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16.ファッションリーダー登場!

カランカランとドアにつけた鐘がなる。


「いらっしゃいませ」


逆光で顔は見えないが、燃えるような赤毛と猫耳、スラリした躰、長い手足と長い尻尾。

最近お得意様になったレイヴット様のご友人アルフォンス様が立っていました。


ここ『羊の丘』は女性向けのドレスメーカー


男性のアルフォンス様がくるような所ではないのですが、もしかしてレイヴット様みたいに女性にドレスの贈り物でもするのでしょうか?


「店主はいるか?」

「はい、私ですが」

「少し相談にのってほしい」


そう言われ、私はアルフォンス様を店の奥にある応接室に案内した。



ふぅ~

あらやだ、おほほほほっ いい男が来たからちょっと緊張したわぁ~


ワタクシの名前はコリン 

貴族ではないからただのコリンよ。


この『羊の丘』のオーナー兼デザイナーなの。


ワタクシがこの仕事に就いたのは、生活環境によってといっても過言ではないわね。

なんせワタクシ兄弟が姉と妹ばかりで男なのはワタクシだけ。

女がなかなか生まれないこの世界で珍しいでしょ?


だからワタクシの周りはフリルやレースとリボンで囲まれた生活だったわ~

姉たちはワタクシをいつも着飾らせて遊んでいたし、妹たちの世話はワタクシの仕事だったし、そうなれば自然と女性が何を求めているかわかるようになったのよ。


ちなみに母親は8人の夫を持っていたわね~


今じゃ一妻多夫制は廃止されたけどね


面白いことに女の子は母親と同じ属性で生まれてくる確率が高いし、男の子は父親の属性で生まれてくる確率が高いのよ~不思議ね~


ワタクシはたまたま母も父も羊の獣人だったけど、姉や妹の父は山羊とか馬とかキツネ、タヌキ、鷹、ネズミや熊だったわね~


熊と言えば横にいる大男、ワタクシのパートナーのジョン。


彼は見た目と違い手先が器用で、その手から作られるレースなんて絶品よ!


あ、パートナーといってもビジネスパートナーね。そちらのパートナーではないわよぉ~

姉と妹たちの影響でこんな言葉遣いだけど、恋愛対象は女性よ~うふっ


ジョンと一緒に応接室に向かう。


長い足を組んでソファに座っていたアルフォンス様。

カッコいい~いい男ねホント。


「お待たせいたしました。」

「いや先ぶれもださずに、訪れた俺が悪い。気にしないでくれ」


いい男は気を使ってくれるのね~これが他の貴族なら「待たせ過ぎだ」とか言って怒るのが多いのに・・・素敵ぃ~


「じつは、これを見てほしい」


アルフォンス様は後ろにいる従者を呼んわ。従者は布に包んだものを持っているみたい。

それをローテーブルに置いて広げる。

中からは見たことがないような服?が入っていたわ。


「手に取ってよろしいですか?」

「ああ、よく見てほしい」


手に取ってみる。

シンプルなブラウス。飾り気のないスカート。厚手のガウンみたいなもの。黒い靴下?でもこれ腰まであるわね?

これだったら靴下止めいらないわね~便利だわ。

それに・・・この小さな布?と胸につけるもの。

初めてみた形だわ~


「これは・・・」

「北の国とか南方とかで流行ってるものではないのか?」


北の国は妖精族が治める国、南方は獅子の獣人が治める国であまりこの国と交流がないのだけれど、ワタクシは布地などの取引のために個人的に交流があるの。


「初めてみますね」

「そうか・・・いやそれだけ聞きたかった。ありがとう」

「いえ、それはいいんですが出どころを聞いても?」

「レイヴットのところにいた・・・」

「あのお嬢様ですね」

「ああ」


レイヴット様からのご注文はホント青天の霹靂だったわ~


でも屋敷を訪れて、あのお嬢様をみて驚愕したわ。

丸々とした体・・・初めて見た・・・

この国の女性はみんな均整がとれたスタイルのいい方ばかりで、あそこまで太っている女性は見たことがないわ~


だから型紙パターンを起こすのは大変だったわ~

まぁあれだけ大量に注文して頂けたから苦労も半減したけどね。


「レイヴットに聞いたら、その変わった形がコルセットの代わりみたいに胸についてて、その布のほうはズロースみたいな役目をしてたと」

「なるほど・・・」


ジョンも興味津々でコルセット代わりだという胸当てを手に取って眺めてる。


「聞きたかったことが聞けてよかったよ。それでは・・・」

「あ、お待ちくださいアルフォンス様」

「ん?」

「この服や下着類、こちらで預からせて頂けないでしょうか?」

「それはまた・・・どうして?」

「デザイナーとして興味と好奇心ですね」


横にいるジョンも頷いてる。


「探究が終わりましたらお返しいたしますので」

「こちらで使うことはないだろうし・・・わかった。好きなようにしてくれ」

「ありがとうございます」


アルフォンス様を見送り、早速先ほどの胸当てとズロースの代用だといわれた布をジョンと観察する。


「これは・・・大革命が起きそうよ」


ワタクシがそう言うとジョンも頷く。

日頃、姉や妹たちからコルセットの窮屈さと装着の不満を聞いていたワタクシ。

これなら装着も楽そうだし、体の締め付けも少ないから動きも楽になるはず。

脱がせやすそうだから男性にも受けそうね~


いやだ、また流行作っちゃう?令嬢たちにモテモテ?うふふふふっ~


それにしてもレイヴット様といい、アルフォンス様は綺麗でいい男ね~


ときめいちゃったわ~ワタクシ うふっ




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