ドキッ!?怪人だらけの大運動会⑥
遅くなってごめんなさい;_;12月のめまぐるしい忙しさにやられています。26まで忙しく、26からも忙しい……
なんとか更新はぼちぼちしていきますので皆様も素敵な年末をお送りください。
そしてブクマありがとうございます(^○^)(^○^)!
――昼休憩にて
「このままじゃビリが確定よ。なんとかして追い上げないと……」
委員長の石川さんがおさげをびょんびょん揺らす。丸メガネがズレるのもお構いなしだ。そう、俺たちCクラスは現在かなり劣勢である。昼食休憩の間もスクリーンには午前種目終了時の点数をが映し出されている。
***
Aクラス
109点
Bクラス
91点
Cクラス
40点
技術課
79点
医療課
77点
***
「まさか技術科医療課よりも下とはな……」
笠見が坊主頭をさすりながら言う。技術課医療課はもともと戦闘が専門というわけではない。にもかかわらず魔力球合戦では押し切られてしまった。Cクラスの平均魔力量の低さが改めて分かる。
「体は大丈夫?麦町さん。」
「ん。大分よくなった。」
学園1の大飯食らいの山元さんが救護室から戻ってきたミカンを心配する。以前よりずっとミカンが馴染んでいるのを見ると本当によかったと思う。
「チクショウBクラスの奴ら、順位見て案の定楽しそうに見下してやがるぜ。」
後明くんが睨む先にはBクラスの連中が集まって駄弁っている。中にはこっちを指さしてニヤニヤと嗤ってる者までいる。同じ学園の生徒とは思えないな。
こうしてみると同じ天野学園の2年生でもクラス毎に全然色が違うんだよな。例えばA組は既に昼食を終えてストレッチや軽く走っている人が数名いる。他も音楽を聞いていたり仮眠をとったり、午後の作戦会議といったことをしていて協調性というよりは各々のパフォーマンスを発揮できるように過ごしているのだ。エリートクラスなだけある。
技術課は午前使った器具のメンテナンスに駆り出されていたり、医療課はこの隙間時間にも勉強していたりする。すげぇ……
結局何もしていないのはBとCだけであり、とりあえず午後からどう追い上げていくか考えなくてはならないということで俺らはクラス全員で大きな円状に座って作戦会議中なのだ。
「午後の種目は何だっけか。」
「えと、クラス対抗リレーから始まって順番に○×クイズ、パン食い競争、借り物競争、障がい物競争、最後に"総力戦"だな。」
誰かの問いに金堂が速やかに答える。なんかボロボロになっている金堂だが、俺もここまであまり活躍していないというか足を引っ張っている側なので弄らないでおく。
「クラス対抗リレーは絶対に1位を取りたいな。」
笠見が言う。俺も参加するこの種目では負けるわけにはいかない。魔力による身体強化がないのであれば俺より速い2年生はいない。他のメンバーもかなり短距離に自信のあるようだ。
「○×クイズは……まぁ問題見てみないと分からないよね……」
「……頑張る。」
石川さんの言葉に小さくガッツをつくるミカン、かわいい。ミカンはここで個人種目初参戦だからな、○×クイズは全問正解できた人×5点というある意味稼げる種目だ。ここもできるだけ取っていきたい。
「こう見ると、チームワークが出にくい種目で離されていきそうだね……」
誰かが呟く。リレーはともかく個人種目では能力の低いCクラスは不利だと言いたいのだろう。だが俺は知っている、このクラスは"魔力至上主義"から見た落ちこぼれであり、個々人が劣っている訳では決してないことを。
「逆だな。」
だから俺は言ってやるのだ。集まった視線の中不敵な笑みをつくる。
「午後の競技こそみんなが個性を発揮できる場だ。暴れてやろうぜ。」
「「「「「おお!!」」」」」
みんなには頑張ってもらわなければいけない。勝負は最後の2種目、そのためにもまずはクラス対抗リレーで結果を出す。
――午後
休憩が終了し午後種目の開幕が近づく、午後からは笑いアリ感動アリの種目が目白押し、アナウンスを務める黒崎がそんな適当なことを言ったおかげか第2アリーナの観客席は既に沸騰寸前である。俺をはじめとしたリレーの選手はアリーナに収集されている。俺は第4走、アンカーなのでバトンが落ちないことを願うのみだ。
若干の緊張の中にいると職員が待機しているスペースから金髪の男が歩いてくるのが見えた。もちろんこの学園に金髪の不良教師など1人しかいない。
「米村、どうだ調子は。」
「五十嵐先生。」
C組の担任五十嵐光は紺のジャージ姿でだるそうにしていた。どうでもいいけどこの間の作戦で町外でド派手に暴れた時もジャージ一丁だったらしい。色々常識はずれな人だ。
「今のところ得点は振るわないようだが……」
「面目ないです……」
二人三脚や魔力球合戦の失敗が大きい。五十嵐は気合を入れなおした俺を見ると顎に手を当てて考えた、激励の言葉でも考えているのだろうか、教師らしいこともたまにやってのけるのが人望をキープする秘訣なのだろうか。黒崎もまた然り。
「やべ、何も思いつかない。」
あ、そうですか。
思わずジト目になってしまう俺を見た五十嵐はふと目尻を緩め言った。
「Cクラスは例年"落ちこぼれ"の評価を受けている。魔力至上主義の言い分を肯定するわけじゃないが、ヒーロー目指す以上、やっぱり魔力が必要なことも確かだ。」
「?」
確かにCクラスは魔力量に乏しい者や俺やミカンのような欠点を抱える者が集まっている。
「だけど、今年はお前や麦町がいる。お前らはCクラスにとってプラスになると俺は確信している。」
そう言い残すと再び戻って行ってしまった。
ひょっとして俺は期待されているのだろうか。されているんだろうな。俺とミカンにだけ授業とは別に訓練をつけてくれるような人だ。
仮に魔力が使えなくたって五十嵐は無茶苦茶強い。ステータスの平均が高すぎるのだ。だからこそCクラスのみんなは五十嵐にあこがれているんだ。
俺なら、俺たちなら今までのCクラスとは違った結果を出していけるのだろうか。まずはこのリレーで勝つ。それから――
緊張はすっかりなりを潜め、代わりに期待と高揚感が俺の心臓を支配する。五十嵐先生の言葉とはそういうものなのだ。
『位置について、ヨーイ……――』
銃声とともに1走が飛び出す。一人あたりの走行距離は100m走と同じだが、決定的に違うのはコーナーの存在だ。直線で加速するとコーナーに差し掛かっても体は直進しようとする。すると外側にコースが逸れてタイムロスが生まれてしまう。
それだけではない。トップを走るAクラスが強引に体をインコースにつけようとしたせいでバランスを崩した。転倒はしなかったようだがその隙に別の子が先頭に躍り出た、Cクラスが暫定一位だ。
『いいぞ~!!いけえええええええ!!!!!』
遠くから金堂の声が聞こえる。2走に渡ったバトン、笠見は中学まで陸上で短距離をやっていたらしく経験値がある。単純な脚力で距離をグングン詰めてくるA、Bクラスを相手にもインコースを死守して抜かせなかった。団子状態で3走に勝負はもつれ込む。
『頑張れ!!いけるぞ!!』
Cクラスのみんなの応援が響く、会場中が歓声で揺れている中、彼らの声はよく聞こえてきた。俺も一緒になって前の走者を応援する。
3走の女子はバトンを受け取る際に固まったほかの女子に押されて3位に落ちてしまった。だが必死に食らいつく、ここで後ろから更に医療課、技術課が迫る。女子の速さではAクラスにも勝る勢いだ。
Cクラスの女の子は腕を振って離されまい、抜かれまいと足を前に出す。徐々に近づいてくる彼女の歯を食いしばった顔がはっきりと見えていた。
先に到達した他クラスの3走がアンカーにバトンを渡していく、俺の内側を走者が追い抜いて走り去っていく、やや遅れてCもバトンを差し出す。その時に後ろからついに抜かれてしまった。
「!!?」
女の子は抜かされたショックで驚愕の顔をつくり、それがきっかけで足をもつれさせてしまった。
『ああっ!!!!』
Cクラスのみんなから悲鳴のような声が上がる。女の子は土煙を上げながら俺のそばで転倒してしまった。
「うぅ……」
呻き声をあげる少女。だが大丈夫。
俺の手にはしっかりとバトンが握られている。
彼女は最後まで走りぬいたのだ。
(あとは任せろ……!)
既に他クラスは前を行く。俺も目一杯力を込めて最初の一歩を踏み出した。
『………………………。』
ずっと聞こえていた声があった。
会場を包む熱狂に比べたらか細く小さな声。その声はしかし不思議とよく聞こえる。何度も何度もそれは繰り返し、徐々に大きくなっていく。
直線のコースを一気に駆け抜ける、前を行く走者と距離は詰まったが彼らも必死に走るのだからそう簡単には追いつくまい。
『……、…………』
1つ、学んだことがある。
怪人たちは時折、物理法則を無視した動きをすることがある。慣性を無視したり、強引に運動の向きを変えたり、人間には到底不可能な動き。あれができればコーナーで体を強引にインにくっつけたまま加速することが可能なのではないか。
当然そんなことをすれば関節に負担がかかる上、姿勢を崩して転倒するかもしれない。
だが、俺はこれまで何をしてきたか。度重なる怪人との戦いで
怪人の姿にならない場所で
五十嵐との訓練で
何よりもーー
『セガ、頑張って!』
あの声を守るために、何度も何度も敵に殴られて来た。
俺は全速力でコーナーに差し掛かる。物は速ければ速いほど曲がりにくくなる。
外側に行こうとする体を傾け無理やり曲げる。当然足に負担が掛かる。
だが俺は敵の衝撃や負担を受け流して来た。その要領で足に掛かる負担を逃し、次の足を強引に出す。再び負担が掛かるがそれを別の場所に分散させ強引に移す。
ミカンの声援を受け取った俺の集中は極限まで高まっていき、一歩一歩を全力で踏み出し曲がりながら加速していく。
『ワアアアアアアアアアアアアアアアア!!』
湧き上がる歓声の嵐、俺は遂に前の走者を1人抜き、2人抜き、全員抜いてトップに。そのままかつてないスピードでぶっちぎってゴールテープを体に巻いた。
このクラス対抗リレーが俺がこれまで以上にスピードを得ることができた瞬間であり、Cクラスの快進撃が始まる合図ともなるのであった。
この主人公番外編で成長してる……
ここまで読んでくださってありがとうございます!




