22.ゲスの極み?
前回といい今回といい更新が遅くなってすみません
ブックマーク&評価ありがとうございます。
「これは・・・いったいどういう事なのかな?」
うわぁああああああ~
怖い怖いよアルの顔が!!
整いすぎた美形の怒った顔って迫力ありすぎる!
エリックを撫でていた手を止めて、さっと手を後ろに隠す。
アルの怒った顔を見ているとなぜかいけない事をしたみたいになる。
ただエリック犬をもふもふしてただけなのに・・・・・・
怒った顔をしているが、目が悲しげなのはなぜだろうか?
そう思って見上げていると、アルは私の頭を軽く撫ぜて
「ぷにぷに・・・お前に怒ったわけじゃない・・・エリック!!」
その声に反応して仰向けになっていたエリック犬は起き上がった。
「くぅうう~ん」
「とりあえずなぜお前が獣化したか・・・説明をしてもらおうか?」
「わふっ・・・」
項垂れるエリック犬
アルは私を抱き上げ部屋を出る。
向かった先は食堂室の隣にある応接室だった。
三人掛けのソファに私を座らせ、アル自身も隣に座る。
エリック犬はローテーブルを挟んで待てのポーズをとった。
「ぷにぷにのドレスも今朝と違うようだし・・・何があった?」
「わん・・・」
「いいから人型に戻れ」
アルがそういうとエリック犬の体がみるみる大きくなって黒かった肌が肌色に変わっていく。
待って待って~今戻るとまた危険領域が丸見えじゃない!
「きゃっ」
思わず手で目を塞ぐ。
アルは従者にエリックの服を持ってくるようにと頼み、自身が着ていたベストを脱ぎ股間を隠せと促す。
よかった~
しかし・・・凄い体だな~
鍛え抜かれた躰。腹筋はバッキバッキに割れている。すごい生シックスパック!!
ベストで隠れてる危険領域をなるべく見ないようにして観察してみる。
きっとこれからの人生、ここまで体を鍛えた男性の筋肉美を生で見る(堪能する)事なんてないから・・・・って私は痴女か!!
いやいや痴女じゃなくこれは・・・そう・・・あれよ!あれ
芸術の鑑賞よ!!
疾しい目で見てる訳じゃないのよ!
それにしてもよく見たら体中に大小中と様々な傷跡が・・・
頬の傷もそうだけど、剣でできた傷なのかな?
エリックがいくつだかわからないけど、私よりは年下のはず・・・
若いのになんか色々な修羅場を潜り抜けたのだろうか?
「さて・・・話してもらおうか?」
冷たい声のアルの声が応接室に響く。
その声に反応してビクッとなるエリック。
豪華な応接室
そこに佇む全裸のエリック。
・・・・・・シュールだ・・・・・
だめだ・・・我慢我慢よ・・・今・・・アルとエリックが一触即発状態なのに・・・でもでも・・・だめだ・・・ウケる!!
「ぶっ・・・ぶひっひひひひひっ、がっひっははっぶひぶひぶひ・・・・」
私が突然笑い出したので、アルとエリックはびっくりして見てる。
「がはっぶひひひっ、ぶふひぃいいいいぶひひひっぶひぶひっ~」
「なんだ?これ・・・笑っているのか?」
「そうみたいだな・・・何がおかしいのかわからないが・・・涙がでるぐらいおかしいらしい・・・いや・・・今のエリックの姿が面白くって笑っているのかもな」
「なっ!!」
「俺も怒りで見えなかったが、改めて見ると・・・くっくくくっ・・・あっははははははっははっ・・・」
「なんだよ!アルまで笑うことないだろう」
私達二人が大笑いしている間に従者がエリックの着替えを持ってきた。
腑に落ちない顔で着替えるエリックを見てたら、アルが私の頭を優しく撫でた。
そしてエリックに聞こえるか聞こえないような声で
「ありがとう・・・ぷにぷにがあそこで笑ってくれたおかげで冷静になれたよ・・・怒りに任せてエリックを怒るところだった。」
先ほどの冷たい声と違い、いつものアルの声に戻っていた。
なにが彼をここまで怒らせたのかはわからないが、まだ瞳は悲しい色を映していた。
エリックが着替えて落ち着いたところで、アルの説教タイムが始まった。
「さてと・・・なぜ獣化したのかな?」
「・・・いやさ・・・ぷにぷにが・・・泣いて泣き止まなかったから・・・」
「なぜ?ぷにぷには泣いた。」
「お風呂に入れて・・・着替えさせたら・・・泣いた」
「なぜ?お風呂に入れて着替えさせた」
「ど・・泥をかぶったから・・・」
「なぜ?泥をかぶった」
「それは・・・あーーーーーっもう俺が悪かったよ。魔法を暴走させて土人形がぷにぷにに襲い掛かろうとしたところで、魔法を解除して土人形が泥に変わったんです」
「エリック・・・おまえあれほど魔法を同時に多用するなと言っただろう」
アルが呆れたように言う。
「すみません・・・反省してます・・・いや・・・今日こそは出来ると思ってついやってしまったというか・・・なんというか・・・はい、俺が悪かったです。」
アルが一睨みするとエリックはその場で土下座のような格好で謝る。
この世界・・・土下座が通じるのか?そっちの方がびっくりだわ。
「俺に謝ってどうする・・・魔法を暴走させて怖い思いをさせたぷにぷにに謝るべきだろう」
おおおおお~アル兄さんいいこと言った!!
そうよそうよ
エリックは私に誠心誠意謝罪をしなきゃいけないんじゃない
「いや・・・謝っても泣き止まなかったし・・・」
「だからと言って、安易に獣化してどうする!俺達小動物系の獣人は獣化すれば弱くなるんだ・・・獣化する時は身も心も預けていい相手だけにしろと教えたよな?」
「・・・・・・・」
「その様子だと聞いてなかったか忘れてたか・・・」
「はい・・・」
「だいたいお前は、人の話はちゃんと聞かないし・・・エルツベルガ子爵夫人とかベールケ男爵夫人とかプロイ夫人とかロイヒリン伯爵夫人とか・・・なぜ人妻ばかりに手を出すのか・・・」
「話が変わった・・・」
「これも話そうと思っていたところだ、お前も22歳だ。どこかのご令嬢と婚約してもおかしくはない年だ。」
「結婚は考えてないし・・・レイやアルだって婚約してない・・・」
エリックは面白くない顔をして言う。
それにしてもエリックは22歳か若いね。
この世界は結婚は早いのかな?
婚約ってアルもセクハラうさ耳も婚約してないというけど若いのだろうか?
「はぁ~婚約の事はいいとして・・・人妻と火遊びするのはやめろ」
「えーっ、だって向こうから誘ってくるのに、断るのは失礼じゃないか」
「昔みたいに一妻多夫制の時代じゃないんだ。彼女達はパートナーがいる。節度のある付き合いをしてくれ。」
「でもな~俺の好みは年上の女性だし、年上はだいたい結婚してるし年下は趣味じゃないんだよな~だから彼女たちが望んで俺は答えてるだけだからアルもそんなに目くじらを立てるなよ」
なんとこのエリック不倫野郎だった!!ゲスよゲス
ゲス野郎がここにいますわ・・・
「彼女たちも主人に構ってもらえなくって寂しいんだよ。だから俺は主人の代わりに慰めてるだけだから家庭を壊す気は更々ない」
アルは呆れた顔をして
「エリックといい・・・レイといい・・・困ったものだ」
深い深いため息を吐いた。
アル兄さん心中お察しします・・・・・・・




