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正義の条件  作者: ありと@
第2章『白い薔薇の少女』
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25.大和町調査作戦――月夜に敗れる

2章22話『大和町調査作戦――月夜に逢う』の最後に挿絵を追加いたしました!よろしければそちらも一瞬見てあげてください( ;∀;)

ユニーク計が1000人になりました。うれぴぃ

「そうか……麦町が……」



「信じられねぇな……」




 瀬雅は南区のビル街、建物の外に出て五十嵐と鐸に合流した。


 迷いはしたが、結局先ほどのことを話すことにした。魅甘を助けるために協力を仰ぐことにしたのだ。魅甘が怪人であることはぼかし、戦争で受けた植物族への恨みを晴らすために単身で"死神"として戦い続けていることを伝えると、五十嵐は思案顔になり、鐸は驚愕した。




 瀬雅はそんな2人の様子にひとまずホッとする。魅甘の言っていたことが本当ならば、この2人が魅甘のことを既に忘れてしまっていることすらあり得たからだ。





「で、セガはタッチの差で見失ってしまったと……」


「……ああ。」



 完全に嘘を付いているわけではないが、ツッコミどころがある話。鐸はおかしなところに気づかないのか、気づいていないのか何とか話を飲み込んでくれたようだ。



「わかった。なら麦町を探すのが先決だ。1人で上位種と戦うのは危険すぎる。」



 五十嵐も協力してくれるようだ。もしかすると瀬雅の話から全部察したのかもしれない。



 兎に角、手分けするなり他にも協力者を呼ぶなりして魅甘の捜索に移ろうとした時、五十嵐の連絡用の端末に通信が入った。




「ああ、俺だ。…………なんだと?」




 魔力を介した通信だ。念話も可能だが、五十嵐は驚いたの声を挙げる。何かよくない知らせが入ったようだ。



 瀬雅にとっては何個目のトラブルになるのだろうか。しばらくして、五十嵐が通信を終える。その顔には緊張が走っている、珍しい表情だ。瀬雅と鐸は思わず唾を飲み、五十嵐の言葉を待った。




「いいか、落ち着いて聞いてくれ。作戦は中止だ、国から全員帰還の命令が出た。」







「な!?」

「どういうことですか!?」



 そんな命令がこのタイミングで出てしまっては魅甘の捜索も中断せざるを得ない。事情を知る瀬雅にとっては一刻を争う事態だ。魅甘が能力を使う度に彼女は消えていってしまう。




 いきなり出鼻を挫かれたことに混乱しつつも、必死に頭を回転させる瀬雅。

 そもそも、どうしてそのような命令が出たのかが謎だ、その理由次第ではまた事情が変わってくるかもしれない。



「一体どうして……」



 鐸も同様の疑問を抱いたのか、五十嵐に疑問を投げかける。五十嵐が気まずそうに目を反らす。本当に変だ、三大ヒーローの一角がこんなにも取り乱すなんてよっぽどの事態なのだろう。




 鐸は急かすことなく五十嵐が話してくれるのを待った。瀬雅は早く聞きたかったが、鐸が横で冷静になっているのを見て大きく呼吸をする。



 ネズミの怪人が来た時は逆だった。慌てる鐸を瀬雅が落ち着けた。一か月でたくさんも成長していることに、こんな時なのに感心してしまう。




 やがて、五十嵐は決心したのか説明を始める。しかしその情報は、今度は鐸にとって考え得る限りなく最悪近い情報であった。













「町外で複数の上位種が現れたそうだ。そして……天野学園次席の重鳴灯、第三席の紫芽式乃、………………第五席の金堂鏡。以上3名の……連絡が途絶えた。」











「えっ――――――――」








 鐸の思考が停止する。



 キャパシティを超える情報を受け取った人間は停止する。横で聞いていた瀬雅にもその様子がよく伝わってきた。




 鐸は戦争で両親を失っている。



 つまり、第五席である金堂鏡は鐸にとって誇れる姉であり、たった1人の肉親なのだ。






「どうして、どうしてそれで作戦が中止になるんですか!!早く捜索しないと姉ちゃんが、3人共!」


「不安要素が多すぎる、改めて作戦を立て直す必要があるんだ。分かってくれ金堂……」



 先程までの冷静さは最早ない。家族を失う、それは半身を裂かれるような感覚を与えるだろう。

ましてや幼い頃にトラウマとして刻まれた両親の死もある。鐸の脳内はまともな状態ではないだろう。




「はやくしないと!はやく……………」




 瀬雅は黙って鐸の肩を抱く。瀬雅には鐸の心情が本当の意味では理解してあげられない。彼は戦争以前の記憶を無くしているからだ。




 だから、唇を噛みながらこうすることしかできない。



 国の命令を告げた五十嵐も、握った拳を震わせている。本当は五十嵐もすぐに飛び出したいのかもしれない。




 作戦行動において、個人的な感情で勝手な行動をすれば町全体の危険を招く可能性がある。

上位権限の命令は常に絶対。ヒーローたる者の鉄則である。




 うわごとのように「早く」と繰り返す鐸と共に撤退する3人。そしてヒーロー達。





 大和町調査作戦は"死神"の情報や、ガザミの怪人が住民を襲って謎の薬を服用させようとしていたこと。複数現れた上位種、それも通信を阻害する固有能力の持ち主が居ると思われること等、様々な収穫があった一方で次席、第三席、第五席の失踪という学園の大打撃を受けて幕を閉じることになった。















ここまで読んで下さってありがとうございます!

次話は明日15時になります!(^^♪

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