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正義の条件  作者: ありと@
第2章『白い薔薇の少女』
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37.人間領拡大作戦――絶対強者vsリュウゼツラン②

ごめんなさい日付が変わってしまった……。

感想ありがとうございます:;(∩´﹏`∩);:すごいやる気出る。留まるところをしらない。


――大和町外



 広がる廃墟。ほとんどの建造物が自然に侵食されてしまい、崩れた建物には蔓が絡みついたりしている。部分的には土が露出していて、人の手が長い間加わっていなかったことがうかがえる。



 怪人領、100年前に現れた怪人達が本州の大部分を占拠し、大きく数を減らした人間は都市に固まって守りを固めた。大和町もその1つだ。



 そして、大和町周辺の怪人領を縄張りにしているのが植物族。荒野に生えるリュウゼツランの怪人も当然植物ということである。





「どうした人間。」




 その風貌は巨大の一言だ。10メートルにも届こうかという葉が地面から直接広がるように生えている。一本一本が大剣のような鋭い輝きを放つ葉はそれでいて縦横無尽に伸び、蛇腹剣のように唸る。


 リュウゼツランの怪人が体を震わせると、その葉が無茶苦茶に暴れまわって暴風雨と化す。


 キキキキキキキキキキキキキキキキキン――


 その最中にいるヒーロー候補生はそれを何と細い刀一本でいなして見せた。天野学園第五席金堂鏡。その剣技はずば抜けており、固有能力なしでも彼女を強者足らしめている。が




「くっ」



 力をうしなったように片膝をついてしまう鏡。体の動きに合わせて1つにまとめた青髪が揺れる。なんとか倒れないように刀を地面に突き立て踏ん張った。



 リュウゼツランの怪人との戦闘が始まってから既に丸一日以上が経過している。その間鏡は応援が来るのを戦いながら待ち続けていたのだ。一般人に丸一日ダッシュし続けろと言っても無理だろう。いや、並のヒーローにだってそんな芸当はできない。金堂鏡という人物の底力、剣技、魔力量はそれだけ優れているのだ。




 一方リュウゼツランの怪人は退屈そうに時折攻撃を放つのみ。まるで本気になった様子はない。



「まだ来ないか……」



 それどころか鏡を餌にして増援をおびき出すことを目論んでいた。あくまで鏡との戦闘は前座、故に逃がしはしないが殺しもしない。



 鏡は眉間に激しくしわを寄せる。仮にも学園でトップ層を張っている己が退屈しのぎのように扱われるなど。彼女の気高いプライドに引っかき傷がついていく。



 これだけ不利に立たされている最大の要因はやはり、リュウゼツランの固有能力(M・アビリティ)"凡夫であれ"のせいだろう。この能力のせいで、鏡は己の切り札である固有能力を封じられている。




(せめてあの時威力を優先しておけば……)


 小手調べの連携を重視した一撃。それが最大の失敗だった。最大の威力で以て全員で能力をぶつけていれば違った結果になったかもしれない。



 しかし、過ぎたことを後悔しても仕方がない。今は灯と式乃が応援を呼んでくれるのを戦うしかない。己の膝に鞭を打ち、再び構える鏡。



 剣道の動きを基本に置いた戦闘スタイルは斬撃自体の威力を重視しない。試合に置いて大振りで打突することはほぼないからだ。重要なのは鋭さ、威力は固有能力で補っていたのだが、それがない今鎬、足さばき、手首すべてを駆使して鋭く速く相手に斬りこむ。


 完成された構えは重心が既に膝にしっかり乗っており、予備動作としての体の沈み込みを起こさずに足の力を推進力に変えることができる。言い換えれば静止した構えからいきなりトップスピードで飛び出すことができるのだ。



 そしてその推進力に踊らされることもなく、かといって勢いを緩める事なく、迎撃に振るわれる無数の葉を弾いて見せる。自身の正中線から軸となる左手を動かさないことで他方向から迫りくる連続攻撃に後隙を最大まで減らして反応する。




「その剣技をダンデライアンやシュルームに見せてやりたかったな。」




 勿体ないと言わんばかりのリュウゼツラン。剣を使う上位種達は彼女の洗練された動きを見た時どのような反応をするのか。しかし彼女は今リュウゼツランの前に立っている。他の怪人に譲るつもりもないようだった。


 兎に角、リュウゼツランの怪人は残像すら生まれそうな身のこなしで葉をかき分けながら突進してくる鏡を見て尚余裕そうであった。




「食らいなさい!」



 巨大な葉を鞭のように、あるいはギロチンのように振り回す怪人であるが、その精度は鏡から見れば稚拙。

次第に隙が大きくなってくるその葉の一本を身をかがめて躱す。


 そして躱すと全く同時に手首の返しと推進力で葉を斜めに両断した。いわゆる"抜き胴"実戦でこの強烈なカウンターを決める鏡の強さと集中力は圧巻だが、葉の一本を斬ってもすぐに次が押し寄せる。



 戦場に散らばる葉の残骸はこれで30本。2人の戦いのレベルと、無限に生えるリュウゼツランの葉の規格外さがうかがえた。



 葉を切り落とすことが決定打にならないと分かっていた鏡は、振り抜いた刀をすぐに次への攻撃へと移し、隙間の空いた葉の嵐を切り抜ける。



 もちろんかすりでもしたら即終了だ。鏡の蒼い瞳には閃光が迸るほどの集中があった。そしてついに、刃の鞭を切り抜け敵の中心部に辿りつく。無数の葉が生えている地面、キリがない以上、地下を攻撃するしかない。




 剣道に胴より下への攻撃はない、故に地面へ向けて斬撃を繰り出せばその瞬間脳天を相手に晒すことになってしまう。



 ましてや10メートル近いリュウゼツランは上方からの攻撃に最も富んでいるのだから。並の者ならばここで刀に魔力を纏わせて斬撃を飛ばしたり、リーチを伸ばして地面ごと叩き斬ることを選んだだろう。


 それこそ愚かだ。攻撃のチャンスでわざわざ大振りになるなんてカウンターしてくださいと言っているようなものだから。タメや大きな動作が許されるほどリュウゼツランの葉の嵐は甘くない。事実、鏡の接近に合わせるように鏡から見て上空と右方からギロチンのような葉が迫っていた。




 では、金堂鏡は下方の相手に対しどのような攻撃手段を取るのか。




「魔力衝!!!!!」



 鏡が選択したのは剣技でなく魔力での破壊であった。しかも通常は考えられない、足の裏(・・・)に魔力を纏わせた。




 打突の際に必要な踏み込み。鏡はそれすらも攻撃に転化しようというのだ。



 やや前方から先に横薙ぎの葉が訪れる。鏡はそれを手首の返しで打ちおとし、続く正面上方の葉を縦に斬る。


 胴打ち落とし面。実戦向きではない離れた箇所への二段斬りを鏡は難なくこなす。そして、縦切りと同時に魔力に覆われた右足がとてつもない威力で地面を穿つ。




 ドゴンッ!!


 大砲でも放ったのかという音が響き、地面が抉れた。粉砕した地面はリュウゼツランの地下の体に打撃を与える。鏡はそこで止まることなく一気に足さばきで抜ける。




 反撃をもらわないように相手を常に視界にいれるように振り返りながら距離を取った。残心の基本だ。



 これだけの攻撃を数瞬の内にこなす。傍から一般人が見ていたとしても、気づいたら地面が割れて怪人の巨大な葉が舞っているようにしか映らないだろう。




「ッはぁッっはあッ……!!」



 距離を置いた鏡はすべての葉がなくなり、割れた地面から根元だけが飛び出したリュウゼツランを睨みながら激しく息を切らす。人間の限界を超えた無酸素運動が夥しい量の汗を吹きださせた。




 故に鏡は気づかなかった。




 リュウゼツランの方向を向いているはずなのに鏡の背後から迫る(・・・・・・)巨大な鞭に。

 ここまで読んで下さってありがとうございます。

 曲がりなりにも剣道を10年以上たしなんだ身として、頑張って書きました。

 剣道を習得した人が戦うシーンってよくありますけど、全く剣道の動き関係なくて違和感しかないんですよね汗

 剣道関係ない動きで戦うなら"剣道"でなく"剣術"とするか、(※作中の戦闘描写は現代日本の剣道とは異なります)とか付けた方がいいと思います。


 前書きにもありますが、手がかじかんで日付がかわってしまって……申し訳ないです。この話は昨日分の投稿ということでカウントしていただいて、15時頃にも本日分を投稿させていただきます。








 ※作中の戦闘描写は現代日本の剣道とは異なります。

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