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12.家令はひとり考える

どすどすと走る音が屋敷内に響く。


「ぶひぃいいいいいいいい~」

「待て待て~あははははは~待て待て~あはははははは~」

「ぶひひひっ~ぶひっひぃいいいいい~」


夕食も終わり就寝までの間、個々で静かに自由に過ごすのがこの屋敷のご主人様たちの日常でしたが、お嬢様?によってここ最近変わられております。


「さぁ、一緒にお風呂入ろうね。キレイキレイにしてあげるからね~」

「ぶぎゃあああああああ~」


このやり取り・・・何度目でしょうか?


お嬢様?がこの屋敷に来られて今日で3日目


最初レイヴット様に横抱きにされて現れたときは「花嫁ですか?!」と驚きと嬉しさがこみ上げてきましたが、レイヴット様に「ペット」発言されて驚愕してつい変な声をあげてしまったものです。


情けない。


クニークルス家の家令としてあるまじき行為でした。


アルフォンス様の説明がなければ取り乱すところでした。


執務室に呼ばれアルフォンス様からお嬢様?を保護した経緯をお聞きしました。


信じられないことにフレイムドラゴンの目の前にキラキラしながら突如として現れたお嬢様は獣人でもないし妖精族、魔族、竜人そして魔物でもないとのことを伺いました。


何者なのでしょうか?


ただアルフォンス様は『魔力のない者』として認識しているそうです。


『魔力なし』とは初めて見ましたし、魔力なしでどうやって生きていけるのか?と考えてしまいます。


魔力が少なくなると人型に保てなくなり獣に変わります。


そして魔力量が尽きると死に至る場合もあるのです。


そのため魔力量の多い魔物の肉や野菜などを食事として定期的に摂取しなくてはならないのです。


この魔力量も自分の体の容量を考えて食べないと体が魔力酔いをし、お腹を壊したり嘔吐したりします。


お嬢様?が『竜のひげ』で泡を噴いて倒れたのもフレイムドラゴンの魔力量の多い肉を摂取したせいでしょう。


なのでアルフォンス様からお嬢様?の食事を魔物の餌を用意してくれと言われた時はお客様に対してその対応はどうかと諫めるところでしたが、その話を聞いて納得したものでした。


魔物の餌は魔力量が含まれませんので・・・・・・


ですがお嬢様?は魔物の餌は苦手らしく、ここ最近はパンとコカトリスの玉子を好んで食べています。

紅茶も好きみたいですね。



「わがまま姫だね。僕を困らせていけない子だ・・・クスクス」

「ぶひひひっ!!ぶひひひひっ、ぶひぶひぶひっ、ぶひひひひひっ、ぶひぃいいい」

「僕に体を委ねて?大丈夫痛くないよぉ~」

「ぶひぃいいいいいいいい・・・・いい・・・・いっ・・・・」


どうやらレイヴット様は魔法でお嬢様?を眠らせたようです。


お屋敷は先ほどの騒ぎが嘘のように静まり返っています。


お嬢様?のお世話はアルフォンス様とエリック様がレイヴット様に一任されたようなので私は静観するしかないのです。


マーサの話によるとお嬢様?は獣人ではないですが、第三形態の竜人と姿かたちが似ているとのこと。


私達獣人は人型から獣に変わるだけですが、竜人は第一形態が龍の姿で滅多な事ではこの姿になりません。

第二形態は二足歩行のトカゲで普段はこのような姿でいることが多いです。

第三形態は獣人と同じく人型になりますが、これも第一形態の龍と同じく我々の前ではこの姿で現れません。


なぜ私がそのような事を知っているかというと、レイヴット様たちに仕える前は竜人に仕えていたからです。


昔、現王の弟殿下に仕えていました。


諸事情があり、殿下が市井に下がるときに彼らの世話をしろと殿下から承りました。


あれから18年

幼かったご主人様たちも立派になりました。


それにしてもレイヴット様のあの笑顔。

今の今まで見たことがありません。


あの人に興味のないレイヴット様が、我が道を行く俺様レイヴット様が、冷徹と言われたレイヴット様が!!


自らお嬢様?に食事を与えられたり、お風呂に入れたり、かいがいしくお世話されてるのです。


アルフォンス様も「まさかあんなに夢中になるとは・・・」と絶句状態です。


ところでお嬢様?はおいくつなのでしょうか?


私は14~15歳ぐらいだと思っていますが、マーサに言わせれば顔つきは幼いが躰は成人した女性なので18~20歳ぐらいではないかと言っています。


成人ならお風呂に入れたり、ベットを共にしたりするのは・・・ちょっと問題が?と思いますが・・・…いや成人してなくっても問題ありか?・・・・・・・


執務室から呼び出しのベルが鳴ります。


思考の森から戻り、身だしなみを整え執務室に向かいます。


そこではアルフォンス様が頭を抱えていました。


「いかがなされましたか?」

「セバスチャンか・・・王と魔眼から伝令がきた。王はぷにぷにに会いたいそうだ・・・」

「王は新しいもの変わったものが好きですからね・・・」

「魔眼は・・・やっぱりな・・・」


アルフォンス様はため息を吐きそういいながら、魔眼様からきた手紙を私に渡す。

そこには


『バーカ、バーカ、誰が行くか!バーカ』


やはりそうきましたか・・・

魔眼様

大嫌いですものね。レイヴット様が!!





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