表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
19/23

19.ひよこは本来可愛い生き物です

無情にも馬車は離れていく。


諦めてこのワイルド系イケメンのエリックの腕の中で私は大人しくすることにした。


なぜこんなに意思の疎通ができないのだろうか?

私の発音が悪いのかな?うーんどうなんだろう・・・

もう一回トライしてみるか?!


ふと周りを見ると、屋敷の中ではなく外にいるみたいで・・・私をどこかへ連れ出そうとしてるみたい?


「あの~すみません」

「お?なんだどうした?」

「あのですね、私一人で歩けますので降ろしてもらえませんか」


指で自分を指してそれから地面に向ける。


ジェスチャーを混ぜれば発音が悪くても通じるはず・・・


するとエリックは分かったのか私を腕から降ろす。


やったー!やったぜ!!やっぱり発音が悪くって聞き取れないんだな。

嬉しくって笑顔になる。


「面白いモノ見せてやるからついてこい」


なんと面白いものを見せてくれるって~なんだろう楽しみ~


しかし・・・このドレス・・・裾は長いし重たいし・・・歩きづらい!!

これなら抱っこしてもらえばよかったか?

いやいや駄目でしょう。子供じゃあるまいし・・・


でもあのセクハラ変態うさぎに体重が軽くなる魔法を掛けてもらっているんだから遠慮なく抱っこしてもらってもいい・・・いやいや駄目でしょう。


29歳のいい大人!駄目抱っこ絶対!!


しかし、舗装されてない道で着慣れないドレスと履きなれない靴は思った以上にしんどい。

エリックとかなり離れてしまった。


くそー足が短いせいじゃないぞ!ドレスのせい、靴のせい、舗装されてない道せいだから!!


エリックは私がついてきてないのがわかったみたいで、その場で待ってくれてる。

ぶっきらぼうな感じだけど意外と紳士的?と思って歩いてたら石があるのがわからず足に引っ掛かって転んだ。


「うわっ」


痛い~それに恥ずかしい~


「大丈夫か?」


すぐ傍に来て私を抱き起すと、ドレスに付いた土埃を掃ってくれる。


「無理するな」


いやホントそうですね。人間無理は禁物。肝に銘じておきます。


私は黙ってエリックに抱き上げられた。



暫く歩いていくと大きな鳴き声が聞こえる。


「くええええええっ~くえくえくえ~くええええええええっ~」


なになに?聞いたことがないような鳴き声なんですけど・・・


「大丈夫だ。コカトリスは魔物の中でも大人しいし、同じ仲間だろう?」

「え、コカトリスって何?それに仲間って」


訳の分からないことを言われ顔を横に振る。


仲間って異世界からきた生き物がいるのだろうか?でもコカトリスって聞いたことないし・・・こんな鳴き声の生き物知らないし・・・


「俺がいるから安心しろ」


鳴き声はだんだんと近く大きく鳴っていく。


「くえくえ~くくえええええっ~くわっくえ~」

「くええええっ~くえええええっ~」

「ぐわっくえくえっ~」


ドスドスと裏庭の敷地を走り回るコカトリスという生き物・・・っーかなにこれ!パッとした姿はニワトリに似てるけど・・・赤・緑・青・黄色とカラフルな色合い・・・尾っぽが蛇のような鱗で・・・そしてでかい!


2m近くある体は私の知ってる鳥類を遥かに超えてる。

もうねと恐竜!恐竜といってもおかしくない!!


ドスドスと走る様は、リアルジェ〇シックパーク・・・怖い・・・


思わずエリックのシャツを握ってしまう。


「大丈夫だ。こいつらお前を喰ったりしないから。」


いやいや食べられなくっても、その巨体で踏まれたら無事じゃすまないでしょ?


「コカトリスは大ミミズ(ワーム)が主食だから心配するな」


そうエリックは言い、指をさす。その先をみると大ミミズ(ワーム)を咥えたコカトリス・・・大ミミズ(ワーム)が見るも悲惨な姿になっている。


フレイムドラゴンの血は青かったのに、大ミミズ(ワーム)の血はなんで赤いんだよーーーーーそしてデカくって長くって気持ち悪い動きしてるし、ミミズというから赤褐色かピンク色を想像するけど、このミミズ・・・紫色なんです・・・紫色の体に赤い血・・・コカトリスの口元がグロい・・・


「いやぁああああ~!!グロいグロいスプラッタ」


両手で自分の目を覆い残酷な場面をなんとかみないようにする。


「わかった。わかった怖がるな。今かわいいモノみせてやるから」

「かわいいモノ?」

「ああ、可愛いぞ」


エリックはそう言うと建物の中に入っていった。


「ぴよぉぴよぴよ」

「ぴよぴよ」


建物の真ん中には黄色い物体が・・・ひよこみたいな感じだけど・・・これもデカい!!私よりもデカいんじゃないだろうか・・・


「どうだ、可愛いだろう」


いやー可愛いと言われれば・・・可愛いのかな?

エリックは私を腕から降ろす。


「ぴよぉぴよぉ」

「ほら親鳥と違って可愛いだろう?」


うーーん先ほどのコカトリスよりは可愛いけどさ、私の知っているひよこに比べたら可愛く・・・ないわな・・・手のひらに載せられないひよこなんて可愛くない。


エリックを見る。


エリックはひよこと私を交互に見つめて・・・そして大いに吹き出した。


「ぷぷぷ・・・・・ぷっ・・・」

「ちょっと!!」

「あっははははははははっ。あはははははっあははは」

「笑うことないじゃないの!好きで黄色いドレス着てるわけじゃない」

「ひゃっははっははははっ~あっはははははははっ」


コイツはほんと・・・大人の女性をなんだと思っているのよ!!少しは自重しなさいよ!自重!!

私が怒っているのにも関わらず、大笑いしてる。


「ぴぎぃいいっ」


気が付けば、ひよこたちに囲まれてる。黄色い集団怖い。

いきなりくちばしで頭やら肩をつっかれる。


「痛い痛いやめて」


「わ、こらお前らやめろ」


エリックに抱き上げられ、ひよこの集団から救い出される。


いや怖かった・・・マジ怖かった。


元の世界ならこんな怖い思いしなくってすんだのに・・・そう思うと涙がでそうになる。

そんな私の心情を察してくれたのか、エリックは優しく背中をさすりながら建物からでた。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ