11.チート能力開花?!
朝の柔らかな光が降り注ぐ広い食堂室
無駄な動きがない洗練された動きの給仕
香り高いお茶を楽しむイケメン三人
そして私の目の前にはコバエが飛んでもおかしくないぐらいの臭気を放った紫色の固形物
今日は昨日と違って、ちゃんとナイフとフォークがセットされてる。
「おさhjkほふぁckっじゃあvひ」
ドレスを着替えさせてくれた女性が、私にお茶を用意してくれた。
恐る恐る口にしてみる。
「!!」
紅茶だ!!それもとっても美味しい~
お水や紅茶はちゃんと飲めるんだ!よかったよかった。とりあえず水分補給はちゃんとできるんだ。
皿とかごを持った男性たちがイケメン三人の目の前に置く。
それにしても・・・男ばっかり・・・それも耳や尻尾付き
唯一の女性と男性陣の中で一番年嵩なロマンスグレーのおじ様は耳や尻尾がないから私と同じ人間なのだろうか?
隣のセクハラうさ耳の朝食をみる。
目玉焼きに何かの肉?に葉野菜っぽいもの。かごには人こぶし大の丸いパンみたいなものが盛っていた。
食べてみたいけど・・・昨日みたいに不味かったら、また気を失ってしまうかも・・・
でも帰るすべがない今、栄養補給がこの紫色の固形物だけだと思うと・・・切ない・・・
昨日の肉がイレギュラーで、こちらは見た目も私のいた世界の朝食と大差ないしちょっとだけ食べてみたいな~と思いながらセクハラうさ耳を見、言ってみる。
「すいませんが、そのパン一口でもいいんで貰えませんか?」
「うb、こrpvsd;jvvmぉ?」
そうそう食べてみたいです。頂きたいです。
セクハラうさ耳は私の言葉がわかるのか?
そうだよねそうだよね~だって私もなんとなく三人の会話の内容がわかるから、向こうもわかるのかも!
これはワンテンポ遅れのチート能力発揮!なのかな?!
できれば初日にその能力を発揮して欲しかったよ。
セクハラうさ耳からパンを受け取る。焼きたてなのか温かく香ばしい香りがする。
一口大に切ったパンを口に入れる。
「!!」
マズイ!!マズイ!!なんだコレ!!香りと味が反比例してるよ!!
見た目がいいのに粘土を噛んでるようで・・・
紅茶でそれを流し込む。
だが、昨日の肉料理から見たらマシだし、紫色の固形物の臭いと違って香りはいいから紅茶か牛乳で流し込めばいけるかも?
まぁ牛乳がこの世界にあればの話ですがね。
その次は玉子
私のいた世界よりも三倍大きな目玉焼き、ガチョウの目玉焼きみたいな感じかな
「この目玉焼きも一口欲しいけど・・・いい?」
セクハラうさ耳にそう言うとニコニコしながら白身を一口大に切り、黄身を絡ませて口元に持ってきた。
もう二度目なので恥じらいも何も感じません。
恥ずかしさよりも食べられるものの確保。生命維持。これ大事。
「?」
味がない・・・おかしい?卵の味がしない。無味ってある?
だけど光明が見えてきた。
このパンと玉子でなんとか凌げそうな気がする。
少しおなかが膨れたので、これからのことを色々と考える。
まず一番なのは、元いた世界に帰ること。
王様とか王族とか言ってたぐらいだから、何かしらの貴重な文献があってそこから手がかりがあるかもしれない!!そう良い方に考えよう!
そして、食事
口に合わないものが多すぎるけど、それはこの世界の事を知らないだけであって、きっとどこかに私の口に合うものがあるのかもしれない!
それから、これからの身の降り方
イケメンに保護されてるけど、この世界に最悪長くいるようなことになれば、お世話になっているのは忍びない。
働くところを見つけて独り立ちできるようにしなければ!!
うんうんとひとり納得して頷いていたら女性が声を掛けてきた。
「おhそhふぉあdvjdじぇvbすjclv」
「djぽあさlんぁv;おjどkmv;vほいd;k:」
セクハラうさ耳が何かを言って私を抱き上げる。
あの量をいつの間にかうさ耳は食べ終えてた。はやっ!!
別室へ連れていかれると、モノクルを付けた神経質そうな羊の角を頭につけた男性と体の大きな熊みたいな男性がソファに座って待っていた。
みたいなじゃなくって熊だわ。リアル熊男だわ。
私達が入ると立ち上がってお辞儀をする。
「ほdhvかkvんsldん;ksv:」
「んvしょいじゃvぁ:kjpヴぁ;k:v」
「jsぢおvほいhsjぼいf;vk」
会話が早すぎて聞き取れない。
どうした私のチート能力?がんばれチート能力。
熊男はメジャーみたいなものを取り出すと私の体を採寸し始めた。
おおおお~もしかしてもしかしてオーダーメイドでございますか?
嬉々として大人しく採寸してもらっていたが、ふと思う。
オーダーメイドということは既製品よりも高いはず?!料金はいくら?というか私この世界のお金持ってないじゃん!払えないじゃん!どうしよう・・・・・・
セクハラうさ耳と女性と羊の男性はデザイン画を見ながら話し込んでる。
もしかしてうさ耳が支払ってくれるの?
買ってもらう理由がない・・・厚意はありがたいけど・・・と言いたいけど、右も左もわからない異世界。
甘えさせていただきます。
でも働いてお返しできることがあればお返ししますので、出世払いということでよろしくお願いします。
こうしてセクハラうさ耳の株価が少し上昇した。
少しだけね。
とおもっていた時期が私にはありました。
「いやぁああああああああ~」
「まいちゃlんcヵんか;c~まいちゃlんcヵんか;c~」
「ひぃいいいい~追ってこないでぇええ~」
私、佐藤 恵29歳は今まで生きてきた人生の中で全力疾走をしたか?というぐらい走っています。
幼稚園の運動会から高校の体育祭だってこれ程真剣に走ったことがないぐらい走っています・・・・・・が
広いお屋敷といえども行き止まりがあるもので
弾む息を整えながら、目の前のセクハラうさ耳からどう逃げようか思案中なのだ。
それにしても、やはり年なのか日頃の運動不足なのかそれともちゃんとした食事をとってないせいか、目の前がクラクラしてきた。
でも駄目よ恵!しっかり自我を持たなきゃ!!
今気を失ったら・・・・・・・・
セクハラうさ耳は私との追いかけっこを楽しんでるみたいで、余裕の笑顔でじりじりと近づいてくる。
「さjかhhふぉあ、いくあhlljはいじゃldj;あね~」
「いやぁああああ~」
朝から言っている意味がなんとなくわかるから、彼から発する言葉が超恐怖で・・・・・・恐怖というか恥ずかしいというか・・・・・・私に何する気じゃあああ~
何が一緒にお風呂に入ろうね~じゃぁあああ~
ありえないから!!
駄目だから!!
夫婦でも恋人でもないのに!!(なったとしても恥ずかしくって死ぬほど無理)
嫁入り前の清らかな乙女に何言っちゃっての?コイツ!
「わがk;おいぽあじゃ、ひおあhんヴぉd:」
いやいや手こずらせていませんよ?
お風呂だって自分一人で入れますから大丈夫です。
お気になさらずといっても何故か相手には通じない。
なぜだ?
するとセクハラうさ耳は指をパチッと鳴らした途端、また私は気を失った。
ちょ・・・魔法・・・ずりぃ・・・