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第六章 ー目醒めし乾坤の血族ー

ロウエナ達がパルナへの道を急いでいる頃。エル・フォレストから北方に位置する氷で覆われた地、[アイシス]で一人の少女が永き眠りから目醒める。彼女の名は[アリア・バーゼラルド](以下[アリア])。600年前に存在した5人の英雄の他に、同等の力を行使する事のできる存在であった[バーゼラルド家]の子孫である。彼女は100年もの間、呪いにより氷漬けにされ封印されてしまっていた。


事の発端は100年前、現在のアイシスがある場所に存在していた古城にて起きた。この古城に、当時猛威を奮い、付近の地域を掌握していた暴君[ナルガ]が拠点を構えていた。ナルガは軍団を形成し、アリア率いる遠征隊と数ヵ月にも渡る死闘を繰り広げた。遠征隊の奮闘によりナルガは倒れたものの、ナルガはアリアに呪いをかけていた。しかしその呪いは当時の技術では到底解くことはできなかった。アリアは遠征隊を故郷へ帰還させ、一人この地に残り、呪いの効果により眠りにつくことを選んだ。遠征隊との別れ際、アリアは遠征隊にこう伝えた。「呪いの効力はせいぜい100年。100年後、必ずこの世界に返り咲く。だからそれまで、私の存在を後世に伝えていって欲しい。」と。こうしてアリアは、100年にも及ぶ永き眠りについたのだった。その後、氷の結晶の中に閉じ込められたアリアを囲うように、周囲の土地は凍土と化していったのだった。やがてそこへ彼女の存在を伝えるべく、人が集まり、町を造った。それがアイシスの正体である。アリアの為に作られた町、と言えば良いだろう。



話を戻して眠りから醒めたアリア。目を開けるとそこに一人の少女が佇んでいた。


少女「やはり伝承の通り……!貴女があのアリア様なのですね……!」

アリア「んん……う、うぅーん。……私は一体……?」


アリアがぼんやりした様子を見せると、少女は少し心配そうな様子で声を掛けた。


少女「アリア様……?大丈夫ですか?」

アリア「あ、う、うん……。ちょっとぼーっとするだけだから……。え、えっと……君は?」


アリアが問い掛けると、少女は思い出したように自分の名を名乗った。


リリー「あ……失礼しました、少し興奮してしまっていて……。私はリリーといいます。アリア様、貴女の存在を伝えるべく集まった一族の者です。」

アリア「うーん……??」


アリアは記憶が飛んでしまっていて混乱しているようだった。


リリー「アリア様……まさか記憶が……?」

アリア「ごめん、ちょっと時間をちょうだい。うーん……。」


アリアは寝起きで回転しない頭を何とか回転させて記憶を辿ってみた。


アリア「えっと……、あ、思い出したわ!私、ナルガに呪いをかけられてここに……!」

リリー「そのご様子だと問題なさそうですね。全て思い出せたでしょうか……?」

アリア「うん、大丈夫よ。ただ……やっぱり力はほぼ無くなってるのね……。」


呪いでずっと眠っていたせいか、アリアの力はほとんど失われてしまっていた。


アリア「なんか寂しいわね……。ま、この程度、直ぐに取り戻せるし問題ないか。」

リリー「ふふっ、アリア様は本当に伝承の通りなんですね。……分かりました、私も細やかではありますがアリア様のサポートをさせて下さい。それと、この町はアリア様の為にあるようなものです。困った事があれば町の者に何なりとお申し付け下さい。……とりあえず、アリア様の為に住居も用意させて頂きました。ご実家と比べたら貧相なものだと思いますがお使い下さい。」

アリア「助かるわ。……とりあえず今日は家に行って休むわ。また後日、詳しい話を聞かせてちょうだい。」

リリー「かしこまりました。ごゆっくりお休みください。」


アリアは目醒めたばかりで疲れている為、家で休息することにした。


アリア「はぁ……。私の居ない間にも随分色々あったのね。賑やかで何よりだわ。それよりも……」


アリアは南方から強力な魔力を感じ取った。


アリア「ふぅん、この時代に魔導剣使いが……って、この感じ……まさか!?」


アリアは感じ取った魔力に英雄しか持たないはずの、特有の特性があることに気付いた。


アリア「魔導剣を使っていた英雄は死んでるはず……何故英雄の[香り]が……?これは追いかけてみるしかないわね。」


アリアは、かの魔力の主を追うべく、数日後には出掛けられるように準備を始めることにした。



──アーシアと対等な力を持つアリア。そしてアーシアそのものの力を持つロウエナ。二人が出会うとき、一体何が起こるのだろうか。

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