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第2章『白い薔薇の少女』
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19.索敵と攻撃と帰る場所

遅れてごめんなさい;_;

予約投稿忘れてた…………



――第2アリーナ




「うわあああああああ助けてセガ!!」


「じゃあ俺より先に行くなよ!てかセガじゃねぇ瀬雅だ!!!」



 瀬雅と鐸は四方八方から飛来するレーザーから全力で逃げていた。五十嵐による魔改造された固定法台ドローン、ビルの最上階に到達するとそこには弾幕が待ち構えていたのだ。



「はやくぅぅぅぅぅセー↑ガー↓!!!」

「そのイントネーションはやめろ怒られる!お前こそもっとこう、ボール状になって高速移動しろや!」

「どこのヘッジホックだよ!青いだけじゃねぇか!」



 すっかり短くなってしまった青髪を掻きむしって逃げる鐸、それを追う瀬雅。すぐ後ろにはレーザー。こんな状態でもしっかり軽口を叩ける根性は見上げたものである。ふと前方の物陰が光る、新手のドローンがレーザーを発射しようとしているのだ。



「だーもう!!"ヒーローキィィイイック"!」


 やけくそになった鐸がレーザーが発射される前に駆け込みとび蹴りを放った。直撃した脚は鋼鉄を蹴ってしまったように痺れたが、ドローンはビシっと音を立てて機能を停止した。



「うそ!効いた!?」

「なんでお前が驚いてんだよ!"非常用魔力剣"!」



 瀬雅も懐から筒状の柄を取り出して金色の内臓魔力を展開させる。五十嵐から事前に許可をもらっていた非常用魔力剣だ。輝く魔力の刃を斜めに一閃すると飛んできていたレーザーが霧散して消える。



「はぁああああ!」


 瀬雅が爆発音をあげながら後方のドローンを屠っている間に、鐸はすかさず索敵を展開する。



「!あと五体、その部屋の中だセガ!」

「よし一気に行くぞソニック!」

「うわ言っちゃったよ!!」



 廊下を一気に走り抜け、最後の一部屋になだれこむ。ガザミの怪人を模したドローンは物陰に隠れていることが多いが、2体は薄暗い部屋自体を隠れ蓑にしているのか、わかりやすい位置にいた。




「うおおおおおおおお!」



 瀬雅が全力で接近し一体を蹴っ飛ばす。ずば抜けた身体能力からスピードと体重が乗った一撃はドローンを爆破させた。



 魅甘と組んでいるときのテクニカルな瀬雅とは違い、今はアグレッシブな戦法を取っている。実質1人で攻撃を担っていることもあるが、鐸と組むことでテンションが上がっているのが大きいだろう。心なしか普段より体が軽い。




「これであと3ッ!」


 レーザーを飛びのいて躱し、壁を蹴って三角跳びの要領で突っ込む瀬雅。自らの関節をバネと化し、壁の反動までつけた瀬雅は更に錐もみも加えてフルパワーの一撃をドローンに叩き込んだ。その威力は凄まじく、7階の床に脛のあたりまでめり込ませている。瀬雅を中心にタイルにヒビが広がっていった。



「セガ!後ろッ!てか上も横も!?」



 キラリ――瀬雅の周囲に光が灯る。植木鉢の陰、書類棚の上、机の下からドローンがレーザーを発射しようとしているのだ。瀬雅は咄嗟に回避しようとするが、脚を奇妙な感覚が襲う。



「え……まじ?」




 完全に床に足が刺さっていて抜けない。全身から冷や汗が飛び出してくる、トドメとばかりに持っていた非常用魔力剣の輝きが失われる。ストックされていた分の魔力か切れたのだ。




 これはだめかもしれない――思ったときにはすでに遅く、瀬雅にむかって3本の光線が伸びていった。瀬雅は咄嗟に目をつぶり、爆音が響く。




「あれ、なんともねぇ。」



 薄ら目を開けると鐸がグロッキーな顔で魔力壁を展開していた。お世辞にも強力とはいえない出力だったが、辛くもレーザーの勢いを削ぐことができたようだ。



「でかした金堂!反撃だ!!」

「も……もぅマヂむり……魔力スッカラカン……」

「頑張れ!いや、むしろ俺を引っこ抜いてくれ!」

「それは違う会社のゲームだろーが馬鹿セガ!!」

「どんなツッコミだよアホ金堂!!」



 魔力をつかいきり余裕がなくなった鐸と床に刺さった上、魔力を練ると悪魔に変身してしまうためどうしようもない瀬雅は喧嘩を始めてしまう。生産性のない言い合いが続くが、再びドローン達が光だしたのを見てすぐに切り替えて打開策を考える2人。すると鐸が思い出したように声を挙げた。



「ああっそういや訓練前に俺にも非常用くれたんだった!」

「おお!それだ!やれ金堂!」

「任せろ!"非常用魔力銃"!」



 鐸は腰のホルスターから二丁拳銃を素早く抜き、回転させてから構えると引き金を躊躇なく引いた。瀬雅は「腰につけてるなら忘れんなよ……」と思ったが、銃身から何も出ていない(・・・・・・・)ことに気づく。



 目を凝らすと鐸の持つ二丁拳銃は美しかった。無骨なハンドガンなのにも関わらず、グレーベースの銃身にはところどころ銀の装飾がされていて――


 そこで瀬雅の思考は固まる。



「……金堂くん金堂くん、それ誰にもらったんだい?」

「え?黒崎だけど……」



 瀬雅は気づいたのだ。銃身から何も出ていないのではなく、見えない(・・・・)のでは?


 銃身と同じグレーの魔力ならば薄暗い空間では見えにくい、つまりそれはあの天邪鬼黒崎純子が悪ふざけでつくった武器であるということで――



「伏せろ!!」

「え?」




 次の瞬間、ビルが爆ぜた。



















――――――――――――――――――――――



「大分焦げたなお前ら。」



「「はい。」」

「いや、はいじゃないが。」



 訓練は結局、時間切れによって失敗に終わった。現在は五十嵐による反省会中。謎の拳銃から放たれた謎の攻撃が謎の爆発を起こし、ビルだったものは瓦礫の山になってしまった。2人はそれに巻き込まれ、黒い煙を上げていた。怪我がないのが不思議である。



「まず金堂、テンパりすぎだ。保有戦力の確認を怠ったり、索敵役のお前が先行してしまったら勝てるものも勝てない。」


「はい……」


 返す言葉もない鐸。初めての訓練ということもありかなり冷静さを欠いてしまった。しかし明日は本番なのだ、言い訳はすまい。



「そして瀬雅は屋外と同じ戦い方をしてはだめだな。建物の中は威力より鋭く素早い攻撃だ。」


 そのコントロールを覚えれば屋外だって攻撃を打ち分けられる、と五十嵐。瀬雅は真剣に聞き頷いた。最後の一撃は不必要な威力だった。普通の蹴りでも十分ドローンを止められたのだ。


 それをオーバーキル気味に突っ込んだために、地面より脆かったビルの床に自分の脚を取られてしまった。



「まぁ明日は場合によっては建物の中にはいることもあり得る。参考にしといてくれ。」



 そう締めくくって解散となった。五十嵐は足早に去っていく。


「あれ?この瓦礫誰がかたすの……?」



 瀬雅の呟きは鐸にしか聞こえない。








―――――――――――――――――――





――男子学生寮前



 集会があって授業は早く終わったにも関わらず、瓦礫の片づけのせいですっかり夕暮れ時になってしまった。瀬雅は疲れた体を引きずって歩いていたが、遠くにロッジ式のこじゃれた玄関が見えるとほんの少し活力はもどってくるように感じた。



 学園が抱える大勢の生徒の家となっている男子寮。戦争で家族を失い、行く場所に困った生徒にとってはこの場所はすでに実家のような場所となっている。オレンジに染まる自分の家に笑みを浮かべながら近寄る瀬雅だが――




「……!!!!」



 一瞬でその目は見開かれ、驚きと焦りを含んだまま脚を早める。遠くから観止めたそれ(・・)が大きくなっていくにつれ歩調は速くなり、ついには駆け出してしまった。





 男子寮の目の前で向き合う2人。瀬雅は荒い息を整えようともせずに、自分を待っていた彼女の名を呼んだ。




「……まだ私のこと、おぼえてる?セガ。」


「麦町――!」


ここまで読んでくださってありがとうございます!


次話は明日0時になります!(忘れないように……)

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