで呆然とフレイムドラゴンを見上げていた。
気が立ったフレイムドラゴンは目の前のコレを排除しようと口を開けた瞬間危ないと思い魔法で強化した剣で一刀両断した。
「なぜこんなところにいる?お前は何者だ?」
「ぶひっ」
「見た感じ獣人でもないな・・・竜人でも妖精族でも魔族でもない・・・・・・」
「ぶひっひっぶひひぃいい」
帰ってきた言葉は魔物の鳴き声だった。
「ねぇねぇいきなり目の前に現れたコレなんだろうね~」
珍妙な生き物を怖からず頭を撫でだすレイ。いやお前少しは警戒しろよ。
「ああ、フレイムドラゴンの血を浴びて青くなったね~今魔法でキレイキレイしてあげるね」
パチッと指を鳴らして魔法をかけると青い血は綺麗に無くなった。
「ぶひぃいぶひぶひぶひひ」
お礼を言っているようだが、何を言っているのか皆目見当がつかない。
「ねぇコレなんだと思う?」
「うーん見た目は竜人に近いが、どちらかというと体形はオークみたいじゃないか?」
「でもオークよりも肌の色は白いし、知能はあるみたいだよ」
「ある貴族が戯れで新種改良したオークかもしれない」
「あ、それあるかも 洋服も着てるし必要以上に騒がないし躾が行き届いてそうだけど」
「なんだ?これ貴族の愛玩動物なのか?」
「エリックか、その可能性は高いと思う・・・しかし目の前に現れたとなると移転魔法が使えるような高貴族というか王族しか考えられないが」
「ねぇねぇ~こんな面白い生き物、もし持ち主がわからなかったら僕が飼ってもいいかな?」
「正気か?レイ」
「だってエリックこんなに丸々としてて可愛いんだよぉ~」
「とりあえず依頼は済んだし、コレも連れて帰ってオヤジさんに相談してみよう。悪いがエリック馬車まで運んでくれないか?」
可愛いか?コレが?コレを指さしながらエリックが言う。しゃーないなと頭を掻きながらアレに近づいて抱き上げた瞬間
「ひっ、ぎゃあああああああああああああ~」
いきなり暴れだした。
やっぱり新種改良したオークなのかもしれない。
抱き上げたエリックがアレを下ろした。
「すっげー重い・・・フレイムドラゴンの首より重いぞコイツ・・・レイ軽くなる魔法をかけろよ」
「えっ本当?じゃあ魔法をかけるね」
レイがパチッと指を鳴らすと、アレの周りに風が軽く舞った。エリックは魔法がかかったのを確かめるとアレを抱き上げて馬車に向かった。
「軽くなったけどぷにぷにして運びずらい」
「えっ?!ぷにぷに?ってどんな感触なの」
「ぷにぷにというよりぷよぷよって感じかな?」
「わー僕も抱っこしてみたい!!」
「そんなに気になるんならコレの世話役はレイでいいだろう?アル」
「そうだな。レイ頼めるか?」
「うん、いいよいいよ嬉しいな~ペット飼うのが夢だったんだよね~」
馬車の荷台にコレを乗せる。とりあえずレイにまかせて俺たち二人はフレイムドラゴンの処理を始めた。